何首烏(かしゅう)とは?虚弱・皮膚の乾燥・白髪脱毛に使う生薬を体質別に解説

何首烏(かしゅう)は、タデ科ツルドクダミの塊根を用いる生薬です。精と血を補って体を丈夫にし、乾いた腸をうるおす働き(補益精血・潤腸)から、虚弱・慢性疲労、皮膚の乾燥に伴うかゆみ、軽度の便秘、白髪・脱毛のケアに用いられてきました。名前は「服用すると白髪が烏のように黒くなった」という伝説に由来します。KanpoNowでは、この生薬を「精血を補い、髪と肌をうるおす、補益の生薬」として整理します。
- 何首烏は、タデ科ツルドクダミ(Polygonum multiflorum=Fallopia multiflora)の塊根からつくられる生薬です
- 主成分はアントラキノン類(エモジン等)、スチルベン配糖体(THSG)、フラボノイドです
- 漢方では、精と血を補って丈夫にし(補益精血・強壮)、乾いた腸をうるおす(潤腸)働きで用いられます
- 皮膚や肝機能の不調が続く、抜け毛が急増する、便秘に激しい腹痛や血便を伴う場合は受診が必要です
自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ってください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用のある方は、専門家に相談してください。
何首烏とは
何首烏(かしゅう)は、タデ科のツルドクダミ(Polygonum multiflorum Thunb.=Fallopia multiflora)の塊根を乾燥させた生薬で、日本薬局方にも収載されています。和名の「ツルドクダミ」は、葉の形がドクダミに似たつる性の植物であることに由来します。生薬名は、「何」という人物がこの根を服用したところ、白髪が烏(からす)の羽のように黒くなったという伝説にちなむと伝えられます。
漢方薬剤師の視点では、何首烏は代表的な「補益薬」です。肝と腎に働いて精と血を補い、体を丈夫にします。あわせて、乾いた腸をうるおして軽い便秘を整える働きももちます。古くからアジアで滋養強壮・若返りの薬として重んじられ、とくに髪のトラブル(白髪・脱毛)のケアに用いられてきました。
基原・成分データ
何首烏の基本データを整理します。アントラキノンやスチルベン配糖体を含むこと、補益薬に分類されることが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。何首烏は、苦く甘く渋く、ほんのり温かで、肝・腎を補う方向に働きます。
「甘」は滋養し補う味、「苦」はさばく味、あわせて渋みが精を漏らさず引き締める(収斂)方向に働くとされます。
「微温〜温」はおだやかに温める性質で、冷えを助長しにくく、補いに向く方向です。
肝の血、腎の精を補う方向に働きます。血の不足によるめまい・皮膚の乾燥(肝)、精の不足による髪のトラブル(腎)に関わります。
漢方的な働きの軸
何首烏の働きは、大きく三つの軸で整理できます。精血を補う軸、髪と肌をうるおす軸、腸をうるおす軸が重なり、精血の不足による乾きや虚弱を立て直します。
伝統的な使われ方
何首烏は古くから、補益精血・強壮・潤腸を目的に用いられてきました。精血不足や虚弱(めまい・動悸・倦怠)、皮膚の乾燥に伴うかゆみ、白髪・脱毛、うるおい不足の便秘(腸燥便秘)などに応用された歴史があります。中国では朝鮮人参以上に強壮・強精の薬として重んじられた時代もありました。
地黄・当帰などの補血薬、蒺藜子・荊芥などのかゆみを止める生薬と組み合わせて、血を養いつつ皮膚のかゆみをやわらげる目的で、当帰飲子などの処方に配合されます。また、髪のトラブルのケアを目的とした処方にも用いられます。
形状・味・使われ方の体感
何首烏は、見た目・味・使われ方に特徴があります。黒っぽい塊根と、苦甘い味が特徴です。
サツマイモ状の塊根
サツマイモのような紡錘形の硬い塊根。外側は赤褐色〜黒褐色で、断面に「雲錦模様」と呼ばれる模様が見えます。
苦くて甘い
味は苦くて甘く、渋みがあります。細かく刻んで乾燥させ、煎じて用います。
煎じる・薬酒にする
煎じ液として補益系の処方に配合されるほか、薬酒として滋養強壮に用いられることもあります。
体質別の向き・不向き
何首烏は精血を補う生薬です。精血の不足や乾燥があるか、逆に胃腸が弱く湿がたまっていないかを見極めることが大切です。
精血不足で乾きやすい虚弱タイプ
精血が不足して虚弱で、皮膚が乾燥しやすく、かゆみや軽い便秘、髪のトラブルを伴うタイプに向きます。何首烏の中心的な使い道です。
判断ポイント:虚弱で乾燥・かゆみ・髪の悩み。加齢に伴う白髪・脱毛
加齢による髪のトラブル(白髪・脱毛)のケアに、古くから用いられてきました。精血を養う視点から候補になります。
判断ポイント:加齢に伴う髪の悩みがある。胃腸が弱く下しやすい方
アントラキノンを含み、腸をうるおして通じをつける働きがあるため、もともと胃腸が弱く下しやすい方では、軟便・下痢が出ることがあります。用量に注意します。
判断ポイント:下しやすい方は用量に注意。肝機能に不安がある方の自己判断
まれに肝機能への影響が報告されており、黄疸様の症状や肝機能の不調がある場合、また基礎疾患・他剤併用がある場合は、自己判断での使用を避け、専門家に相談してください。
判断ポイント:肝機能に不安があれば専門家へ。安全性と受診の目安
何首烏は滋養強壮に用いられてきた生薬ですが、皮膚症状や脱毛の急速な悪化、黄疸様の症状、腹痛を伴う頑固な便秘などの際は医療機関へ相談してください。まれに肝機能への影響が報告されているため、体調の変化に注意し、自己判断での長期連用・過量は避けてください。
- すぐに相談:著しい倦怠・食欲不振、眼や皮膚が黄色い、黒色便や血便、急な脱毛の増悪
- 服薬中:症状が改善しない、悪化する場合は受診する。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に確認する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
何首烏が気になる方は、かゆみ、便秘、肌荒れとの関係も確認すると理解が深まります。
何首烏を含む漢方薬
何首烏は、血を養いながら皮膚のかゆみを整える処方などに配合されます。同じ何首烏を含む処方でも、組み合わせる生薬によって向く症状は変わります。
よくある質問
Q. 白何首烏との違いは?
「白何首烏」はガガイモ科コイケマ属など(Cynanchum auriculatum ほか)の根で、赤色の「何首烏(ツルドクダミ根)」とは基原が異なります。日本薬局方のカシュウは「赤何首烏」に相当します。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
虚弱・精血不足で皮膚が乾燥しやすく、かゆみや軽い便秘を伴うタイプ、加齢による髪のトラブル(白髪・脱毛)などに用いられます。
Q. 性味・帰経は?
性味は苦・甘・渋/微温〜温、帰経は肝・腎とされます。精と血を補い、髪と肌と腸をうるおす働きがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
何首烏は、精と血を補い髪と肌をうるおす生薬ですが、虚弱や乾燥、髪の悩みの背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。著しい倦怠・食欲不振、眼や皮膚が黄色い、黒色便や血便、急な脱毛の悪化などがある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、妊娠中・授乳中、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。