東洋医学のFAQ

東洋医学|よくあるご質問

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未病を治すとは?

未病を治すとは、病気になる前にその元を取り去るというものです。未病を治す行為に漢方薬はとても効果的です

「何だか調子が悪い」とか、「普段と気分が違う」とか、そんな漠然とした小さな変化が、未病のサインなのです。そのサインを見逃さずに、体質に合った漢方薬を初期の段階で服用することで大事です。ご自身の自然治癒力の働きに磨きをかけ、病気にならないように仕向けることができます。

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日本・中国・韓国の医療の違いは?

東洋医学(中国伝統医学)は、古代中国で生まれ、発展過程で朝鮮半島や日本に伝来してきました。中国では「中医学(中薬)」といいますが、日本では独自に発展して「漢方医学(漢方薬)」、韓国では「韓医学(韓薬)」と言います。

3か国とも戦争を挟み西洋医学の進展で一時期衰退した中で、復活を遂げて今日の国内医療を支えています。

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完治が難しい病気を漢方薬だけで治るか?

難しい病気の場合は、病院の薬を減らすことはできますが、漢方薬だけで治すことは難しいです。病院の薬と併用する場合の漢方薬の主な役割は、つらい症状を緩和したり、病気にならない体への体質改善を進めることになります。

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完治が無理な病気の治療方針は?

漢方薬は体質や気質を改善して、病気の予防や悪化防止、そして治癒を目的とします。症状を完全に治せればよいですが、病気の原因によっては完治が無理なものもあります。これは東洋医学だけでなく、西洋医学でも同じように限界があります。

そのような場合には、病気とどのように付き合っていけるかを重視していきます。痛みがあっても、日常生活がある程度不自由なく送れればよいと思っている方へは、それ以上悪化させないようにお手伝いします。どのレベルで折り合いをつけるのかが肝要です。精神的にも苦痛なく人生を楽しめるように、アドバイザーが助言します。

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体質とは?

ここでいう体質は、東洋医学の「証(しょう)」と同意語で、漢方薬の処方を決めるための重要な要素です。体質は、人それぞれでかつ季節によっても変化しています。

KanpoNowでは、独自のアルゴリズムを用いて、次の8つの体質に分類しています。気滞(きたい)、気虚(ききょ)、血瘀(けつお)、血虚(けっきょ)、湿痰(しったん)、陰虚(いんきょ)、湿熱(しつねつ)、陽虚(ようきょ)です。

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証とは?

KanpoNowでは、証(しょう)は、体質と同義語として捉えています。漢方薬を処方する際は、「証=体質」を重要な要素とします。その上で、患者さん一人ひとりのお悩みや症状などをお伺いして最適なお薬を決めていきます。

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天候によって体調は変化するか?

人間も自然の一部ですので、天候によって体調は変化していきます。天候の急激な変化と体調の変化を上手に合わせることができればいいですね。なお、難しい時期には、何種類か漢方薬をご用意して、その時の状況に合わせて服用される方法もあります。
by堀口和彦(薬剤師)

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低気圧が近づくと調子が悪くなるのは普通か?

勢力の強い低気圧が接近してときは、一般的に神経痛が強くなったり、冷えが悪化することがよくあります。そんなときは、足腰を冷やさないように、十分にご注意ください。また、気圧の変動は、内耳の三半規管のリンパ液の内圧に大きな影響を与えます。過去にメニエールのような回転性のめまいを起こしている方は、気圧の変動の時期は再発しやすくなります。

体力がついて身体に余裕が出てくれば、天候の変動にも左右されなくなります。
by堀口和彦(薬剤師)

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身体や頭が重だるくなるのは何の影響か?

低気圧が接近している可能性があります。気圧が徐々に下がってくる時は、体が重だるくなったり頭が重くなる方が多いです。食欲が低下したりお腹をこわす方もいます。
by堀口和彦(薬剤師)

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痛みが悪化するのはなぜか?

痛みの悪化は天気の影響も大きいと思います。神経の痛みは、低気圧や湿度に左右されます。特に神経炎などを起こしている時は、痛みが強くなる場合があります。
by堀口和彦(薬剤師)

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気滞(きたい) とは?

気滞(きたい)とは、こころとからだを動かす気が充満し停滞している状態で、一言でいうと「イライラさん」です。

気滞(きたい)とは、気が満たされているものの、流れが悪く渋滞している状態です。ストレスが多く、イライラして落ち着かず、あちらこちらで痛みを感じ、症状が多岐にわたり、さらに変化しやすいことが特徴です。

自律神経のバランスが失調して、発汗や体温調整、血圧調整、排便コントロールが乱れ、肺や気管などの呼吸器や胃腸などの消化器、心臓や血管などの循環器などの臓器に影響が出ることがあります。エネルギーとなる気が多く存在するので、症状は強く激しく感じることが多いです。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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気虚(ききょ) とは?

気虚(ききょ)とは、こころとからだを動かす気が不足した状態で、一言でいうと「ヘロヘロさん」です。

人間が生きるために最も重要なエネルギーである気が不足しています。口数が少なく、声や表情に元気がありません。仕事や家事などですぐにだるさを感じ、ため息が出ます。過労時には動悸や息切れを感じることもあります。平素もなんとなく手足がだるく、力が入らないことが多いのも特徴です。胃腸を働かせる力も不足して、消化不良や多く食べられないことが多いです。

日ごろ元気な人でも、お仕事や家族の介護などで心身ともに疲れ果てた時には、気虚になることがあります。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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血瘀(けつお) とは?

血瘀(けつお)とは、こころとからだの老廃物を運ぶ血の流れが悪く、全身又は部分的に血が余り停滞している状態で、一言でいうと「シブシブさん」です。

血瘀(けつお)とは、各組織から出される老廃物の回収が滞り、血が汚れ、血が渋滞して血行が悪い状態です。酸素を運ぶ赤血球や出血を防ぐ血小板は過剰な傾向があり、これによっても血液の粘性が増加して流れ難くなります。

動脈や静脈、毛細血管に汚れが沈着して、血管は硬く狭くなり、心臓への負担が大きくなります。骨盤内の血行が悪くなり月経血が停滞すると、子宮や卵巣の働きを阻害します。老廃物の多い汚れた血の影響は、肌や皮膚、歯茎などにも現れます。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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血虚(けっきょ) とは?

血虚(けっきょ)とは、こころとからだに酸素と栄養分を供給する血が不足した状態で、一言でいうと「フラフラさん」です。

血虚(けっきょ)は、心身に酸素と栄養分を供給する血が不足しています。酸素と栄養分を大量に必要とする臓器や器官に支障が生じます。脳では記憶力の低下や精神疲労を生じ、子宮卵巣では生理痛や月経困難、皮膚や毛髪では艶がなく肌荒れや脱毛が起こります。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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湿痰(しったん) とは?

湿痰(しったん)とは、こころとからだを潤す水が過剰となり、湿や痰が停滞している状態で、一言でいうと「タプタプさん」です。

湿とは、リンパ液や組織液、体腔液などの体液である水が停滞したものです。痰は、胃腸などの消化器や気管や肺など呼吸器から分泌された湿が停滞したものです。これら湿と痰が体内に過剰に停滞した状態が湿痰(しったん)です。湿が内耳に停滞すると、平衡感覚を阻害します。また、関節や筋肉に湿が停滞すると、痛みや麻痺など運動障害を起こします。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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陰虚(いんきょ) とは?

