著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-22
東洋医学や漢方を知る上で基本となる、気(き)・血(けつ)・水(すい)・精(せい)の4つの成分について、できるだけわかりやすく解説いたします。
※本記事は動画インタビュー内容をもとに編集しています。説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行
気(き)
エアコンや掃除機などが電気によって動いているように、人間の体は気(き)によって初めて動いています。
この気とは目に見えないものなんですが、力のあるものを指し、いわゆる生命エネルギーと言われています。
この生命エネルギーが十分にある状態が、いわゆる元気な状態です。
気には5つの力(作用・働き)があります。
- 体を動かす力:筋肉を含め体をを動かす力です。
- 考える力:頭で考えたり記憶したりする力です。
- 体を温める力:体温を維持する力です。
- 免疫・抵抗力:外から来る風菌やウイルスから身を守る免疫力や抵抗力です。
- 内臓を動かす力:胃腸、肝臓、心臓などの内臓を働かせ、動かす力です。
血(けつ)
血(けつ)は西洋医学でいう血液とほぼ同意と考えてください。血には、主に次の3つの力があります。
- 栄養を運搬する力:体の中の様々な物質を運びます。血液の主な作用です。特に必要な酸素や栄養分を運びます。
- 老廃物を運搬する力:筋肉や体の組織を作る材料となる体から出る老廃物を運びます。二酸化炭素を運ぶのも血の働きです。
- ホルモンを運ぶ力:微量にはなりますが、ホルモンという体のいろんな働きを調整する成分も血が運搬します。
注:血液の中には、白血球といって体の免疫力、外敵から身を守るための細胞も入っていますが、これは、東洋学的には「水(すい)」の中で捉えます。
水(すい)
水のことを漢方では「すい」と呼びます。
漢方でいう水(すい)とは、体の中にある液体(水分)のうち、血液を除いた部分とほぼ同じと考えてください。
具体的には、細胞の中の液体、細胞内液と血しょう、血液の上澄みです。赤血球を除いた成分で、血しょう、リンパ液、脳脊髄液と言いまして脳や神経の中を満たしている液体もこれらのなかに含まれております。
うーん。ちょとむずかしい…
この水(すい)という言葉は、漢方ではさらに湿(しつ)とも言い、湿っている状態をいうこともあります。
陰(いん)陽(よう)の陰という言葉を使ったりすることもありますが、これらの言葉はほぼこの水(すい)と同義と考えてください。
精(せい)
精(せい)とは、目に見えないほど微量ですが、力のあるものととらえます。
精というのは西洋医学でいうホルモンに匹敵し、2つの働きがあります。
- 先天の精:生まれながらにして持っている力です。骨格や筋肉などこういったものを維持したり成長させる力、いわゆる成長ホルモンや副腎のホルモンに相当します。
- 後天の精:生まれた後、食事をしたり運動をしたり、活動によって獲得したものです。成長に伴って出てくる性ホルモンに匹敵し、新しい生命を生み出す力、生殖の力です。
これらの2つの働きがあって、初めて人間は生きていける、あるいは次世代を生んでいくということになります。
おわりに
以上が、気・血・水・精の説明になりますが、漢方では、これら4つの成分が適度な量で体内をぐるぐると巡ることが大事と考えています。
私に漢方相談される多くの方は、様々な心や体の不調を訴えられます。そのほとんどの方はこの4つのうちのどれか一つ又は複数が、多すぎて滞ったり、少なすぎて巡らなくなったりという現象が見受けられます。
漢方の処方を決める際は、単に表面上に現れてくる症状だけでなく、体や心にとって大事なこの気・血・水・精の4つの成分がどのような状態となって、影響を与えているかを判断し、処方を決めていきます。
東洋医学(漢方)は、奥が深い学問ではありますが、少しずつかみ砕いてご案内したいと思います。ぜひご一緒に学んでいきましょう。私の記事があなたの健康ライフに少しでもお役に立てたら幸いです。
※本稿は一般的な情報であり、診断や治療に代わるものではありません。具体的な処方や併用は、必ず専門家にご相談ください。
著者プロフィール
FAQ(よくあるご質問)
漢方薬はどれくらいで効きますか?
いま飲んでいる西洋薬と併用できますか?
通販で購入するときの注意点は?
配送はどれくらいで届きますか?
病院の漢方薬との違いは?
KanpoAI・直接相談のご案内 無料
今すぐ「あなたの症状と体質に合った漢方薬」をAIが処方します。このAIは、堀口先生の漢方相談と処方を学習した優れものです。ぜひお試しください。
〇KanpoAI で漢方処方を試す(無料)
→右下のKanpoAIをクリック!
また、堀口先生へ直接相談することも可能です。うち漢方という当社の関連サービスですのでお気軽にご利用ください(回答には2,3日いただいております。)。
〇堀口先生へ漢方相談をする(無料)