釣藤鈎(ちょうとうこう)とは?慢性頭痛やめまい、のぼせや不眠に使う生薬を体質別に解説

釣藤鈎(ちょうとうこう)は、カギカズラの鈎状のとげを付けた茎枝を乾燥した生薬です。上昇した肝の陽気を鎮め風を止める働き(平肝熄風)や、気持ちを落ち着け痙攣を鎮める働き(鎮静鎮痙)から、慢性頭痛やめまい、のぼせ・耳鳴り、不眠・神経の高ぶりなどのケアに用いられてきました。釣り針のような特徴的な鈎刺をもつ、平肝熄風薬の代表的な生薬です。KanpoNowでは、この生薬を「上昇した気を鎮め、頭とこころを落ち着ける生薬」として整理します。
- 釣藤鈎(ちょうとうこう)はカギカズラ(Uncaria rhynchophylla Miquel)などの鈎刺を付けた茎枝を乾燥した生薬で、日本薬局方に収載されています*①②
- 主成分はリンコフィリン、ヒルスチンなどのオキシインドールアルカロイド、クロロゲン酸などです*①③
- 漢方では、上昇した肝の陽気を鎮め風を止め(平肝熄風)、気持ちを落ち着け痙攣を鎮める(鎮静鎮痙)働きで用いられます*①②③
- 突然の激しい頭痛、ろれつが回らない・手足の麻痺、意識障害、著しい血圧上昇などは緊急受診が必要です
釣藤鈎は菊花・石膏や柴胡・天麻など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ってください。
釣藤鈎とは
釣藤鈎(ちょうとうこう)は、アカネ科のカギカズラ(Uncaria rhynchophylla Miquel)、U. sinensis、U. macrophyllaなどのつる性植物の、鈎状のとげ(鈎刺)を付けた茎枝を乾燥させた生薬です。つるにある釣り針のような鈎刺の形が名前の由来で、この鈎刺の部分に有効成分が多く含まれるとされています。
漢方薬剤師の視点では、釣藤鈎は「平肝熄風薬(上昇した肝の気を鎮め、風を止める生薬)」に分類されます。慢性頭痛・頭重、めまい・のぼせ、神経の高ぶりや不眠、血圧高めの傾向などに応用されます。菊花や石膏と配合して上昇した陽気を鎮め(釣藤散)、柴胡などと合わせて神経の昂ぶりを抑え(抑肝散)、天麻と配合して振戦やめまいを和らげます(天麻鈎藤飲)。
基原・成分データ
釣藤鈎の基本データを整理します。カギカズラの鈎刺を付けた茎枝を用いること、オキシインドールアルカロイドを含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。釣藤鈎は、甘く、やや冷やす性質(微寒)で、肝・心に働きます。
「甘」はやわらげ鎮める味とされます。上昇した肝の陽気をおだやかに鎮め、こころを落ち着ける働きと結びつきます。
「微寒」はやや涼〜寒寄りの性質で、上衝によるのぼせ・頭痛をおだやかに冷ます方向に働きます。
肝に働いて上昇した気を鎮め、心に働いて神経の高ぶりを鎮め、頭痛・めまい・不眠に関わります。
漢方的な働きの軸
釣藤鈎の働きは、大きく二つの軸で整理できます。上昇した肝の気を鎮める軸、こころを落ち着け痙攣を鎮める軸が重なり、頭痛・めまい・不眠を整えます。
伝統的な使われ方
釣藤鈎は古くから、平肝熄風・鎮静鎮痙を目的に用いられてきました。慢性頭痛・頭重、めまい・のぼせ、神経の高ぶりや不眠、血圧高めの傾向などのケアに用いられてきた歴史があります。釣藤鈎は肝・心に入り、上衝傾向をおだやかに鎮める力が特徴です。
菊花・石膏などと組み合わせて、上昇した陽気による頭痛・頭重を整える処方(釣藤散)、柴胡などと組み合わせて神経の昂ぶりを抑える処方(抑肝散・抑肝散加陳皮半夏)、天麻と組み合わせて振戦やめまいを和らげる処方(天麻鈎藤飲)に配合されます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
釣藤鈎は、鈎刺をもつつる性植物ならではの特徴をもつ生薬です。
鈎状のとげがついた茎枝
釣り針のような鈎刺(対生または片方のみ)がついた茎枝を短く切ったもの。鈎刺の部分に有効成分が多く含まれます。
甘みがあり微寒性
味は甘みがあり、性質は微寒。上昇した気をおだやかに鎮める方向に働きます。
後下(長く煎じすぎない)が基本
有効成分が熱に不安定なため、煎じすぎないよう他の生薬より後に加える「後下」が基本とされます。他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。
体質別の向き・不向き
釣藤鈎は上昇した気を鎮める生薬です。上衝・神経の高ぶりがあるか、逆に突然の激しい症状でないかを見極めることが大切です。
上衝・頭痛頭重タイプ
慢性頭痛・頭重、めまい・のぼせがみられるタイプに向きます。釣藤鈎の中心的な使い道です。
判断ポイント:上衝による頭痛・頭重。神経の高ぶり・不眠タイプ
神経の高ぶり・不眠・イライラのケアに用いられてきました。
判断ポイント:神経の高ぶりによる不眠。高血圧傾向のタイプ
血圧高めの傾向には経過を見ながら、他の生薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:血圧の変化に注意。突然の激しい頭痛・神経症状タイプ
雷鳴頭痛、ろれつが回らない・片側の麻痺、意識障害がある場合は自己判断で対処せず、直ちに受診してください。
判断ポイント:緊急受診が必要。安全性と受診の目安
釣藤鈎は処方の中で用いられる平肝熄風薬ですが、突然の激しい頭痛、神経症状(ろれつが回らない・手足の麻痺)、意識障害、著しい血圧上昇などがある場合は、自己判断で対処せず直ちに受診してください。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:雷鳴頭痛、麻痺・言語障害、胸痛や息切れを伴う、著明な高血圧
- 服薬中:症状が続く・悪化する場合、他剤併用時は受診する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
釣藤鈎が気になる方は、頭痛、めまい、不眠との関係も確認すると理解が深まります。
釣藤鈎を含む漢方薬
釣藤鈎は、上衝・神経の高ぶりを整える処方に配合されます。釣藤鈎の気を鎮める働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. どんな体質・症状に向きますか?
頭痛・頭重やめまい、のぼせ、耳鳴り、不眠など、上衝傾向や神経の高ぶりを伴う症状に向きます。
Q. 釣藤散と抑肝散の違いは?
釣藤散は頭痛・頭重(とくに中高年・血圧高め傾向)を主眼に、抑肝散は神経の昂ぶりや不眠・苛立ちなどを主眼にします。体質や随伴症状で使い分けます。
Q. 煎じ方に注意点はありますか?
有効成分のアルカロイドが熱に不安定なため、他の生薬より短時間で仕上げる「後下」が基本とされます。長く煎じすぎると効果が弱まることがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
釣藤鈎は、上昇した気を鎮め頭とこころを落ち着ける生薬ですが、頭痛や不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。突然の激しい頭痛、神経症状、意識障害、著しい血圧上昇がある場合は、直ちに医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。