陽虚(ようきょ)とは、こころとからだを維持成長させる原動力となる精が不足して、身体の動きや精神活動が低下した状態で、一言でいうと「ガクガクさん」です。

陰虚(いんきょ)は、心身を潤すための水分が不足しています。水は、血液以外の細胞外液と、細胞内液の体液全般を意味しますので、皮膚や粘膜だけでなく、脳や脊髄の神経細胞、肝臓など内臓の細胞などを潤しています。

乾燥に弱いので、外気と触れる皮膚やのど、気管などにまず症状が現れます。アトピー性皮膚炎、慢性扁桃腺炎、口内炎、咳喘息や気管支炎などが起こります。また、内臓の潤い不足から臓器が熱を持ちオーバーヒートして、肝炎や膵炎、腎炎、肺炎などが起こります。こころに潤いがないと精神的な余裕がなくなり、感情的になりやすく、すぐに怒ったり、イライラしたりします。動悸や不眠、めまい、耳鳴りが起こることもあります。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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湿熱(しつねつ) とは?

湿熱(しつねつ)とは、こころとからだを維持成長させる精が過剰にあり、湿と熱が停滞している状態で、一言でいうと「ドロドロさん」です。

後天の精である甲状腺ホルモンや副腎ホルモン、性ホルモン、消化管ホルモンなどが過剰に分泌され、新陳代謝や免疫機能が亢進して、体内に多くの熱が産生され炎症が起こります。その熱や炎症を鎮めるために、リンパ液や組織液などの体内の水が呼び込まれます。それを鎮火できないと、水はさらに集まり停滞して、粘りのある湿となります。熱や炎症の勢いが衰えないと、さらにドロドロとした湿と熱が混ざり合った状態となります。

湿熱(しつねつ)とは、このように過剰な精によって余分な水と熱が体内に停滞した状態です。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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陽虚(ようきょ)とは?

陽虚(ようきょ)とは、こころとからだを維持成長させる原動力となる精が不足して、身体の動きや精神活動が低下した状態で、一言でいうと「ガクガクさん」です。

身体および精神を成長させ、さらに生命活動を維持させるためのホルモンの働きである精が不足しています。後天の精である甲状腺ホルモンや副腎ホルモン、性ホルモンの減少だけでなく、先天の精である脳下垂体からの成長ホルモンや刺激ホルモンの分泌も低下し、心身の活動が全般的に低下した状態が陽虚(ようきょ)です。

新陳代謝が低下し、体の芯まで全身の冷えがあり、生命機能も低下します。未熟児で生まれた方や生まれつき虚弱な方、介護状態の高齢者に多いです。日ごろ元気な人でも、無理を重ねた場合や、心身への極度なストレスやショックを受けた場合も、陽虚になることがあります。

小人症や甲状腺機能低下症など病的なものもありますが、閉経や前立腺肥大など加齢による要因もあります。

「体質で決まる漢方と養生」堀口和彦(漢方薬剤師)著より

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陰陽(いんよう)とは?

陰陽とは、自然界のすべてのものを、相反する二つの性質を持つものどうしの相互関係で理解するというものです。例えば、夜と昼、水と火。互いに育て、抑制しあい、適度にバランスを保っています。

一般的に陰は、止まっている、内向、下降、寒冷、暗いなど。陽は、動いている、外向、上昇、温暖、明るいなどがそれに当たります。絶対的ではなく、あくまで相手があっての相対的な概念です。陰と陽、この矛盾した関係が、宇宙の固有の性質であると考えられているのです。

陰陽論では、あらゆるものを、対立したり相互に制約しあう関係にあるとしています。上下、左右、天地、動静、出入、昇降、昼夜、明暗など。陰陽とは、対立的であり、統一的でもあります。対立は、二者間の相反するという関係です。統一は、二者間が制約しあいながらも補完しあうという関係です。

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東洋医学は気から始まった?

東洋医学は、中国の医学書「黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)」では、あらゆる生命活動が「気」の影響を受けるとみています。このような「気」の思想は、紀元前5世紀ごろから、老子や荘子によって、天地である自然と人が密接に関連しているという「天人合一思想」として広まりました。

傷ができたら傷口を嘗めます。角に肘をぶつけたら、痛いところをさすります。あ~痛い痛いと。肉料理ばかり食べていると、苦い葉ものを欲しくなります。薬のように。「痛いところをさする、なでる」という行為が、現代のあん摩やマッサージといった医療行為に発展し、「薬になる食物をたべる」という行為が、やがて湯液療法(漢方薬)に発展しました。

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黄帝内経とは何か?

紀元前221年に秦が中国を統一する以前、春秋戦国時代の頃、東洋医学の最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」の原型が生まれました。

「黄帝内経」は、鍼灸や湯液や導引、気功などに共通する理論を体系化し、東洋医学の基礎を築きました。ちなみに、黄帝内経は、後に「素問」と「霊枢」に整理されます。医学の理論だけでなく、陰陽、五行、気、天・人など哲学的な要素も多分に論じられているのです。

実は、黄帝内経はとても難解でした。そこで、鍼による臨床実践を行うための手引き書「難経(なんぎょう)」がつくられました。この難経は、我が国では、素問、霊枢と並んで、三大古典とされています。また、湯液(煎じ薬)の理論は、多くの臨床体験を行い「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」にまとめられました。エビデンス(証拠)も、既にあったのです。

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気の思想とは?

「気の思想」とは、宇宙の誕生から生物の命までのすべてを「気」が支配しているという考え方です。

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宇宙とは?

東洋医学の宇宙とは、形がなく混沌とした広がりがあると捉えています。

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気はどこから来るのか?

東洋医学では、混沌とした広がりの中から気が生まれるものと捉えています。

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陰陽気とは?

陰陽気は、清く軽い陽気と、重く濁った陰気に分かれると捉えています。

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天地とは?

東洋医学では、天地とは、陽気は上って天となり、陰気は下がって地となると捉えています。

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万物とは?

東洋医学の万物は、天地の陽陰から四季が生じ、人などの万物が生まれると捉えています。

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生命とは?

東洋医学の生命は、父親の陽と母親の陰の精気を受け、一つの命の誕生と捉えています。

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生死とは?

東洋医学の生死は、陰陽の気が調和すれば健康、崩れれば病気、喪失は死と捉えています。

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人体の生理機能とは?

人体の生理機能は、すべて陰陽の対立と統一という強調関係を保つことによって維持されています。人体の生理活動は、物質が基礎です。そこにある、ということです。そこに何もなければ、生理機能は生まれないからです。

一方で、生理活動の結果として、絶えず物質の新陳代謝を行っています。生理活動によって、生理機能が生じているのです。

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心身のバランスが大事とは?

私たちが健康でいられるのは、体内の様々なところでのバランスがとれているからに他ありません。体の内外、表裏、上下、臓腑などの「陰陽」が、平衡状態にあるということです。絶対的な関係ではなく、あくまで相手との関係性のもと。相対的にです。

陰陽は、相互に依存し消長し制約し、バランスしているのです。東洋医学は、まさにバランスの医学ともいえます。

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陰陽の失調とは?

病の原因から、その発生や発展のすべてを「陰陽の失調」という観点でとらえることができます。どちらか一方が強かったり過度に弱かったりすると、バランスが崩れるというものです。

疾病の原因や発展は、その原因が陰陽のバランスの失調なので、漢方薬や鍼灸などの治療もまた陰陽のバランスを調整するものなのです。バランスが悪いんだから、それを直せばいい。不足を補ったり、余った分を取り除くことで、陰陽のバランスをとるのです。

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虚実(きょじつ)とは?

東洋医学で体質を考える大きな柱の1つが、虚証と実証、いわゆる虚実です。「虚証」は、体に必要なものが不足したり体の働きが低下したりしている状態を指します。「虚」の状態は健康を害する原因となります。「実証」は、必要なものがたくさんありすぎて過剰な状態を指します。これも健康を害する原因となります。

様々なものが体を巡ることで、私たちの健康は維持されています。少なくても多すぎても巡りは悪くなり、健康的なバランスを崩すことになります。

KanpoNowでは、体内にある成分を「気、血、水、精」を虚実によって分類しています。それぞれが不足すると、気虚、血虚、陰虚、陽虚の虚証となり、それぞれが滞ったり過剰になったりする気滞、血瘀、湿痰、湿熱の実証となります。

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五行(ごきょう)とは?

