栝楼根(かろこん)
まずは要点
- どんな生薬? 栝楼根(かろこん)はウリ科Trichosanthes属(キカラスウリ等)の根を乾燥した生薬で、伝統的に清熱生津・潤肺止咳・消腫排膿のはたらきが知られます。口渇や乾いた咳、乳腺炎などの腫脹・化膿に応用されます。*①②③
- 中身は? ステロール(α-スピナステロール)やデンプン、タンパク質・アミノ酸などを含みます。*①②
- 注意点 体を冷やしやすい体質や胃腸が弱い方は冷え・下痢に注意。烏頭類(附子など)との併用は古典上の禁忌(十八反)とされます。強い痛みや高熱、膿が広がる場合は受診を。*④⑤
栝楼根の基礎データ
- 読み方: かろこん
- 基原・由来: Trichosanthes kirilowii(キカラスウリ)等の根(外皮コルク層をできるだけ除く)。*①②
- 主要成分: α-スピナステロール、デンプン、タンパク質、アミノ酸 など。*①②
- 性味: 苦・甘 / 寒 帰経: 肺・胃。*③
伝統的な使われ方
清熱生津・潤肺止咳により口渇・煩渇、乾咳や痰の粘稠、発熱で津液を失った状態に。消腫排膿として乳腺炎などの腫脹・膿腫、癰瘍に用いられてきました。*②③
この生薬を含む漢方薬例
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)(動悸、息切れ、不眠など)
- 栝楼桂枝湯(かろけいしとう)
- 貝母栝楼散(ばいもかろさん)
- 沙参麦門冬湯(しゃじんばくもんどうとう)
安全性と受診の目安
悪寒戦慄や39℃以上の高熱、しこりの急速な増大、激しい胸痛・呼吸困難、膿の広がりなどは医療機関へ。烏頭(附子)を含む製剤との併用は避ける(十八反)とされます。*④⑤
- すぐ相談: 高熱が続く、膿が増える・赤く広がる、血の混じる痰。
- 服薬中: 冷え・軟便が強まる/改善が乏しい場合は中止し受診。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 栝楼(かろう)や栝楼仁(かろにん)との違いは?
A. いずれも Trichosanthes 属由来ですが、部位が異なります。栝楼根は根(別名:天花粉)で清熱生津・消腫排膿を主とし、栝楼仁は種子で潤肺化痰・滑腸通便、栝楼皮は果皮で清熱化痰・寛胸の目的で使い分けます。*①②③
Q. どんな体質・症状に向きますか?
A. 熱で口渇が強い、乾いた咳や粘稠痰、乳腺炎などの腫脹・化膿に。冷えが強い・軟便傾向では向かないことがあります。*②③
*参考・出典
- ツムラ「生薬辞典:栝楼根」 ①
- 公益社団法人 東京生薬協会「カロコン(栝楼根)」 ②
- イアトリズム事典「栝楼根」 ③
- 各解説に基づく注意点の整理 ④
- 十八反:烏頭と栝楼等の相反(配合禁忌) ⑤