牡丹皮(ぼたんぴ)とは?瘀血による痛みやしこり、のぼせ・ほてりに使う生薬を体質別に解説

牡丹皮(ぼたんぴ)は、ボタンの根皮を乾燥した生薬です。瘀血をめぐらせる働き(活血化瘀)、血の熱をさます働き(清熱涼血)、しこりを消す働き(消癰)から、瘀血による痛み・しこり、のぼせやほてり、皮膚の炎症などのケアに用いられてきました。桂枝茯苓丸をはじめ、瘀血処方の代表的な構成生薬として知られています。KanpoNowでは、この生薬を「瘀血をめぐらせ、血の熱をさます生薬」として整理します。
- 牡丹皮(ぼたんぴ)はボタン(Paeonia suffruticosa Andr.)の根皮を乾燥した生薬で、日本薬局方に収載されています*①②
- 主成分はペオノール(paeonol)、ペオノリド、タンニン類、フラボノイドなどで、抗炎症・抗酸化・循環改善に関わる知見が報告されています*②③
- 漢方では、瘀血をめぐらせ(活血化瘀)、血の熱をさまし(清熱涼血)、しこりを消す(消癰)働きで用いられます*①②③
- 月経異常や出血傾向がある場合は用量・配合に注意します。妊娠中や不正出血がある場合は医療専門家に相談します
牡丹皮は当帰・川芎・桃仁・赤芍など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。大量出血、急な強い腹痛・発熱、皮膚症状の急速な悪化がある場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
牡丹皮とは
牡丹皮(ぼたんぴ)は、ボタン科ボタン(Paeonia suffruticosa Andr.)の根皮を乾燥させた生薬です。『神農本草経』の中品に収載される歴史ある生薬で、秋に根を掘り取り、水洗いしてから木槌で軽くたたいて割れ目から硬い木部を取り除く「芯ぬき」という工程を経て作られます。落葉低木で中国が原産、日本へは仏教とともに渡来したと伝えられ、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれるように、美しさの象徴として表現されるボタンの花からとれる生薬です。
漢方薬剤師の視点では、牡丹皮は「活血化瘀薬(血のめぐりを促し瘀血を除く生薬)」に分類されます。瘀血に伴う痛み・しこり、月経困難や月経不順、のぼせ・ほてり、皮膚の紅斑・炎症などに対して用いられてきました。活血化瘀を主眼に、当帰・川芎・桃仁・赤芍などと組み合わせ、清熱薬と併用されることもあります。桂枝茯苓丸では、瘀血による痛みやほてりをさます役割を担っています。
基原・成分データ
牡丹皮の基本データを整理します。ボタンの根皮を用いること、ペオノールなどの成分を含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。牡丹皮は、苦く辛く、やや冷やす性質(微寒)で、心・肝・腎に働きます(出典により帰経の記載に異動があります)。
「苦」は熱をさばく味、「辛」は瘀血を散らす味とされます。血の熱をさましながら瘀血をめぐらせる働きと結びつきます。
「微寒」はやや涼〜寒寄りの性質で、瘀血によるのぼせ・ほてりをおだやかに冷ます方向に働きます。
心・肝に働いて瘀血をめぐらせ、腎に働いて血の熱をさまし、月経トラブルやのぼせ・ほてりに関わります。
漢方的な働きの軸
牡丹皮の働きは、大きく三つの軸で整理できます。瘀血をめぐらせる軸、血の熱をさます軸、しこりを消す軸が重なり、瘀血の痛み・のぼせほてり・皮膚炎症を整えます。
伝統的な使われ方
牡丹皮は古くから、活血化瘀・清熱涼血・消癰を目的に用いられてきました。瘀血に伴う痛み・しこり、月経困難や月経不順、のぼせ・ほてり、皮膚の紅斑・炎症などのケアに用いられてきた歴史があります。牡丹皮は心・肝・腎に入り、活血化瘀を主眼に、当帰・川芎・桃仁・赤芍などと組み合わせ、清熱薬と併用されることもあるのが特徴です。
桃仁・桂皮などと組み合わせて、下腹部痛・肩こり・月経異常を整える処方(桂枝茯苓丸料)、当帰・芍薬などと組み合わせてのぼせ感・月経不順・月経困難を整える処方(加味逍遙散)に配合されます。また、唇がかわく月経不順・月経困難・更年期障害を整える処方(温経湯)、月経不順を整える処方(芎帰調血飲第一加減)にも用いられます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