「木、火、土、金、水」の五種類の物質が五行です。

・木~大木がすくすくと成長していく様子を表します。季節は、春。
・火~熱く燃え上がる炎。光り輝きエネルギーを放出している様。季節は、夏。
・土~万物を生育を助け、保護する性質を表しています。季節の変わり目。
・金~土の中で光り輝いている鉱物(金属)のこと。季節は、秋。
・水~泉からとどまることなく湧き出てくる水。季節は、冬。

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五行の相性(そうせい)とは?

五行の相生とは、五行の一つが特定の相手を生ずるという関係です。相手を育てる、相手を保護する、相手を援助するという関係です。そして、それらが循環するというもの。具体的には、次のとおり。

・木→火  木は燃料となって火を生じさせます。木は火を生ず。
・火→土  火が燃えると灰になり土になります。火は土を生ず。
・土→金  土の中から鉱物が出てきます。土は金を生ず。
・金→水  鉱物から鉱水が出てきます。金は水を生ず。
・水→木  水は樹木の成長には欠かせません。水は金を生ず。

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五行の相克(そうこく)とは?

五行の相克とは、五行の一つが特定の相手を克するという関係です。相手に勝つ、相手を抑える、相手を支配するという関係です。こちらも、それらが循環します。

・木→土  木は土の中に根を張り養分を吸収します。木は土を克す。
・土→水  川の氾濫を防ぐために土を盛ります。土は水を克す。
・水→火  水は火を消します。水は火を克す。
・火→金  火によって強固な金属を溶かします。火は金を克す。
・金→木  金属の刃物によって木は切られます。金は木を刻す

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五行の相性と相克とは?

五行の相生の動きです。それぞれを支援します。

(木=肝)→(火=心)→(土=脾)→(金=肺)→(水=腎)→(木=肝)

五行の相克の動きです。上が下を支配します。

(木=肝)→(土=脾)→(水=腎)→(火=心)→(金=肺)→(木=肝)

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精とは?

精とは、気や形の類の源となるものです。例:先天の精、後天の精、広義では水、血など

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気とは?

気とは、体内に充ちて活動を起こすものです。例:元気、宗気、営気、衛気など

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神とは?

神とは、生命活動を統率するものです。例:神、魂、魄、意、志など

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経脈とは?

経脈とは、体を通る主要な気・血の通路です。例:十二経脈、奇経八脈など

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絡脈とは?

絡脈とは、経脈より分かれた細い気・血の通路です。例:十五別絡など

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経穴(ツボ)とは?

経穴(ツボ)とは、体表にある気が出入りする場所です。例:正穴、奇穴、天応穴など

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気の働きを具体的に教えてほしい。

気の働きは、7つあります。
(1)体を成長させ、調整する。
(2)病気のもとを、体内に入れない。
(3)重要な栄養を、体外に出さない。
(4)体を温める。
(5)冷たい物を温めて軽くして上に運ぶ。
(6)気や水をつくる。
(7)気や水を体中に循環させる。

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先天の精とは?

先天の精とは、両親から受け継いだ精気という意味です。いわゆる生命の源。人体のあらゆる器官や組織を構成し、また成長していく過程で最も基礎となるものです。この先天の精は、生まれたときに「腎」に大切に保管されます。そして、発育・成長の過程で使用されます。中でも、生殖には深く関係してきます。

先天の精は、人によって多い少ないがありますが、次に説明する後天の精によって補給されます。生きている間は、減少することはあっても、なくなることはありません。なお、この精が気に変化すると、原気となり活動の基礎となります。

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神気とは?

「神気」とは、その語源から、私たち人間が認知できない不思議な現象を指します。気の思想を根幹とする東洋医学では、この概念を人体にも当てはめました。体内の「神気」は、五臓の中に収まって、生命活動を統制している気とされています。

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気の種類は何がある?

東洋医学でいう「気」は、次のように分類されます。

・原気[元気](げんき) ~両親から受け継いだ先天の精が、その後変化し生成したものです。生命活動の原動力です。
・宗気(そうき) ~肺の活動によって、後天の精と体外にある天の気が混じり合う胸中に集まる気のことをいいます。
・営気(えき) ~後天の精から得られる「陰性の気」のことをいいます。水を血に変化させる役割を担い、血とともに脈中を流れます。
・衛気(えいき) ~後天の精から得られる「陽性の気」を指します。衛気は脈外を素早く巡る気です。

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血(けつ)とは?

「血(けつ)」とは、脈中を流れる赤色の液状物を指します。狭義では、血液のことです。素問では、「人の有する所の者は、血と気のみ」と表記され、気とともに重要な要素と位置づけられています。

血の源は、飲食物です。「脾・胃」に入った飲食物から後天の気がつくられ、陰性の気である「営気」ができます。そして、営気が水を刺激して、血となるのです。血は、営気とともに脈中を流れ、臓器や四肢を潤し、その働きを支えます。日中は、全身を巡って知覚活動や運動などの活動を活性化させます。夜の睡眠モードの際には、「肝」に戻ってきます。

血と関係の深い臓器は、脾と肝のほかに「心」があります。心は、脈を介して血を全身に送り出し、血の循環や脈動をコントロールします。

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水(すい)とは?

「水(すい)」は、津液(しんえき)とも言われ、「津」と「液」が合成されたものです。体内の水分を総称した呼び名です。血で説明したとおりですが、水の源は飲食物で、脾胃、小腸で消化されつくり出されます。

・津とは、陽性の水分。粘りけがなく、主として体表部分を潤し、体温調整に重要なものです。また、汗や尿となって、外に放出されます。
・液とは、陰性の水分です。粘りけがあり、体内をゆっくり流れます。骨や髄を潤します。目、鼻、口の粘膜や皮膚に潤いを与えます。

脾胃でつくられた水は、脾によって上にある「肺」に送られます。肺は、その水を全身に散布します。スプリンクラーのように。全身にまかれた水は、「腎」によって管理されます。不要物は膀胱に送られ、尿として輩出されます。

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五臓六腑(ごぞうろっぷ)とは?

五臓と六腑を併せたものです。五臓とは、「肝、心、脾、肺、腎」のことで、精気(主に神)を貯蔵し生命活動の中枢となって働きます。

六腑とは、「胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦(特定の器官でなく、飲食物を消化吸収し、そこで得た気・血・水を全身に巡らせる役割)」のことで、中空な器官で飲食物を受入れ消化し別の器官に送り又は排泄する働きを担います。

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心とは?

心は、五臓六腑を統括している臓器です。

心には、「神(気)」が宿されています。私たち人間にとって、不可欠なのが神。神がなくなると死へ。このことから、神を宿す心は、五臓の中でも最重要な位置にあります。「君主の官」(最高指導者)」といわれています。

・血を統括 ~心は、脈を介して栄養分である血を全身に届け、身体の器官活動を支えます。
・顔の色つやに反映 ~顔色がよい人は、心の働きがうまくいっている証拠です。
・舌の運動を統括 ~心は、舌の運動を支配し、味覚を感じます。心に宿っている神は、外部に向かって発信するときは、言葉を使います。言語活動は、舌の運動が必須要件です。心が衰えると、味覚がなくなってきたり異常を来し、言語障害となります。
・液は汗 ~心は、五行の「火」に属します。火のエネルギーによって、水は温められ、汗となって排出されます。心がしっかり働いているときは、運動後に程良く汗が出ます。不完全になると、無汗や多汗な状態になります。

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肝とは?

