滑石(かっせき)

まずは要点

  • どんな生薬? 滑石(かっせき)は鉱物由来の生薬で、伝統的に利尿通淋・清熱解暑・去湿斂瘡のはたらきが知られます。尿路の熱やむくみ、暑さによる口渇・ほてり、湿疹・あせもなどに配合されます。*①②③
  • 中身は? 主体は含水ケイ酸アルミニウムと二酸化ケイ素などの鉱物成分です(中国薬典の「滑石」は含水ケイ酸マグネシウム〔タルク〕で、日本の「カッセキ(滑石)」とは区別されます)。*①③
  • 注意点 強い排尿痛・血尿、持続する高熱や激しい口渇、重い下痢・脱水などの際は受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。

滑石の基礎データ

  • 読み方: かっせき
  • 基原・由来: 主として含水ケイ酸アルミニウムおよび二酸化ケイ素からなる鉱物(日本では「カッセキ」)。中国の「滑石」は主に含水ケイ酸マグネシウム(タルク)。*①③
  • 主要成分: SiO₂ などの無機成分(Al₂Si₂O₅(OH)₄·nH₂O相当等)。*①③
  • 性味: 甘 / 寒 帰経: 膀胱・胃。*③②

伝統的な使われ方

熱を帯びた排尿異常(熱淋・排尿痛・頻尿など)、暑湿による煩渇(強い渇き)、湿熱の下痢、皮膚の湿疹・汗疹などに応用されます。猪苓・沢瀉・茯苓などと組み合わせて通淋・利水を高め、防風通聖散などでは石膏・甘草と併用して清熱・止渇を助けます。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

排尿困難や血尿が続く、激しい腰腹部痛、発熱を伴う場合は速やかに医療機関へ相談してください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に確認を。自己判断での長期連用・過量は避けます。

  • すぐ相談: 強い排尿痛・血尿、腰部・側腹部の激痛、脱水症状。
  • 服薬中: 症状が改善しない、悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 熱を伴う排尿異常(頻尿・排尿痛など)、暑さで口が渇く、湿疹・汗疹が出やすいといった体質に向きます。*③②

Q. 日本の「カッセキ」と中国の「滑石」は違うの?

A. 日本では主に含水ケイ酸アルミニウム系(いわゆる軟滑石)が使われ、中国薬典の「滑石」は主に含水ケイ酸マグネシウム(タルク)です。いずれも利尿通淋・清熱解暑の用途は類似しますが、基原が異なるため名称区別がなされます。*①③

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「カッセキ(滑石)」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:滑石」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:滑石」
  4. 日本薬局方名称DB:カッセキ 

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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