牡丹皮は、ボタンの根皮ならではの特徴をもつ生薬です。
「芯ぬき」された根皮
秋に根を掘り取り、水洗いしてから木槌で軽くたたいて割れ目から硬い木部を取り除く「芯ぬき」という工程を経て作られ、日干し後5cm程度に刻まれます。
独特の芳香
独特の芳香があり、味は苦みと辛みが中心です。微寒性で、瘀血によるのぼせ・ほてりをおだやかに冷ます方向に働きます。
他の生薬と組み合わせて使用
当帰・川芎・桃仁・赤芍など、他の活血薬・清熱薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
牡丹皮は瘀血をめぐらせ血の熱をさます生薬です。瘀血傾向・のぼせほてりがあるか、逆に出血傾向や妊娠中でないかを見極めることが大切です。
瘀血・月経トラブルタイプ
痛み・しこり・刺すような痛み、月経の乱れがみられるタイプに向きます。牡丹皮の中心的な使い道です。
判断ポイント:瘀血による月経トラブル。のぼせ・ほてりタイプ
くすみ・しみ、のぼせ・ほてりのケアに用いられてきました。
判断ポイント:清熱涼血の働き。皮膚の炎症タイプ
皮膚の紅斑・炎症には、他の清熱薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:他の生薬と組み合わせて調整。出血傾向・妊娠中のタイプ
出血傾向がある場合や妊娠の可能性がある場合は、専門家に相談してください。
判断ポイント:出血傾向・妊娠中は要相談。安全性と受診の目安
牡丹皮は処方の中で用いられる活血化瘀薬ですが、体質や体調により胃部不快・腹痛・下痢などが出ることがあります。月経異常や出血傾向がある場合は用量・配合に注意します。妊娠中や不正出血がある場合は医療専門家に相談します。大量出血、急な強い腹痛・発熱、皮膚症状の急速な悪化がある場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。
- すぐに相談:大量出血、急な強い腹痛・発熱、皮膚症状の急速な悪化
- 服薬中:持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
牡丹皮が気になる方は、生理不順、ほてりとの関係も確認すると理解が深まります。
牡丹皮を含む漢方薬
牡丹皮は、瘀血・月経トラブル・のぼせほてりを整える処方に配合されます。牡丹皮の瘀血をめぐらせ血の熱をさます働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)との関係は?
桂枝茯苓丸は活血化瘀を目的とした代表方剤で、しみ・のぼせ・肩こり・月経不順などに用いられます。牡丹皮は桂枝茯苓丸の構成生薬の一つで、瘀血による痛みやほてりをさます役割を担います。
Q. 芍薬との違いは?
どちらも婦人科系の生薬として用いられますが、牡丹皮は瘀血をめぐらせ血の熱をさます清熱涼血の力に優れ、芍薬は血を補い痛みを緩める柔肝止痛の力に優れるため、症状に応じて使い分けたり組み合わせたりします。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
瘀血傾向(痛み・しこり・刺すような痛み、月経の乱れ、くすみ・しみ、のぼせ・ほてり)に向きます。出血傾向がある場合や妊娠の可能性がある場合は専門家に相談してください。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
牡丹皮は、瘀血をめぐらせ血の熱をさます生薬ですが、月経トラブルやのぼせほてりの背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。大量出血、急な強い腹痛・発熱、皮膚症状の急速な悪化がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。妊娠中の方、出血傾向のある方は使用を避け、症状が長引く・悪化する場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。