「肝」には、気や血の流れをスムーズにする働きがあります。肝の働きを6つご案内します。

・精神活動を支配します。不健全だとイライラやおどおど感が出てきます。
・体を巡らす血を調整する役割があります。血の巡りが悪いと頭痛、めまい、耳鳴り、難聴などの症状が出てきます。
・筋肉を操ります。損なわれると、ひきつれなどの症状が起こります。
・爪は、筋の余りとされ肝の状態を反映させます。変形や色つやの悪いときは、肝の異常を疑ってください。
・目が疲れているときは、肝も疲れています。目の酷使には、くれぐれもご注意を。
・涙は、肝から排出される液と考えてください。

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脾とは?

脾の働きを5つご紹介します。

・胃と一体となって働きます。飲食物の消化吸収から、後天の気となるパワーを取り出す役割を担います。取り出した後は、「肺」へ運び、気・血・水に変化させて全身に送られます。
・液を隅々まで行き渡らせることで、肌や肉に張りを与えます。不調になると、肉付きに異変がおき、痩せ、無力感が出てきます。
・飲食物を取り込むために、重要な器官です。
・飲食物から水を吸収して肺に送ります。その働きが悪いと、水の不足や滞りが生ずることで様々な体への影響を与えます。
・唾液によって、口中は潤い水穀を口に入れたときに胃の消化を助けます。

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肺とは?

東洋医学でいう「肺」は、西洋医学の肺以上の働きをし、次の働きをします。

・すべての気をコントロールします。
・衛気と水を体中に巡らすことで、皮や毛に栄養と潤いを与えます。
・鼻を通じて天の陽気を体内に取り込み、古くなった気(濁気)を排出します。

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腎とは?

東洋医学でいう「腎」は、腎臓+αの働きです。

・両親から受け継いだ精(先天の精)は、腎に蓄えられています。生命力、成長、そして生殖力に重要な役割を果たすのが、「精」です。この精は、日常の飲食物からいただく後天の精によって、常に充電されています。
・水分の調整は、腎の重要な役割の一つです。大小便の調整も担います。
・骨の成長や髪をつやつやにする作用があります。白髪・脱毛がある方は、腎が弱っていることを疑ってみましょう。
・腎の機能が正常であれば、音声をよく聞き分けることができます。難聴、耳鳴りなどは、腎の老化の可能性があります。

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六腑を具体的に説明して。

六腑とは、「胆、胃、小腸、大腸、膀胱、三焦」を総称していいます。基本的には、飲食物の通路となり、栄養を消化・吸収し、不要物を排出する役割を担います。

・胆は、飲食物の通路ともなりません。また、胆汁(精汁)の貯蔵と分泌を行って、脾・胃の消化吸収を助けます。胆汁は、「肝」の余った気が集まったものです。
・胃は、「脾」とともに飲食物の消化・吸収を行い、気を全身に送ります。
・小腸は、胃から送られた飲食物の残り物を、水分と固形物に分けます。
・大腸は、小腸から送られた不要物を、肛門から排出します。
・膀胱は、肺、脾、腎、三焦の働きで体の中を巡った水分は、膀胱に蓄えられれ、尿として排出されます。
・三焦は、飲食物を消化吸収し、気・血・水を全身に配布、水分代謝を円滑に送る機能としての位置づけです。

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奇恒の腑とは?

奇恒の腑とは、胆をはじめとした、五臓六腑に属さない腑(器官)のことです。ここでは、胆以外の奇恒の腑である「骨、随、脳、脈、女子胞」を説明します。

・骨は、体表から最深部にあって、硬く中に随が入っています。
・随は、骨内にあり骨格を滋養するものです。
・脳は、体の運動を円滑にし、耳目を聡明にして長寿を保つ器官とされています。
・脈は、営気と血を通し、漏れないように全身に行き渡っています。動きは、五臓の「心」が司ることから、脈拍の異常は、心の異常と考えます。
・女子胞とは、女性の生殖器の働きを持ち、腎の精(気)の影響を受けています。

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経絡(けいらく)とは?

経絡とは、気血が流れる通路のことです。人体を縦方向に走る「経脈」と、経脈から枝分かれして体の全部に分布する「絡脈」を合わせたものです。(正確には、「孫脈」というもっと細い脈も合わせます。)特に、鍼灸治療では、診断と治療に用いる大事なものです。

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十二経脈とは?

十二経脈とは、体を縦に流れる十二の気血が流れる「経絡」のことです。

経脈は、陰・陽で分類され、陰は「太陰、少陰、厥陰」の三陰に、陽は「太陽、陽明、少陽」の三陽に分けられます。手、足それぞれに三陽三陰の経脈が割り振られて、全部で十二あります。

そして、それぞれの陰経は臓と、陽経は腑と連結していて、すべてが一本の環となってつながっています。
(①→②の順で、⑫→①で循環しています。)

手の三陰(①手の太陰肺経  ⑤手の少陰心経  ⑨手の厥陰心包経)
手の三陽(②手の陽明大腸経 ⑥手の太陽小腸経 ⑩手の少陽三焦経)
足の三陽(③足の陽明胃経  ⑦足の太陽膀胱経 ⑪足の少陽胆経)
足の三陰(④足の太陰脾経  ⑧足の少陰腎経  ⑫足の厥陰肝経)

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疾病が起きる原因は?

東洋医学では、疾病は天候の変化や精神状態の変化、飲食や過労状態など内外の様々な状態が要因によって起こるとしています。それらが、体内の陰陽、気血、そして臓腑、経絡などのバランスが乱れ、病的な状態になると考えます。

『素問』や『霊枢』では、病気の原因は陰陽論に基づいて整理しています。まずは、陰から生ずるものとしています。

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外因とは?

外因とは、自然界の気候の変化によって、外部から発病させる原因のことで、「風、寒、暑、湿、燥、火」の六淫(りくいん)です。これらを外邪(がいじゃ)とも言います。

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内因とは?

内因とは、体の内部で起こる「喜、怒、憂、悲、思、恐、驚」の七情を指します。

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風とは?

風は、五行では「木」、五臓では「肝」と関係しています。外感病の最も多いのが、この風が原因で引き起こされます。いわゆる風邪(かぜ)で、皮毛から人体に侵入し、営気の通りを妨害します。営気が犯されると、発熱、悪寒、汗が出るなどの症状が表れます。

風は陽の邪であり、上に行きます。すると頭痛、鼻づまり、咽頭痛などの症状が現れます。風は、動きやすく、変化しやすい性質があります。時間の経過で、症状が消えたり、現れたりと神出鬼没なことがあります。

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寒とは?

寒は、冬の主気で、「五行」では水、「五臓」では腎と関係しています。

冬になると気温が下がり、寒邪が体内に侵入しやすくなります。また、冬でなくても汗をかいて風に当たると、体温が奪われ寒邪を受ける原因になります。

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暑とは?

暑は、「熱」ともいいます。言わずもがな、夏の主気です。「五行」では火、「五臓」では心です。暑邪は、陽の邪気、夏真っ盛りにみられ、生気を消耗させます。

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湿とは?

湿は、日本では梅雨の時期や秋の長雨の頃に、邪気となります。「五行」では土、「五臓」では脾と関係します。

湿の邪気が体内で暴れると、停滞する性格があることから、要注意です。梅雨前線が日本列島に張り付いている頃、湿邪も私たちの体に停滞する可能性があります。

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燥とは?

燥は、秋の主気で、「五行」では、金に当たります。「五臓」では肺と深い関係があります。燥は、陽の邪気で、口や鼻から体に入ってきます。そして、肺を犯すのです。

燥の主気は秋ですが、日本の冬も、燥が伴うことも多いです。特にエアコンの乾燥には、十分に注意してください。加湿器を使ったり、水分をまめにとるなど、のどや鼻を潤ってあげてください。

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火とは?

火は、暑以外の外熱を指します。「五行」では火、「五臓」では心と深い関係があります。また、体内の熱が盛んになりすぎると、内因性の火邪が生じます。

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七情とは?

