牛黄(ごおう)

まずは要点

  • どんな生薬? 牛黄(ごおう)はウシ(ウシ科)の胆嚢・胆管内に生じた胆石(胆砂)を乾燥した生薬で、伝統的に清熱解毒・息風止痙・開竅醒神のはたらきが知られます。高熱や煩躁、痙攣・意識混濁、口内炎・咽喉腫痛などに配合されます(古方では丸剤中に微量配合)。*①②
  • 中身は? 胆汁酸(コール酸等)、ビリルビン由来色素、胆固酸様成分、微量の無機塩類などが報告されています。*①
  • 注意点 高熱・けいれん・意識障害や激しい頭痛などの緊急症状は直ちに受診が必要です。動悸や息切れが強い、黄疸や濃褐色尿が出現する場合も医療機関に相談します。自己判断での長期連用や過量は避けます。*④

牛黄の基礎データ

  • 読み方: ごおう
  • 基原・由来: ウシ(Bos taurus L., ウシ科)の胆嚢・胆管内に形成された胆石(胆砂)。日本薬局方に準拠する生薬基準に記載。*①②
  • 主要成分: 胆汁酸(コール酸など)、ビリルビン関連色素、コレステロール等。*①
  • 性味: 苦 / 寒 帰経: 心・肝。*①②

伝統的な使われ方

高熱・煩躁・けいれん・意識障害などの熱盛による神志の混濁に用いられ(安宮牛黄丸・牛黄清心丸など)、口内炎・咽喉腫痛や痰熱のこもりにも応用されます。単味で多量を用いることは少なく、麝香・氷片・黄連・黄芩などと配合して開竅・清熱・解毒を図ります。*①②

この生薬を含む漢方薬例

  • 救心感應丸氣(きゅうしんかんのうがんき)
  • 霊黄参(れいおうさん)
  • 律鼓心(りっこしん)
  • 牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)
  • 安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん)
  • 至宝丹(しほうたん)

安全性と受診の目安

高熱が続く、けいれん、意識障害、激しい頭痛・首のこわばり、黄疸や濃褐色尿などの際は至急に受診してください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に確認を。自己判断での長期連用・過量は避けます。*④

  • すぐ相談: 高熱・けいれん・意識障害、激しい頭痛や項部硬直、黄疸。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 高熱・煩躁・痙攣などの熱極・痰熱による神志の混濁、口内炎や咽喉痛などの炎症症状に向きます。日常的な疲労・冷えなどには適しません。*①②

Q. 麝香(じゃこう)や氷片(ひょうへん)との違いは?

A. 麝香・氷片はいずれも開竅醒神に働きますが、牛黄は清熱解毒・息風止痙の面が強く、高熱・痙攣を伴う状況に配合されます。処方中で役割が異なるため、単純置換はしません。*①

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:牛黄」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「ゴオウ(牛黄)」
  3. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典」
  4. MSDマニュアル家庭版(受診目安)

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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