胡麻仁(ごまにん)

まずは要点

  • どんな生薬? 胡麻仁(ごまにん)はゴマ(Sesamum indicum)の種子を乾燥した生薬で、伝統的に潤腸通便・滋補肝腎・養血益精のはたらきが知られます。乾燥性の便秘、皮膚や粘膜の乾燥、血虚や腎虚に伴うめまい・白髪・脱毛などに応用されます。*①②③
  • 中身は? 脂肪油(リノール酸・オレイン酸)、リグナン類セサミン・セサモリン、トコフェロール類などを含みます。*①②④
  • 注意点 ごまアレルギーのある方は使用前に専門家へ。軟便・下痢しやすい脾虚湿盛では量を控え、長期連用・過量は避けます。腹痛を伴う便秘や血便、原因不明の体重減少を伴う便通異常は受診を。*②③④

胡麻仁の基礎データ

  • 読み方: ごまにん
  • 基原・由来: ゴマ(Sesamum indicum L.、ゴマ科)の種子。*①②
  • 主要成分: 脂肪油(リノール酸・オレイン酸)、リグナン(セサミン・セサモリン等)、トコフェロール。*①②④
  • 性味: 甘 / 平 帰経: 肝・腎・大腸。*②③

伝統的な使われ方

潤腸通便として乾燥性の便秘に、滋補肝腎・養血としてめまい・耳鳴り・脱毛・白髪などに。処方では当帰飲子、古方では芝麻丸などの配合例が知られます。*①②③④

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

強い腹痛・嘔吐を伴う便秘、血便、数週間以上続く便通異常、急激な体重減少を伴う場合は医療機関へ。妊娠・授乳中や小児、高齢者、他剤併用中は自己判断での長期連用・過量を避け、専門家に相談してください。*②③

  • すぐ相談: 激しい腹痛、吐血/下血、38.5℃以上の発熱を伴う便秘。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する、下痢・腹部膨満が強い場合は中止し受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 黒ごまと白ごまの違いは?

A. 伝統的には黒胡麻が肝腎を補い精血を養う用途で重視され、便秘には白黒いずれも潤腸目的で用いられます。いずれも脂肪油とリグナンを含みますが、色による配合選択は体質・症状で決めます。*①③

Q. 麻子仁(ましにん)との違いは?

A. どちらも潤腸通便ですが、麻子仁はより便秘改善に直接的で、胡麻仁は滋補・養血を兼ねる点を重視して使い分けます。*②③

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「ゴマ(胡麻)」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:胡麻」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:胡麻」
  4. ウチダ和漢薬「生薬の玉手箱:胡麻(ゴマ)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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