秦艽(じんぎょう)
まずは要点
- どんな生薬? 秦艽(じんぎょう)はオオバリンドウ(Gentiana macrophylla)などの根を乾燥した生薬で、伝統的に祛風湿・舒筋絡・清虚熱のはたらきが知られます。関節痛・腰膝のだる痛み・しびれ、陰虚のほてり・寝汗、湿熱黄疸などに応用されます。*①②④
- 中身は? セコイリドイド配糖体(ゲンチオピクロシド等)、キサントン類、トリテルペノイドなどを含むとされます。*①③
- 注意点 冷えが強い虚寒では悪化することがあるため慎重に。強い発赤・腫脹・熱感を伴う関節痛や高熱、進行するしびれ・麻痺は受診を。長期連用・過量は避けます。*②③④
秦艽の基礎データ
- 読み方: じんぎょう
- 基原・由来: リンドウ科Gentiana macrophylla,G. straminea,G. crassicaulis,G. dahurica などの根。*①②③
- 主要成分: セコイリドイド配糖体(ゲンチオピクロシド等),キサントン類,トリテルペノイド等。*①③
- 性味: 苦・辛 / 微寒 帰経: 肝・胆・胃。*②④
伝統的な使われ方
祛風湿・舒筋絡として関節痛・筋肉痛・しびれ・こわばりに、清虚熱としてほてり・寝汗・微熱に、利湿退黄として湿熱黄疸の随伴症状に。処方では独活寄生湯、中国古典では大秦艽湯・清骨散・秦艽鼈甲飲などの配合例が知られます。*①②④
この生薬を含む漢方薬例
- 独活寄生丸(どっかつきせいがん)(腰痛、関節痛、下肢のしびれなど)
- 大秦艽湯
- 清骨散
- 秦艽鼈甲飲
- 秦艽鼈甲湯
安全性と受診の目安
関節の強い発赤・腫脹・熱感、高熱を伴う激痛、しびれや脱力の進行、原因不明の体重減少を伴う疼痛は早めに受診。妊娠・授乳中や小児、高齢者、他剤併用中は自己判断での長期連用・過量を避け、専門家に相談してください。*②③
- すぐ相談: 38.5℃以上の発熱、急速に悪化する痛みや腫れ、麻痺・排尿障害。
- 服薬中: 症状が改善しない/悪化する、胃部不快・めまいが強い場合は中止し受診。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 風湿痺の痛みに、独活や桑寄生との使い分けは?
A. 秦艽は平性で寒湿・湿熱を問わず痺痛に用い、虚熱(ほてり・寝汗)にも配慮できます。独活はやや温で風寒湿の痛みに、桑寄生は補肝腎・強筋骨を兼ねる点が特徴です。体質・証で使い分けます。*①②④
Q. 黄疸(湿熱黄疸)への使い方は?
A. 伝統的に利湿退黄の目的で、茵蔯蒿や山梔子などと併用されます。発熱・黄疸の進行や激しい腹痛を伴う場合は直ちに受診してください。*①④