竹茹(ちくじょ)とは?痰のからむ咳や吐き気、熱による不眠に使う生薬を体質別に解説

竹茹(ちくじょ)は、マダケやハチクなど竹の稈内層(甘皮)を薄く削った生薬です。熱をさばき痰をさばく働き(清熱化痰)や、逆流した胃気を降ろし吐き気を止める働き(降逆止嘔)、心の熱を清め煩わしさを除く働き(清心除煩)から、痰のからむ咳、吐き気・しゃっくり、熱による不眠や胸のつかえなどのケアに用いられてきました。身近な竹から作られる、清熱化痰薬の代表格です。KanpoNowでは、この生薬を「熱と痰をさばき、吐き気と心の煩わしさを鎮める生薬」として整理します。
- 竹茹(ちくじょ)はマダケ(Phyllostachys bambusoides)やハチク(P. nigra var. henonis)などの稈内層(甘皮)を薄く削った生薬です*①②
- 主成分はセルロース、リグニン、ペントサンなどの多糖質と、少量のトリテルペンです*②③
- 漢方では、熱をさばき痰をさばき(清熱化痰)、逆流した胃気を降ろし吐き気を止め(降逆止嘔)、心の熱を清め煩わしさを除く(清心除煩)働きで用いられます*①②③
- 持続する嘔吐や脱水、血を吐く・黒色便、呼吸困難や血痰、強い胸痛などがある場合は受診が必要です
竹茹は橘皮・半夏・生姜など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。強い胸痛や息切れ、意識障害がある場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
竹茹とは
竹茹(ちくじょ)は、イネ科のマダケ(Phyllostachys bambusoides Siebold et Zucc.)やハチク(P. nigra (Lodd. ex Lindl.) Munro var. henonis)などの茎(稈)の外層を削り取ったあとに残る、内側の甘皮を薄く削り取って乾燥させた生薬です。地域や加工方法により、帯状にしたもの(粗竹茹)や糸状にしたもの(細竹茹)など、いくつかの形状があります。身近な竹から作られる、清熱化痰薬の代表的な生薬として知られています。
漢方薬剤師の視点では、竹茹は「清熱化痰薬(熱をさばき痰をさばく生薬)」に分類されます。痰熱による咳嗽・黄色く粘稠な痰、胃熱による吐き気・げっぷ・しゃっくり、熱による煩躁・不眠などに応用されます。橘皮・陳皮・半夏・生姜などと配合して清熱化痰・降逆止嘔を助け、温胆湯や橘皮竹茹湯、竹茹温胆湯などの処方に含まれます。
基原・成分データ
竹茹の基本データを整理します。竹の稈内層(甘皮)を用いること、セルロース・リグニンなどの多糖質を主成分とすることが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。竹茹は、甘く、やや冷やす性質(微寒)で、肺・胃・胆に働きます。
「甘」はやわらげ整える味とされます。熱と痰をおだやかにさばきながら、吐き気や煩わしさを鎮める働きと結びつきます。
「微寒」はやや涼〜寒寄りの性質で、痰熱や胃熱、心にこもった熱をおだやかに冷ます方向に働きます。
肺に働いて痰のからむ咳を、胃に働いて吐き気・しゃっくりを、胆に働いて熱による不眠・煩躁をやわらげる方向に働きます。
漢方的な働きの軸
竹茹の働きは、大きく三つの軸で整理できます。熱と痰をさばく軸、逆流した胃気を降ろす軸、心の熱を清め煩わしさを除く軸が重なり、咳・吐き気・不眠を整えます。
伝統的な使われ方
竹茹は古くから、清熱化痰・降逆止嘔・清心除煩を目的に用いられてきました。痰熱による咳嗽・黄痰、胃熱による吐き気・しゃっくり、熱による煩躁・不眠などのケアに用いられてきた歴史があります。竹茹は肺・胃・胆に入り、微寒性のためおだやかに熱をさばく力が特徴です。
橘皮・半夏・生姜などと組み合わせて、清熱化痰・降逆止嘔を助ける処方(温胆湯・橘皮竹茹湯・竹茹温胆湯)に配合されます。とくに橘皮竹茹湯は嘔吐・しゃっくりに比重があり、温胆湯は痰による咳や胸のつかえ・不眠を併発する場合に選ばれることが多いとされます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
竹茹は、竹の甘皮ならではの特徴をもつ生薬です。
薄く削られた帯状・糸状の皮
竹の稈内層(甘皮)を薄く削ったもので、帯状にしたもの(粗竹茹)や糸状にしたもの(細竹茹)などの形状があります。
甘みがあり微寒性
味は甘みがあり、性質は微寒。肺・胃・胆にこもった熱をおだやかに冷ます方向に働きます。
他の生薬と組み合わせて使用
橘皮・半夏・生姜など、他の生薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
竹茹は熱と痰をさばきながら吐き気と心の煩わしさを鎮める生薬です。痰熱・胃熱があるか、逆に冷えが強く痰が薄いタイプでないかを見極めることが大切です。
痰熱の咳嗽タイプ
黄色く粘稠な痰がからむ咳がみられるタイプに向きます。竹茹の中心的な使い道です。
判断ポイント:痰熱による咳嗽。胃熱の吐き気・しゃっくりタイプ
胃の熱による吐き気・げっぷ・しゃっくりのケアに用いられてきました。
判断ポイント:胃熱による吐き気。熱による不眠・胸のつかえタイプ
熱で落ち着かない・眠りづらい場合には、他の生薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:他の生薬と組み合わせて調整。冷えが強く痰が薄いタイプ
微寒性のため、冷えが強く痰が薄く水っぽいタイプには基本的に不向きです。
判断ポイント:寒証には不向き。安全性と受診の目安
竹茹は処方の中で用いられる清熱化痰薬ですが、持続する嘔吐や脱水、血を吐く・黒色便、呼吸困難や血痰、強い胸痛などがある場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は事前に専門家へ確認してください。自己判断での長期連用・過量は避け、用法・用量を守ります。
- すぐに相談:持続する嘔吐・血性嘔吐、激しい胸痛・息切れ、意識障害
- 服薬中:症状が改善しない・悪化する場合は受診する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
竹茹が気になる方は、咳・喘息、不眠との関係も確認すると理解が深まります。
竹茹を含む漢方薬
竹茹は、痰熱・胃気上逆・熱による不眠を整える処方に配合されます。竹茹の熱と痰をさばく働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. 橘皮竹茹湯と温胆湯の使い分けは?
いずれも痰熱や胃気上逆に伴う吐き気・しゃっくりに用います。橘皮竹茹湯はより嘔吐・しゃっくりに比重があり、温胆湯は痰による咳や胸のつかえ・不眠を併発する場合に選ばれることが多いです。
Q. 竹茹はどのように作られますか?
マダケやハチクなどの竹の稈から外層を削り取ったあと、内側に残る甘皮をさらに薄く削り取って乾燥させます。地域や加工方法により、帯状(粗竹茹)や糸状(細竹茹)などの形状があります。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
黄痰で粘稠な痰がからむ咳、胃の熱による吐き気やげっぷ・しゃっくり、熱で落ち着かない・眠りづらい場合に向きます。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
竹茹は、熱と痰をさばき吐き気と心の煩わしさを鎮める生薬ですが、咳や不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。持続する嘔吐や脱水、血を吐く・黒色便、呼吸困難や血痰、強い胸痛がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。