独活(どっかつ)

まずは要点

  • どんな生薬? 独活(どっかつ)はウド(Aralia cordata)の根茎および根を乾燥した生薬で、伝統的に祛風除湿・止痛のはたらきが知られます。頭痛・肩こり、腰膝や関節の痛み・こわばり、四肢のしびれなどに配合されます。*①②③
  • 中身は? 精油成分、クマリン様成分、サポニン様成分などが報告されています(産地・部位により差)。*①③
  • 注意点 発熱や赤く腫れた関節、歩行困難、しびれ・力が入りにくいなど神経症状を伴う場合は受診を検討します。外傷・激しい痛みや腫脹が強い場合も医療機関へ。自己判断での長期連用・過量は避けます。*④

独活の基礎データ

  • 読み方: どっかつ
  • 基原・由来: ウド(Aralia cordata Thunb., ウコギ科)の根茎および根。日本の生薬基準類に記載。*①②
  • 主要成分: 精油、クマリン様成分、サポニン様成分など。*①③
  • 性味: 辛・苦 / 温 帰経: 腎・膀胱。*①③

伝統的な使われ方

風寒湿による頭痛・項背のこわばり、腰膝や関節の痛み・しびれなどに応用されます。羌活や防風と配合して上部の風湿を散じ、当帰・川芎・地黄などと合わせて血行を助けます(独活寄生湯・清上防風湯など)。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

関節が赤く腫れて熱を持つ、高熱・悪寒戦慄、片側の手足の脱力・しびれ、歩行困難や失禁を伴う腰痛などの際は早めに受診してください。持病や他剤併用がある場合は専門家に相談を。*④

  • すぐ相談: 赤く熱い関節、発熱と激痛、麻痺・感覚低下、膀胱直腸障害。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 羌活(きょうかつ)との違いは?

A. いずれも祛風除湿・止痛に用いますが、羌活は上半身(項背・頭)の風寒湿に、独活は下肢・腰膝など下半身の痛みにより用いられるとされます。症状の部位で使い分け・併用します。*①③

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 天候や冷えで悪化する頭痛・肩こり、腰膝・関節の痛み・しびれ・こわばりに向きます。熱や発赤が強いときは清熱薬を併用します。*①②

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:独活」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「ドッカツ(独活)」
  3. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:独活」
  4. MSDマニュアル家庭版「腰痛(警戒徴候)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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