七情とは、心の内側から生じる病気の原因で七種類あります。「怒、喜、憂、思、悲、恐、驚」です。内臓との関係は、素問では次のように説明しています。

・「怒」は、肝を傷る。
・「喜」は、心を傷る。
・「思」は、脾を傷る。
・「憂」は、肺を傷る。
・「恐」は、腎を傷る。

感情も度が過ぎると、病気のもととなります。適度な喜怒哀楽で、快適な生活を送りましょう。

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飲食の注意点は?

飲食物の摂取が不足すれば、陰性の気である営気と、陽性の気である衛気の両方が不足します。気、血、水も不足することで、栄養が体の隅々に行き届かなくなります。すると、病気への抵抗力が落ちてしまい、様々疾病を導いてきます。また、自然治癒力なども低下し、病気の治りが遅くなります。

反対に、食べ過ぎ、飲み過ぎは消化吸収する脾胃に負担がかかります。

質には、五味*による分類と、体を冷やすものと温めるものに分けられます。五味を程良く食べることで、それぞれの特定する五臓を養いますが、偏食を過度に行うと、五臓のバランスが崩れ、病気の原因となります。

*五味:酸、苦、甘、辛、鹹

夏の野菜は体を冷やし、暑いときに体を冷やす作用をもっています。冬の野菜はその逆です。体を温める作用があります。生ものも体を冷やす作用があります。冷たい飲み物や食材によって、体を冷やす要素が増えると、寒邪によって病を引き起こします。

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労働と休養の注意点は?

適度の労働や運動は、気血の巡りをよくし、筋や骨などの体の芯となる部分を強めてくれます。併せて、十分な休養をとることによって、疲労を取り除き、体力を回復させます。

しかし、極端な肉体の酷使を強いたり、休養をとらずに続けることで、病気に発展します。逆に、休養のとりすぎは、気血の巡りが悪くなり、脾胃の働きを衰えさせることに。バランスが大事なのです。

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房事(性行為)の注意点は?

東洋医学では、房事(性行為)の不節制は、「腎の精」を消耗するとしています。また、房事後風に当たるのは、脾を痛めることになります。

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外傷の注意点は?

打撲、捻挫、切り傷、骨折といった外傷も注意する必要があります。東洋医学では、外傷によって体内に悪血が停滞し、後に五臓へ悪影響を与えると考えています。悪い血が滞ることで、気も流れなくなります。

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病証とは?

東洋医学では、病気になっている患者さんの体質を「証(しょう)」として、次の分類のように考えます。病気の証なので、「病証」といいます。

・寒熱 ~寒や熱は、体内の陰気、陽気が盛んになったり、衰えたりすることで生じる病情です。
・虚実 ~虚や実は、疾病の過程で、邪気と生気が戦っている現れなのです。
・陰陽 ~すべての疾病を陰陽の二面性で識別するという診断方法です。

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心の病証とは?

心の病気は、病証として次のように分類されます。

・心気虚 ~先天の精が不足していたり、情動の調整が不調なときや臓器の衰退によって起こります。
・心陽虚 ~心にある陽気が不足して起こります。
・心血虚 ~血の不足によって心が血の栄養を受けられないことから起こります。
・心陰虚 ~心の陰液が不足することで心に宿る神の機能が減退して起こります。
・心火の亢進 ~心火によって心神が刺激されて起こります。酒やたばこ、辛いものの過度の摂取などが原因です。
・心脈の阻害 ~心脈の流れが悪くなって起こります。

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肝の病証とは?

肝の病気は、肝の機能が悪くなっている証で分類されます。

・肝気の停滞 ~精神的なストレスによって引き起こされます。
・肝火の亢進 ~肝気の停滞が進化して火となり、火が経脈に沿って逆上して起こります。
・肝陰虚 ~肝の陰液が不足して、滋養作業が低下して起こります。
・肝陽の亢進 ~肝鬱、肝火が進行して起こります。肝腎が陰虚となり起こることも。
・肝血虚 ~全身に血虚による症状が出ます。血の生成不足や過度の出血、慢性病が原因になります。
・肝風 ~肝腎の極度の陰虚が原因で、陽をコントロールできなくなり起こります。

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脾の病証とは?

脾の役割は、胃と一緒になって働き、飲食物の消化吸収をコントロールして、後天の気を取り出すことです。飲食物から水を取り出して、肺に送ることや、血が脈外に漏れないように、営気(陰性の気)を脈中に送る役割もあります。脾の病証は、次のとおりです。

・脾気虚 ~主として消化機能の障害によって現れます。
・脾陽虚 ~虚寒病証です。腹部の冷え、四肢の冷え、下痢などの症状が出ます。
・脾陰虚 ~脾の血と水が不足して病証です。食欲不振、お腹の張り、痩せて無力感があるなどの症状が出ます。
・脾胃湿熱 ~湿が脾胃に滞ることで、熱が貯る病証で実証を主とします。慢性化しやすい病証です。
・脾胃の昇降失調 ~脾と胃のバランスが失調したものです。

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肺の病証とは?

肺の機能としては、呼吸によって気を吐き、水と気を全身に散布します。また、呼吸によって気を吸い、水を腎や膀胱に送ります。そのほかにも、水や血の通りを調整します。肺が病むと、これらの調整機能が衰えることになります。主な肺の病証は、次のとおりです。

・機能の失調 ~肺のメインの調整機能が崩れるものです。原因は、外からの攻撃の外邪によるものと、内側からの湿痰によるものがあります。
・肺気虚 ~肺の機能が減退した病証です。慢性の咳によって肺気を損傷したり、脾虚によって起こるものです。
・肺陰虚 ~肺の陰液が損傷し、虚熱が発生して粛降ができなくなるものです。

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腎の病証とは?

母親から受け継いだ「精=先天の精」は、腎に貯蔵されています。これが腎によって活性化されたのが、元気です。また、腎は、全身の水分代謝をコントロールするとともに、骨を丈夫にする働きがあります。腎が病気になると、発育の遅れや生殖機能に障害など、生の存続に関わる問題が生じます。

・腎精の不足 ~腎にある精(腎精)が不足すると、発育の悪化や性機能の障害、もって老化が早まるといった現象が起こります。男性では、精液の生成に影響を及ぼし、女性では、初潮が遅れたり乳房の未発達などが生じます。壮年期では、インポテンツや不妊症など、老年期では腰や膝が弱り歩行に影響を与えたり、難聴や老眼が進行します。
・腎陰虚 ~腎の水が不足した状態です。原因は、精の不足はもとより、過度な房事(性行為)です。
・腎陽虚 ~精神状態の不振や、性機能の減退、生育能力の低下が生じます。原因としては、老化による腎気虚、房事過多などです。
・腎気虚 ~腎の固摂機能(血や水の通路を外れないようにする)が低下して起こります。

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胆の病証とは?

胆は、精汁(胆汁)を流すことで、脾胃の消化吸収を助ける働きをします。この機能は、肝が調節していることから、肝の調子が悪くなれば、これらの動きも鈍くなります。また、中焦に湿熱がある場合も、同様に胆への障害が起こります。

胆汁の排泄が順調に行われないと、悪心、嘔吐、口が苦くなるなどの症状が現れます。胆汁が外に漏れると、黄疸になります。さらに、胆は、決断力や勇気の源泉です。胆気が虚すと、不安感が強くなったり、ちょっとしたことでも驚きやすくなります。

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小腸の病証とは?

小腸は、消化機能のほかに、胃から小腸に入ってきた物を清濁に分ける機能を持っています。この消化機能が上手に働かなかったり、清濁機能が低下すると、小腸の虚寒病証となります。

これは、寒邪が体内に入り込み、中焦の陽気が損傷したり、腎陽の不足によって、体を温める作用が低下することで起こる病証です。主な症状としては、食後のお腹の張りや、未消化の下痢、お腹が鳴くなどです。

もう一つが、小腸の実熱病証です。湿熱が小腸や手太陽小腸経にこもったり、手少陰心経の熱が小腸に影響して起こります。主な症状は、小便が赤く濁ったり、口舌にできものができたりします。

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大腸の病証とは?

