釣藤鈎(ちょうとうこう)
まずは要点
- どんな生薬? 釣藤鈎(ちょうとうこう)はカギカズラ(Uncaria rhynchophylla ほか)の鈎状のとげを付けた茎枝を乾燥した生薬で、伝統的に平肝熄風・鎮静鎮痙のはたらきが知られます。慢性頭痛やめまい、のぼせ・耳鳴り、不眠・神経の高ぶりなどに配合されます。*①②③
- 中身は? オキシインドールアルカロイド(リンコフィリン、ヒルスチン、コリノキセイン等)やフェニルプロパノイド(クロロゲン酸)などを含みます。*①③
- 注意点 突然の激しい頭痛、神経症状(ろれつが回らない・手足の麻痺)、意識障害、著しい血圧上昇などは緊急受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。*④
釣藤鈎の基礎データ
- 読み方: ちょうとうこう
- 基原・由来: カギカズラ(Uncaria rhynchophylla Miquel)、U. sinensis、U. macrophylla(アカネ科)の鈎刺を付けた茎枝。日本薬局方に収載(ラテン名:UNCARIAE UNCIS CUM RAMULUS、総アルカロイド0.03%以上)。*②
- 主要成分: リンコフィリン、ヒルスチン、(イソ体を含む)オキシインドールアルカロイド、クロロゲン酸など。*①③
- 性味: 甘 / 微寒 帰経: 肝・心。*①②
伝統的な使われ方
慢性頭痛・頭重、めまい・のぼせ、神経の高ぶりや不眠、血圧高めの傾向などに応用されます。菊花や石膏と配合して上昇した陽気を鎮め(釣藤散)、柴胡などと合わせて神経の昂ぶりを抑え(抑肝散)、天麻と配合して振戦やめまいを和らげます(天麻鈎藤飲)。*①②③
この生薬を含む漢方薬例
- 釣藤散(ちょうとうさん)(頭痛・めまい・肩こりなど)
- 抑肝散(よくかんさん)(不眠・不安など)
- 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)(不眠・不安など)
- 天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)
- 七物降下湯(しちもつこうかとう)
安全性と受診の目安
突然の激しい頭痛、ろれつ障害・片側の脱力やしびれ、視覚異常、意識がもうろうとする、極端な血圧上昇を伴う場合は直ちに受診してください。自己判断での長期連用や過量は避け、体質や持病・併用薬に応じて専門家に相談を。*④
- すぐ相談: 雷鳴頭痛、麻痺・言語障害、胸痛や息切れを伴う、著明な高血圧。
- 服薬中: 症状が続く/悪化する場合、他剤併用時は受診。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. どんな体質・症状に向きますか?
A. 頭痛・頭重やめまい、のぼせ、耳鳴り、不眠など、上衝傾向や神経の高ぶりを伴う症状に向きます。*①②③
Q. 釣藤散と抑肝散の違いは?
A. 釣藤散は頭痛・頭重(特に中高年・血圧高め傾向)を主眼に、抑肝散は神経の昂ぶりや不眠・苛立ちなどを主眼にします。体質や随伴症状で使い分けます。*②③