芒硝(ぼうしょう)
まずは要点
- どんな生薬? 芒硝(ボウショウ)は、日本薬局方に収載の鉱物生薬で、瀉下・軟堅の目的で用いられます。特に熱結便秘や実証の便秘に配合されます。*①②
- 中身は? 主成分は硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4·10H2O)で、吸湿性が高く、腸管内で浸透圧性に作用して便を軟化させます。*①②③
- 注意点 大量・長期で脱水や電解質異常(低ナトリウム血症など)を招くおそれがあります。体力の低い方、腎・心疾患がある方、妊娠中は慎重に。*②③
芒硝の基礎データ
- 読み方: ボウショウ
- 基原・由来: 天然の硫酸ナトリウム結晶(十水和物)を精製したもの(鉱物生薬)。*①②
- 主要成分: 硫酸ナトリウム(Na2SO4·10H2O)。*①②
- 性味: 苦・鹹 / 寒 帰経: 胃・大腸。*②③
伝統的な使われ方
熱や乾燥で腸にこもった便をやわらげて排出を促す目的(瀉下・軟堅)で配合されます。腹部膨満を伴う強い便秘や、熱結による実証の便秘に用いられてきました。*②③
この生薬を含む漢方薬例
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)(便秘、むくみ、にきび など)
- 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)(月経痛、月経不順、便秘 など)
- 調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
- 大承気湯(だいじょうきとう)
安全性と受診の目安
体質や用量により、腹痛・下痢・脱水・電解質異常(低ナトリウム血症など)が出ることがあります。高齢者や腎機能低下のある方では特に注意が必要です。気になる症状があれば使用を中止し、専門家に相談してください。*②③
- すぐ相談: 強い腹痛、ひどい下痢、ふらつき・口渇・倦怠感が続くとき。
- 服薬中: 利尿薬や下剤を併用中、腎・心疾患がある、妊娠中・授乳中の方は事前に専門家へ。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. どんな便秘に向きますか?
A. 体力が比較的あり、腹部膨満や硬便を伴う実証タイプの便秘に用いられます。虚弱な方の慢性便秘には適さないことがあります。*②
Q. ほかの瀉下薬との違いは?
A. 芒硝は浸透圧性に便を軟化させるタイプで、刺激性下剤(大黄など)の配合と組み合わせて用いられることがあります(処方による)。*②③