大腸には、糟粕(飲食物のかす)を送る役割があります。このことから、大腸の病気は、主として排便異常に現れてきます。

代表的なものとしては、大腸の燥熱や水の不足によって便秘になります。そして、寒湿や湿熱が下がってくると、泥状の便や下痢が起こります。

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膀胱の病証とは?

膀胱には、尿を貯蔵して排泄する働きがあります。このことから、膀胱の病気は、主として排尿異常として現れてきます。腎の陽気が不足して膀胱の機能が低下すると、遺尿(無意識に尿を漏らしてしまう)などが起こります。

また、湿熱が膀胱にこもると、頻尿、排尿痛や尿に濁りが生じます。湿熱が長期にわたると、結石になることもあります。

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三焦の病証とは?

三焦は、食事などの水穀の精微から得られた気を、全身に送る作業を行います。この結果、血、水の代謝をよくします。三焦が病いになると、栄養の消化吸収や分配機能などに異常が現れます。

上焦の機能が衰えると、発汗障害になります。中焦では、消化不要や胃腸内の水分の停滞を引き起こします。下焦では、尿閉や下腹部痛などの症状が現れます。

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経脈の病証とは?

私たちの体内には、気血の流れる道が、縦に12本走っています。これが、いわゆる十二経脈です。経脈の始まりは、体の中心にある「中焦」です。気血は、中焦から肺へ、そして①~②・・・⑫~①・・と、1本につながった経脈を通じて、中焦に還ってきます。

①手の太陰肺経、②手の陽明大腸経、③足の陽明胃経、④足の太陰脾経、⑤手の少陰心経、⑥手の太陽小腸経、⑦足の太陽膀胱経、⑧足の少陰腎経、⑨手の厥陰心包経、⑩手の少陽三焦経、⑪足の少陽胆経、⑫足の厥陰肝経

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六経の病証とは?

古典「素問」の熱病篇において、外感病の症状と結びつけて体系化したものです。陰陽を基本として、臓腑経絡の病理の変化を6つに類型化しています。

太陽経病、陽明経病、少陽経病、太陰経病、少陰経病、厥陰経病です。

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三陰三陽の病証とは?

三陰三陽は、次のとおり時系列でとらえる病証です。

・太陽病 ~発病の初期です。悪寒が走り、熱が出て、頭痛、脈浮が症状として出てきます。
・少陽病 ~発病後、4~7日ぐらいの病態です。口が苦くなり、喉が渇き、食欲不振や悪心の症状です。
・陽明病 ~発病後、8~9日の陽病の最後の頃です。体温が高くなり、全身に熱感に包まれ、便秘などの症状が出てきます。
・太陰病 ~陽明病の後に来ます。体力が衰退し、体が冷え、腹痛、下痢嘔吐などの医療疾患を伴います。
・少陰病 ~床に入ったままうつらうつらしている状態です。脈は非常に小さくなります。
・厥陰病 ~死が近い次期です。上気して顔色は意見赤みがかっています。下半身は冷え、喉が渇き、胸が熱く、空腹感があるものの食事がとれません。

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西洋医学と東洋医学の診断の違いは?

西洋医学の診断は「病因を明らかにする」ことが目的で、細かく分析した上で、それを過去の証拠(エビデンス)に当てはめて判断します。そのため、複雑な病態であったり、過去に例の少ない症状が出ているときは、診断がつきづらくなります。「不定愁訴」など、原因が特定できない例も多くあります。

東洋医学の診断は、治療法が診断と一緒に導き出すという特徴があります。病名が確定すれば、そのまま治療法が決まるのです。例えば、風邪の初期の段階で、葛根湯という漢方薬を飲まれた方も多いかと存じます。東洋医学を取り入れている病院や漢方薬局で、葛根湯を処方されたときは、「葛根湯の証」と診断されたもので、これを飲めば、病気は治るというものです。

また、鍼灸で、「気虚の証」と診断されれば、鍼灸理論に基づき、気虚を改善するツボに、鍼灸治療を行うということです。

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四診とは?

四診とは「望・聞・問・切」の4つの診察方法を意味しており、次の種類に分類されます。

・望診 ~目で見て情報を集める、いわゆる視診です。体格や皮膚の様子、髪の毛の様子など外見や表面からわかることを対象とします。
・舌診 ~舌の厚みや、舌の表面を被う舌苔の様子から、体の水の様子を探ります。
・聞診 ~聴覚や嗅覚を通して情報を収集する方法で、声の様子や口臭、体臭などを対象とします。
・問診 ~予診票などで情報を集めることもします。病気の成り立ちの様子や、詳細な体の状態を知るうえで重要な診察法です。
・切診(触診) ~手や指で直接触って触覚で情報を集めます。皮膚の潤い度や温かさ、張り具合などを対象とします。

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望診とは?

望診とは、目で見て情報を集める、いわゆる視診です。体格や皮膚の様子、髪の毛の様子など外見や表面からわかることを対象とします。このなかの特別なものとして舌をみる「舌診」があります。

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舌診とは?

舌診は、東洋医学的な診察のなかで大変重要で、体全体のいろいろな情報を教えてくれます。舌の状態を体全体の状態に置き換えて、全身検査のつもりでみています。舌の厚みや、舌の表面を被う舌苔の様子から、体の水の様子を探ります。

舌は、体全体の位置関係も示していて、舌の根っこは体の下の方、舌先は頭の方を示しています。舌の縁は体の表面を意味して皮膚の状態を、舌の真ん中から根っこにかけては、体の真ん中を意味しおなかの様子を反映します。

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聞診とは?

聞診は、聴覚や嗅覚を通して情報を収集する方法で、声の様子や口臭、体臭などを対象とします。元気の様子や全体的な雰囲気のうち「気配」といったものを感じ取ることができます。

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切診(触診)とは?

切診(触診)は、手や指で直接触って触覚で情報を集める、いわゆる触診です。皮膚の潤い度や温かさ、張り具合などを対象とします。おなかを触る腹診や手首の脈を取る脈診も切診の一つです。脈の動きや強弱からは情報を手に入れます。東洋医学にとっては大事な診察方法です。

脈は、ただ速さを測定するのではなく、脈の力強さや脈の大きさ、脈が深い所にあるか浅い所にあるかなどを注意深く探って、体の状態と関連させて判断材料にします。手首に3本の指を当てて脈を診ますが、手首に近いところから肘に向かって、それぞれ寸(すん)脈、関(かん)脈、尺(しゃく)脈と呼んでいます。

手首に近い寸脈からは体の表面の働きの様子を、肘に近い尺脈からは体の深いところにある働きの様子を探っています。次のように左右両方から、それぞれ違った体の働きの情報として判断材料を集めています。

右寸=肺、右関=髀、右尺=腎陽、左寸=心、左関=肝、左尺=腎陰

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未病とは?

未病とは、病気が本格的に発症する前の状態のことです。未病を治すとは、病気になる前にその元を取り去るというものです。東洋医学では、この治療が最も理想的な姿と考えています。

自然界では、種から芽が出て幹が育ち、枝を出して樹になるように、すべてのものは刻々と姿を変えます。しかし、根が病気になると枝が乾燥し始め、やがて葉がしおれ、ついには枯れてしまいます。

これと同じように、私たちの病気も徐々に姿を変えます。ある段階になって初めて症状として自覚しますが、それ以前の段階でも、悪い状態が存在しているのです。つまり病気の種子は、病気と診断される前から、未病として埋め込まれているのです。

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異病同治とは?

