牛蒡子(ごぼうし)

まずは要点

  • どんな生薬? 牛蒡子(ごぼうし)はゴボウ(Arctium lappa)の成熟果実を乾燥した生薬で、伝統的に疏散風熱・宣肺利咽・透疹・解毒消腫のはたらきが知られます。のどの痛みや腫れ、皮膚の発疹・腫脹、風熱による咳や痰の症状に配合されます。*①②③
  • 中身は? リグナン類(アルクチン<arctiin>、アルクチゲニン<arctigenin>など)、脂肪油(25–30%)などを含みます。*①③
  • 注意点 強い咽頭痛・高熱・呼吸困難、顔面や舌の激しい腫れなどの際は受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。

牛蒡子の基礎データ

  • 読み方: ごぼうし
  • 基原・由来: ゴボウ(Arctium lappa L., キク科)の果実。日本薬局方収載(生薬名:ARCTII FRUCTUS)。*④
  • 主要成分: アルクチン、アルクチゲニン、マタイレシノール等のリグナン類、脂肪油。*①③
  • 性味: 辛・苦 / 寒 帰経: 肺・胃。*②③

伝統的な使われ方

風熱による咽喉の腫れや痛み、咳・痰、皮膚の発疹・腫脹、麻疹の初期などに用いられてきました。連翹や金銀花と合わせて解毒・散結を助け、薄荷・荊芥と併用して風熱をさまし、宣肺利咽(のどの通りをよくする)を狙います。*①②

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

高熱が続く、のどの激しい腫れで呼吸や嚥下がつらい、皮膚の強い腫脹・化膿が広がるなどの際は医療機関へ相談してください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に相談を。自己判断での長期連用・過量は避けます。

  • すぐ相談: 高熱や呼吸困難、強い咽喉腫脹、全身の発疹・腫脹の増悪。
  • 服薬中: 症状が改善しない、悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 風熱によるのどの痛みや腫れ、咳・痰、皮膚の発疹・腫脹などの熱証に向きます。*①②

Q. 食品のゴボウと同じですか?

A. 生薬の牛蒡子はゴボウの果実(種子様の痩果)で、根を食用とする「ごぼう」とは部位が異なります。用途・用量も異なるため、自己判断での流用は避けてください。*①④

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「ゴボウシ(牛蒡子)」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:牛蒡子」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:牛蒡子」
  4. 日本薬局方名称DB「ゴボウシ/ARCTII FRUCTUS」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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