咳をする女性

咳、喘息の漢方とツボを4体質別に解説します(堀口メソッド)

著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-09-15

説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行

動画インタビュー

ここからは、具体的にタイプ別に解説してまいります。

陰虚体質

まず乾燥しているタイプです。これは漢方の専門用語では陰虚(いんきょ)と言いまして、体の中の水分が少ないタイプです。

どちらかというと痩せてるタイプの方で、皮膚も乾燥しやすいタイプの方に多いのですが、空気が乾燥してくる秋から冬の時期は余計に乾燥します。風邪を引いて器官が炎症を起こしてしまうと、「カサカサ」してきますし、咳が止まらなくなりやすいです。

こういった方のタイプ には、体内を潤す作用が必要なので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)と言いまして、器官などを潤す成分の入ったお薬になります。

さらに滋陰降火湯(じいんこうかとう)という体内を潤す作用のあるお薬もあります。

湿痰体質

次は湿り気が多いタイプです。逆に湿ってしまっているタイプで、湿っていて熱を持たないタイプを湿痰(しったん)といいいます。

のどの痰が多く出る方で、あまり体内に熱を持っていない、体がちょっと冷えるタイプでぽっちゃり、むくんだりする傾向にあります。

喘息や咳も湿痰体質の方は、痰が多く出ます。また鼻水も多くなる場合もあります。また痰や鼻水を出したいから、そのために咳が出るという場合もあり痰を出すために咳を出すのです。

この体質で少し冷えがあったりする方には、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)というお薬を使います。

湿熱体質

もう一つの湿り気が多いタイプです。水に加え熱を持っているタイプで、冷えることと逆で熱を持っていて、いわゆる炎症が強い方です。

そうなってくると痰も出てくるのですが、体の中の熱っぽい感じの痰が出てきます。例えば鼻炎とか器官の炎症、咳も連続したりして出る場合があります。痰はどちらかというと若干粘っこくなってきます。そして量が多いのが特徴です。

このタイプが湿熱(しつねつ)です。湿り気と炎症の熱が多い体質の方です。

こういった方には、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)あるいは清肺湯(せいはいとう)という漢方薬をよく使います。

麻杏甘石湯は、痰が多くて咳が多い、呼吸が苦しいとかゼイゼイする喘息にもよく使う漢方薬です。

気滞体質

ストレスというか精神的な作用で咳が出やすくなったり喘息が出たりするという場合があります。小児喘息もこのパターンの一つです。

これを気滞(きたい)と言いまして、精神的な面も含めて自立神経に影響を受けやすく、天気の変化やストレスなどで乱れるタイプです。このタイプの方は、器官が一時的に収縮し、息苦しくなったり咳が出たりという現象が起こってきます。

そういった方には、神秘湯(しんぴとう)という漢方薬を使います。また半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)てというお薬も使います。

この二つは、気の滞りを晴らして気を巡らしたりして咳を止めたり、あるいは軽い痰を取り除いたりすることできます。子供の小児喘息にもよく使います。

咳、喘息のツボ

咳が続きますと、どうしても胸とか肺の裏の肩甲骨の間あたりが緊張し硬くなってきます。触ったり押されると痛いぐらいに張ってくることがあります。

そうなると、余計に息が吸いにくくなります。肺に空気を入れたいところに、咳をしたり喘息で息苦しいから前かがみで体が丸まり、余計に肺が開かなくなり空気が吸えないという悪循環に陥ることがあります。

これらを障害を取るためのツボです。一つ目は背中の方のちょうど肩甲骨の間にあるんですが、肺経のツボでまさに、「肺兪(はいゆ)」というツボです。

肺兪(はいゆ)

風門(ふうもん)

「風門(ふうもん)」もその上にあるんですが、ちょうど肩甲骨の上です。このツボ周辺を使い捨てカイロで温めてあげるのも、効果的です。

咳き込むと背中さすってあげると楽になりますよね。あれも同様な作用があります。喘息の体質を変えるために、乾布摩擦と言って乾いた布で皮膚をこすってあげるといいんですが、その場合この肩甲骨の間をよくこすってください。

このツボの刺激もありますし、器官や呼吸器を丈夫にする効果も期待できます。

中府 (ちゅうふ)、雲門(うんもん)

次は、喘息や咳が続いているときは胸の方にある、「中府 (ちゅうふ)」あるいは「雲門(うんもん)」です。これらは肺経につがるツボなんですが、ちょうどあの脇の下の手前のところです。

ここは脇の下のリンパ節もあり、割と炎症が起こって、器官や喉の炎症が起こってる時には、このリンパ節も炎症起こしてきますので、くりくり張ってきます。

咳をしてくると胸もかなりこう緊張してきますので、この辺にすごく痛みが出てきます。ご自分でできると思いますので、お風呂に入った時などに、この胸の筋肉の辺りをよく揉んでもらったり押しておくと呼吸がかなり楽になります。

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FAQ(よくあるご質問)

咳や喘息の代表的な誘因は?
感染、アレルゲン、運動、冷気、受動喫煙、ストレス、薬剤など。
参考:MSDマニュアル(一般向け):喘息
生活習慣でできる対策は?
室内の湿度管理、禁煙・受動喫煙回避、ダニ・ハウスダスト対策、規則的な運動、十分な睡眠など。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット:気管支喘息
病院での治療は?
咳止め、去痰薬、吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗ロイコトリエン薬など。重症例では追加治療や生物学的製剤が検討されます。
参考:MSDマニュアル:喘息
咳が長引くときの目安は?
数週間以上続く/悪化する、夜間・早朝に強い、喘鳴・息切れ・血痰・発熱を伴う場合は受診を。
参考:MSDマニュアル:咳(成人)

その他のFAQ

受診の目安・免責

  • 呼吸困難(会話が続かない/苦しくて横になれない)、チアノーゼ、意識障害
  • 高熱が続く、胸痛、血痰・喀血、急速な悪化
  • 基礎疾患(心疾患・COPD等)をお持ちの方で症状が強い/長引く

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット:気管支喘息MSDマニュアル:喘息

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。

著者プロフィール

堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)

光和堂薬局 院長

埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など

販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。

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