異病同治とは、違う病気でも同じ治療法で治るというものです。

例えば、気が体内に減少する「気虚」タイプの方は、胃炎にも気管支炎にも、低血圧にも紫斑病にもなる可能性があります。東洋医学的にみると、すべて「気虚」という歪んだ状態が原因で起きた病気とみなします。よって、その原因に働きかける治療法を使うと、すべての病気が治っていくというものです。

ただ、おおもとの原因が共通しても、病気に至るまでの道筋が異なる場合は注意が必要です。病気の道筋のどこに働きかけて治療をするかによっては、病気ごとに治療法や漢方薬が変わることがあります。

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本治と標治の治療の違いは?

東洋医学では、おおもとの原因に働きかける治療のことを「本治」といいます。表面に出てくる症状を治療することを「標治」といい、同じ治療でも区別をしています。

本治治療で原因をしっかり把握できれば、少ない漢方薬を使って根本的な治療ができますので、体の負担も少なくてすみます。

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同病異治とは?

同病異治とは、同じ病気でも異なる治療法があるというものです。

この考え方は、東洋医学特有のものの見方といえます。つまり、病気という一つの現象をいろいろな角度から眺めて、その原因を考えていることの表われなのです。例えば「川の流れ」が悪くなった状態を考えると、次のような様々な原因が想定されます。

・洪水によって水の量が増えた。
・土砂崩れで川幅が狭くなった。
・水が濁ってドロドロになった。
・寒さで水が凍ってしまった。
・雨が降らずに水量が減った。

川の流れを、気血の流れに置き換えてみてください。それぞれの対処方法は、みな違うことが想像できるかと思います。このように東洋医学では、同じ病気であっても、まったく違う治療法で治すことも決して不思議ではありません。

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誘引と素因とは?

病気の原因を引き金となる直接的な原因(誘因)と、その引き金が病気を起こすまでの様々な条件(素因)を背景的原因と考えて、誘因と素因の関係で病気を理解します。

花粉症の原因が花粉にあり、感染症の原因が病原性細菌やウイルスにあることは疑いのない事実ですが、同じ環境に置かれても発症する人とそうでない人がいることを考えると、花粉や細菌は誘因にすぎず、体のひずみが素因としてもう一つの発症の原因と考えます。

誘因を除くだけでなく、素因を解決することで、同じ環境に置かれても発症しない体を目指すことができます。

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気功とは?

気功とは、「気」の流れを調整して体の歪みを治す治療方法です。「外気功」と「内気功」があります。

「外気功」は、気功師が体の外から「気」を操って調節をする治療です。「内気功」は、自分白身の力で「気」を用いて歪みを調整する方法です。どちらの気功も、動作や姿勢によって気を整える「調身」や、呼吸によって気を整える「調息」、心のあり方で気を整える「調心」があり、気の出入りや量、巡らし方を調整します。

気が過剰な場合は排出し、不足している場合は取り込みます。上昇傾向の強い場合は下に向けさせ、下降傾向の強い場合は上昇させるという使い方をしバランスを整えます。また、「気」だけでなく「水」や「血」の問題も解決します。

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鍼灸(しんきゅう)とは?

鍼灸とは、経絡(けいらく)上のツボに、はりやお灸で刺激を加えて体を調整する治療方法です。

「気」が体を流れるときには、経絡という通り道を通ると考えられています。鍼灸治療は、この経絡上の要所に、物理的な刺激を加えて、それらの流れをよくしたり体の働きを高めたりします。経絡は体中に張り巡らされていて、それらは体の特定の働きや臓腑と関係しています。異常が起きている機能や臓腑に直接症状がみられず、関連する経絡上に症状がみられることも多いため、症状が起きている場所から原因を推測したり、治療法を考えることもあります。

漢方薬と鍼灸治療を併用する場合もあります。

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漢方治療とは?

漢方治療は、体の状態や病気を分析し、生薬を組み合わせた漢方薬によって体の歪みを解決する治療方法です。

「気」「血」「水」「精」の滞りや過不足などを診て、体質である「証(しょう)」を決めます。証は一つとは限らず、また治療の過程で変化します。そして、その異常を解決する性質をもった漢方薬を使い、体のもつ働きを高めたり鎮めたり、足りないものを補充したり、余分なものを排除したりします。

単純に症状に合わせて生薬を組み合わせるだけではなく、その原因にまで踏み込んだ分析をして、もとの原因から解決する処方をします。このようにいろいろな生薬を組み合わせたものを「方剤」と呼んでいます。「漢方薬」のことです。なお、漢方治療では、ただ証に合った漢方薬を飲むだけで治すということではなく、食事や運動、睡眠といった健康な養生をセットで考えることが重要です。

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人間は自然の一部?

東洋医学の最大の特徴は、「人間を自然の一部」としてとらえることでしょう。私たち人間を自然界の動植物たちと同様に、自然と調和を図りながら生きていると考えるのです。四季と人間の調和です。

・春は、若葉の芽吹く季節です。私たちも何かウキウキするような気分になるものです。
・夏は、暑く植物も元気旺盛になります。元気いっぱいに活動したくなる季節です。
・秋は、実りの季節です。活動も抑えぎみになり、冬に備えた身支度する気分になります。
・冬は、木々も葉を落とし寒さに耐えます。私たちも心静かに過ごす日が増えます。

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生活に陰陽を取り入れるとは?

生活に陰陽を取り入れるとは、自然界の陰陽に合わせて生活を送るという考え方です。

・朝は、少し眠くても早起きをする。~目覚めは陽の活動の始まりです。
・日中は、少しくたびれたと感じる活動をする。~活発な活動は陽そのものです。
・夕方からはのんびりする。~穏やかな動きは陰への入り口です。
・夜は明かりを暗めにして早めに床に入る。~休息や睡眠は陰を作ります。

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陽気とは?

陽気は、生きるために必要なものなのです。自然界の動植物を観察すると、「陽気」なときは活動が盛んになり、寒いときは「陽気」を内側にしまって静かにしています。決して無駄使いはしません。それだけこのことは、私たちの生活においても同様なことがいえます。

この「陽気」ですが、その最人の敵は「冷え」です。冷えは、陽気を消耗させます。

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冷えの対策は?

冷えの防止策として簡単にできるのは、服装です。体を動かして温かくなっているときは、薄着でもかまいませんが、体を動かしていないときには、きちんと洋服を着て、「陽気」を逃がさないようにしてください。特に、首まわりは「熱」を逃がしやすい場所です。

首を冷気から守れば、「陽気」を守ることができます。若さにまかせて薄着による「陽気」を逃がす活動は、年齢を重ねたときに弊害が出ますのでご注意ください。

また、冷たい飲物、アイスクリームなどの氷菓子、生ものなどを食べたり飲んだりすることは、体の内部から「陽気」を攻撃することになります。夏野菜や夏の果物、緑茶のほか、生ビールやアイスクリームなど、体を冷やす性質をもつ飲食物を習慣的にとることは避けたいものです。

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水分を取るタイミングは?

水を取るタイミングは「のどの渇き」です。この感覚が水分補給の合図です。ただし、水が体内を巡るには、多少の時間が必要ですので、そのとき渇きが癒えるまで飲み続けないようにしてください。結果的に水分過剰になってしまいます。

喉が渇いたときだけ、少しずつ飲むようにしてください。また適量な水と思っていても、体の中で動いていない水は、さまざまな問題を起こします。自然界でも貯まっている水は、濁っています。これと同じく、体内に残った水は、蓄膿症やニキビ、痰、口内炎などという症状をもたらします。

特に冬の時期に冷たいものを多くとると、少ない「陽気」を傷つけることになりますので、適量を心がけてください。

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食事の役割は?

