何首烏(かしゅう)

まずは要点

  • どんな生薬? 何首烏(かしゅう)はツルドクダミ(Polygonum multiflorumFallopia multiflora)の塊根を乾燥した生薬で、伝統的に補益精血・強壮・潤腸などのはたらきが知られます。虚弱・慢性疲労、皮膚の乾燥に伴うかゆみ、軽度の便秘や白髪・脱毛のケアなどに配合されます。*①②③
  • 中身は? アントラキノン類(エモジン等)、スチルベン配糖体(2,3,5,4’‐テトラヒドロキシスチルベン-2-O-β-D-グルコシド〔THSG〕)、フラボノイドなどを含みます。*②③
  • 注意点 皮膚や肝機能の不調が続く、抜け毛が急増する、便秘に激しい腹痛や血便を伴う場合は受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。*②③

何首烏の基礎データ

  • 読み方: かしゅう
  • 基原・由来: ツルドクダミ(Polygonum multiflorum Thunb.=Fallopia multiflora(タデ科))の塊根。日本薬局方収載(生薬名:POLYGONI MULTIFLORI RADIX)。*②④
  • 主要成分: エモジンなどのアントラキノン、THSGなどのスチルベン配糖体、カテキン等のフラボノイド。*②③
  • 性味: 苦・甘・渋 / 微温〜温 帰経: 肝・腎。*①②

伝統的な使われ方

精血不足や虚弱(めまい・動悸・倦怠)、皮膚の乾燥に伴うかゆみ、白髪・脱毛、腸燥便秘などに応用されます。地黄・当帰などの補血薬、蒺藜子・荊芥などの止痒薬と配合され、当帰飲子などの処方に含まれます。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

皮膚症状や脱毛の急速な悪化、黄疸様の症状、腹痛を伴う頑固な便秘などの際は医療機関へ相談してください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に確認を。自己判断での長期連用・過量は避けます。*②③

  • すぐ相談: 著しい倦怠・食欲不振、眼や皮膚が黄色い、黒色便や血便、急な脱毛増悪。
  • 服薬中: 症状が改善しない、悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 白何首烏との違いは?

A. 「白何首烏」はガガイモ科コイケマ属など(Cynanchum auriculatum ほか)の根で、赤色の「何首烏(ツルドクダミ根)」とは基原が異なります。日本薬局方のカシュウは「赤何首烏」に相当します。*①④

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 虚弱・精血不足で皮膚が乾燥しやすく、かゆみや軽い便秘を伴うタイプ、加齢による髪のトラブル(白髪・脱毛)などに用いられます。*①②

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:何首烏」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「カシュウ(何首烏)」
  3. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:何首烏」
  4. 日本薬学会「ツルドクダミ(何首烏)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。