桔梗(ききょう)とは?痰のからむ咳・のどの腫れ痛み・扁桃炎に使う生薬を体質別に解説

桔梗(ききょう)は、キキョウの根を用いる生薬です。肺の働きを開いてのどをすっきりさせ、痰をさばき、のどの腫れや膿を出す働き(宣肺・利咽・祛痰・排膿)から、痰のからむ咳、のどの腫れ・痛み、扁桃炎のケアに用いられてきました。秋の七草のひとつで、古くから親しまれてきた花でもあります。KanpoNowでは、この生薬を「のどと肺を開いて、痰と膿をさばく生薬」として整理します。
- 桔梗は、キキョウ科キキョウ(Platycodon grandiflorum)の根からつくられる生薬です
- 主成分はサポニン(プラチコジン類)で、ほかに糖類(イヌリン)、微量の精油成分を含みます
- 漢方では、肺を開いてのどをさばき(宣肺・利咽)、痰をさばき(祛痰)、膿を出す(排膿)働きで用いられます
- 乾いた咳が強いときや体力が足りないときは刺激となることがあり、体調に合わせて配合を調整します
サポニンを多量に摂ると吐き気を催すことがあります。乾いた咳が強い方、持病や併用薬のある方は、自己判断での使用を避け、症状が続く場合は専門家に相談してください。
桔梗とは
桔梗(ききょう)は、キキョウ科のキキョウ(Platycodon grandiflorum)の根を乾燥させた生薬で、日本薬局方にも収載されています。キキョウは秋の七草のひとつで、青紫色の美しい花を咲かせ、『万葉集』にも「あさがほ」の名で詠まれた、日本人に古くから親しまれてきた植物です。薬用には、まっすぐ地中にのびた紡錘形の根を用います。
漢方薬剤師の視点では、桔梗は代表的な「宣肺・利咽・祛痰・排膿」の生薬です。肺の働きを開いて、のどをすっきりさせ、からんだ痰をさばき、のどや胸にたまった膿を出します。とくに、痰のからむ咳や、のどの腫れ・痛み、扁桃炎に向くとされます。桔梗には、ほかの生薬の働きをのど・胸の上部へ引き上げる「舟」のような役割もあるとされます。
基原・成分データ
桔梗の基本データを整理します。サポニンを含むこと、去痰・排膿の生薬であることが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。桔梗は、苦く辛く、偏りのない平で、肺に働きます。
「辛」は開いて発散させる味、「苦」はさばいて下げる味とされます。肺を開いて痰をさばく働きと結びつきます。
「平」は温めも冷やしもしない偏りのない性質で、寒熱を問わず幅広い処方に合わせやすい傾向です。
肺に働いて、肺の働きを開き、のどをさばき、痰と膿を出す方向に働きます。咳・のどの不調(肺)に関わります。
漢方的な働きの軸
桔梗の働きは、大きく三つの軸で整理できます。肺とのどを開く軸、痰をさばく軸、膿を出す軸が重なり、のどと胸の上部の不調を整えます。
伝統的な使われ方
桔梗は古くから、宣肺・利咽・祛痰・排膿を目的に用いられてきました。痰のからむ切れにくい咳、のどの腫れ・痛み、扁桃炎、胸のつかえや膿の滞りなどのケアに配合された歴史があります。根にはサポニンが含まれ、気管の分泌物の排出を促してたんを出しやすくする働きがあります。
甘草と組み合わせてのどの腫れ・痛みをさばく処方(桔梗湯)、連翹・荊芥などと組み合わせて扁桃炎をさばく処方(駆風解毒湯)、のどの不快や声のかすれを整える処方(響声破笛丸)に配合されます。また、体表の邪をさばく処方(藿香正気散など)にも、肺を開く目的で加えられます。桔梗湯は、桔梗と甘草を中心とした、のどの痛みの代表的な処方です。
形状・味・使われ方の体感
桔梗は、見た目・味・使われ方に特徴があります。白い紡錘形の根が特徴です。
白い紡錘形の根
地中にまっすぐのびた、白色〜淡黄白色の紡錘形の根。切ると白い乳液が出るのが特徴です。
苦く、えぐみがある
味は苦く、わずかにえぐみがあります。サポニンによる、のどを刺激して痰を出しやすくする性質があります。
煎じてうがいしながら飲む
煎じ液として去痰・排膿の処方に配合されます。のどの痛みには、煎液でうがいをしながら飲む用い方もあります。
体質別の向き・不向き
桔梗は肺とのどを開いて痰と膿をさばく生薬です。痰やのどの腫れがあるか、逆に乾いた咳や体力低下がないかを見極めることが大切です。
痰のからむ咳・のどの腫れ痛み
痰がからんで切れにくい咳や、のどの腫れ・痛み、扁桃炎が出るタイプに向きます。桔梗の中心的な使い道です。
判断ポイント:痰がからむ咳・のどの腫れ。膿の滞り・胸のつかえ
のどや胸にたまった膿の滞りや、胸のつかえのケアに用いられてきました。化膿を伴う状態で候補になります。
判断ポイント:膿の滞り・胸のつかえがある。乾いた咳が強い・体力が足りない方
肺を開いてさばく働きが中心のため、痰の少ない乾いた咳が強いときや、体力が足りないときは刺激となることがあります。配合や用量を調整します。
判断ポイント:乾いた咳・体力低下時は配合に注意。多量摂取・吐き気が出るとき
サポニンを多量に摂ると吐き気を催すことがあります。用法・用量を超えた使用は避け、吐き気などの不調が出たときは中止してください。
判断ポイント:多量摂取は避け、吐き気時は中止。安全性と受診の目安
桔梗は去痰・排膿の生薬として広く用いられますが、サポニンを多量に摂ると吐き気を催すことがあります。また、乾いた咳が強いときや体力が足りないときは刺激となることがあります。息苦しさ・血痰・高熱・強い胸痛があるときは、別の原因の確認が必要です。
- すぐに相談:息苦しさ、血痰、高熱が続く、強い胸痛
- 服薬中:持病や他の薬を併用している場合は、自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
桔梗が気になる方は、咳・喘息との関係も確認すると理解が深まります。
桔梗を含む漢方薬
桔梗は、のどの腫れ・痛みや、痰のからむ咳を整える処方に配合されます。同じ桔梗を含む処方でも、組み合わせる生薬によって向く症状は変わります。
よくある質問
Q. 桔梗湯(ききょうとう)との関係は?
桔梗湯は、桔梗と甘草を中心とした方剤で、のどの腫れや痛み、咳の改善を目的に用いられます。桔梗の「のどを開いて膿を出す」働きが中心的な役割を担います。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
痰がからんで切れにくい咳、のどの腫れ・痛み、膿の停滞感などに向いています。乾いた咳が中心のときは刺激となる場合があるため、配合を調整します。
Q. 性味・帰経は?
性味は苦・辛/平、帰経は肺とされます。肺を開いてのどをさばき、痰をさばき、膿を出す働きがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
桔梗は、のどと肺を開いて痰と膿をさばく生薬ですが、咳やのどの不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。息苦しさ、血の混じった痰、高熱が続く、強い胸痛などがある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、妊娠中・授乳中、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。