食事は、自分の力では作り出せない“もの”を体に取り込む行為です。“もの”とは単なる栄養だけでなく、「生命力」です。食べるという行為は、他の生命体から生命の根源である「気」をいただいている行為なのです。

食べ物を体に取り込み「気」に変化させるためには、別のエネルギー(気)が必要です。しかし、もともと気が不足している気虚の方は、この気を使えずに食べ物からの気を取り出すことが苦手なのです。こういう場合は、むしろ食事を少なくし、体内の気を強めることも必要です。無理に食べずに、体の様子を見ながら少しずつ食べることも必要です。

同じように、風邪などの病気のときに食欲がなくなるのは、体の防衛反応といえます。食べ物をエネルギーに変えるパワーを、病気を治癒するところに向けたいので、わざと食欲を落としているのです。後に元気になれば、自然に食欲も出てくるので、病気で食欲が落ちているときには無理して食べないことが必要です。

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食欲の意味は?

食欲とは、体がエネルギーを補充して欲しいという要求です。健康な人は食欲が旺盛ですが、それは、元気な分だけ活動レベルが高く、エネルギーの消費も活発なためです。だから、食欲のない人や元気のない人が、「たくさん食べれば元気になる」と思い、無理をしてたくさん食べてはいけません。

空腹感もないのに食べることは、引き取り手のないエネルギーを補給するようなもので、中性脂肪として体に蓄積します。この余分なものは、「気血」の流れを阻害することになります。食べ物を健康的にとる秘訣は、空腹を感じたときに食べることにつきます。

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旬な食材とは?

旬の食べ物がおいしく感じられるのは、思い込みや偶然ではありません。味覚は、食材の「気」の質を見分ける力があり、体の要求に合わせ、体に必要なものだけを取り込もうと働きかけます。また味覚は、食材の「気」の質を見分ける力があり、体の要求に合わせ、体に必要なものだけを取り込もうと働きかけます。

旬なものには、その季節の良質な「気」が充満しています。

その自然な感覚よりも、栄養学的な知識や、人工的に加工された食材を選ぶことは、東洋医学的にはよろしくありません。食べ物から生命の根源である「気」を取り出すという考え方を、いつでも頭に入れておいてほしいものです。

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医食同源とは?

食材には、「熱」や「湿」に作用する薬のような働きがあります。「医食同源、薬食同用」と言われるように、食材も薬のように扱うことが東洋医学の教えなのです。

食材を「陰陽」の考え方に基づくと、次のようになります。

・寒性・涼性 ~体を冷やす性質があります。熱を下げ、毒を消す作用があります。
・温性・熱性 ~体を温める性質があります。冷えを取り、痛みを和らげる作用があります。

一般的には、「気血」の巡りをよくするので、すべての体質に有効です。ただしこれらの食べ物は、余分な熱だけでなく、体に必要な熱も冷ましますので注意が必要です。特に気虚、陽虚、血瘀、湿痰タイプの人が取りすぎると、「気血」の動きが悪化することがあります。

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食材の分類は?

酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味は、食材を「五行」の考え方に合わせ5つに分類する方法です。

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酸味とは?

酸味とは、すっぱい味のことです。収斂(しゅうれん)作用といって、柔らかいものを固めたり、漏れて外に出るものを止める作用があります。鼻水、汗、下痢、頻尿などの症状を抑えるのに効果があります。

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苦味とは?

苦味とは、「火」の勢いを鎮める働きがあります。また、「熱」による咳、出血、胃痛を和らげます。余分な水を渇かす働きもあるので、胃もたれや下痢などの胃腸障害にも効果があります。

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甘味とは?

甘味とは、胃腸の働きを整えて「気・血」を補います。腹痛やけいれんなどの症状を和らげます。また虚弱な体質を改善する効果もあります。疲れたときに甘い物が欲しくなったりするのはこのことです。

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辛味とは?

辛味とは、「気・血」の巡りをよくして、発散や発汗を促します。風邪菌を体内に入れなくするのに役立ちます。また痛みをとる作用もあります。捻挫や打撲の際に辛子入りの湿布をするのはこのためです。

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鹹味とは?

鹹味とは、塩辛い味のことです。潤いや固まったものを柔らかくする作用があります。「腎」と関係し便秘の解消、小便の出をよくします。また下腹部の痛みを取ります。

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薬膳とは?

薬膳は、漢方薬を飲むのと同じような効果を食事で実現できます。漢方薬の原料である生薬を、食材として利用するからです。

ただ、薬膳というと健康食というイメージがあり、それを食べると誰もが健康になれると思いがちですが、注意することがあります。それは、薬膳は、薬としての働きが際立ったものを集めて献立を考えるのですから、一人ひとりの体質に合わせて組み立てなければならない、というものです。

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健康茶とは?

健康茶は、古くから民間療法として利用されていて、根強いファンも多いものです。

しかし健康茶も、漢方薬ほどの効果は期待できないとしても、体の状態をある方向に変える働きをもつ薬の一種です。やみくもに選ぶのではなく、ご自分の体質に合ったものを飲んでいただきたいものです。

実際、体の弱い人が、日常的に飲んで健康を手に入れるという考えには適さないものも多いものです。そして、どんなに自分の体質に合ったお茶でも飲みすぎはいけません。また、いつまでも飲み続けるというのはよろしくありません。

健康を手に入れようとするばかりに、喉も渇かないのに飲んだりしては「湿」をため込み、かえって健康を害します。胃腸が弱い人や胃下垂の人ほど水分が体に停滞しやすく、そして過剰な水分は病気のもとになります。

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コーヒーや紅茶は健康に良い?

気分転換や毎日の嗜好品として緑茶、紅茶、コーヒーなどを飲む方は多いと思いますがが、これも薬としての働きをもっています。

例えば緑茶(煎茶、抹茶、番茶)は、漢方薬では解熱剤として使われる体を冷やす飲み物です。いくら熱いものを飲んだとしても、体を冷やすものです。日常的に飲む場合は、胃腸の弱い方、冷え症の方は注意してください。

一方で、紅茶やほうじ茶は、体を冷やす働きが和らいでいます。しかし、冷やす働きが少ないとはいえ、飲みすぎると、「湿」をつくって悪さをするのは同じです。

ウーロン茶、コーヒーも体を冷やします。体を冷やす作用は生命力を低下させることにもつながるので、体質を考慮しながらお飲みください。

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五行の臓器とは?

五行を5つの臓器に当てはめて考えます。

・木=肝  「肝(かん)」は、気血が体内を巡る調整する役割を担っています。感情や自律神経とも関連しています。
・火=心  「心(しん)」は、心拍動や血液の循環エンジンである心臓と同じ働きをします。意識や思考とも関連しています。
・土=脾  「脾(ひ)」は、消化吸収をして生命力を補充する役割です。飲食物から得る栄養素をエネルギーに変える働きです。
・金=肺  「肺(はい)」は、呼吸のほか水分代謝や皮膚の調整役や免疫機能との関係があります。
・水=腎  「腎(じん)」は、現代医学の腎臓が行う水分の代謝を行います。また、人間の成長や発育、生殖に関連しています。

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後天の精とは?

後天の精とは、誕生以降の精で、呼吸や飲食物から得られるものです。「脾」や「胃」でつくられます。後天の精は、「水、血」のもとになります。

また、「肺」を通じて、「宗気、営気、衛気」などとなって、全身に送られます。また、親からいただいた大事な先天の精を補給する役割があります。

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胃の病気とは?

胃は、飲食物を受け入れ、消化する働きをします。胃が痛んだり、消化機能に異常が現れると胃の病のサインです。

・胃寒 ~寒邪が胃を犯している病証で、上腹部の冷痛などが起こります。
・胃熱 ~邪熱や精神抑鬱、油っこい物や甘い物、辛い物などの偏食が原因になります。
・食滞 ~脾胃の運動に異常が生じたり、脾胃に寒があることによって、食物が胃腸に滞っている状態をいいます。

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※これらは歴史的・伝統的文献に基づく一般的な情報であり、現代医学的な診断・治療を置き換えるものではありません。

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