金銀花(きんぎんか)とは?のどの痛み・化膿性の皮膚炎・熱性のかぜに使う生薬を体質別に解説

金銀花(きんぎんか)は、スイカズラの花蕾を用いる生薬です。体にこもった熱毒を冷まして解毒し、体表の風熱をさばく働き(清熱解毒・疏散風熱)から、熱を伴うのどの痛みや腫れ、化膿性の皮膚炎・にきび、熱性のかぜのケアに用いられてきました。花が白から黄へ変わり、白と黄が混じって咲く姿が名の由来です。KanpoNowでは、この生薬を「熱毒を冷まして解毒し、風熱をさばく、清熱解毒の生薬」として整理します。
- 金銀花は、スイカズラ科スイカズラ(Lonicera japonica)の花蕾(つぼみ)を乾燥した生薬です
- 主成分はフラボノイド(ルテオリン等)、クロロゲン酸、イノシトール、タンニンなどです
- 漢方では、熱毒を冷まして解毒し(清熱解毒)、体表の風熱をさばく(疏散風熱)働きで用いられます
- 同じスイカズラの茎葉を用いる生薬を「忍冬(にんどう)」といい、近縁で使い分けられます
冷やす性質のため、冷えの強い方や胃腸の弱い方には不向きなことがあります。高熱や強いのどの痛み、広がる化膿がある場合は受診してください。持病や併用薬のある方は、専門家に相談してください。
金銀花とは
金銀花(きんぎんか)は、スイカズラ科のスイカズラ(Lonicera japonica Thunberg)の花蕾(つぼみ)を乾燥させた生薬です。スイカズラは山野の日当たりのよい場所に生えるつる性植物で、和名は花筒の奥の蜜を吸うと甘いことから「吸い蔓(すいかずら)」に由来します。名の「金銀花」は、5〜6月に対になって咲く花が、最初は白く、2〜3日で黄色く変わり、白(銀)と黄(金)が混じって咲く姿にちなみます。
漢方薬剤師の視点では、金銀花は代表的な「清熱解毒薬」です。体にこもった熱毒を冷まして解毒し、体表の風熱をさばきます。とくに、急性の炎症や化膿性の皮膚疾患、熱を伴うのどの痛み・腫れ、熱性のかぜに向くとされます。同じスイカズラの茎葉を用いる生薬は「忍冬(にんどう)」と呼ばれ、近縁ですが、一般に花蕾の金銀花のほうが清熱解毒の働きが強いとされます。
基原・成分データ
金銀花の基本データを整理します。フラボノイド・クロロゲン酸を含むこと、清熱解毒薬に分類されることが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。金銀花は、甘く、寒(冷やす)性質で、肺・心・胃に働きます。
「甘」は、体に負担をかけずにおだやかに働く味とされます。冷やしながらも胃腸を大きく損ないにくい傾向です。
「寒」は冷やす性質で、こもった熱毒や炎症の熱を冷ます方向に働きます。
肺を通じて体表の風熱やのどの炎症をさばき、心・胃の熱毒を冷ます方向に働きます。のどの痛み・化膿・熱性のかぜに関わります。
漢方的な働きの軸
金銀花の働きは、大きく三つの軸で整理できます。熱毒を解毒する軸、風熱をさばく軸、血の熱を冷ます軸が重なり、急性の炎症や化膿を整えます。
伝統的な使われ方
金銀花は古くから、清熱解毒・疏散風熱・涼血を目的に用いられてきました。急性の炎症や細菌性の疾患、化膿性の皮膚疾患(おでき・にきび)、扁桃炎などを伴う熱性のかぜ、熱を伴う下痢(熱痢)などのケアに配合された歴史があります。中国では扁桃炎などを伴う感冒に用いる製剤によく配合される、常用の生薬です。
連翹と組み合わせて熱性のかぜやのどの痛み・腫れをさばく処方(銀翹散)、荊芥・防風・連翹などと組み合わせて皮膚の化膿を改善する処方(荊防敗毒散・五物解毒散)に配合されます。金銀花と連翹の組み合わせは、熱を伴うのどの痛みや皮膚の化膿を改善する代表的な配合です。日本の民間では、花を酒に浸した薬酒「忍冬酒」も知られます。
形状・味・使われ方の体感
金銀花は、見た目・香り・味に特徴があります。細長い花のつぼみが生薬になります。
細長い棒状のつぼみ
上部がふくらんだ、細長い棒状のつぼみ。淡黄褐色〜黄緑色で、毛が多いのがスイカズラ由来の特徴です。
芳しい香り
非常に芳しい香りがあり、金銀花に水を加えて蒸留した「金銀花露」は、清熱解毒作用のある飲み物として親しまれます。
ほのかな甘み
味はほのかに甘く、くせが少ないため、茶の代用品としても用いられます。煎じて清熱解毒の処方に配合されます。
体質別の向き・不向き
金銀花は熱毒を冷まして解毒する生薬です。こもった熱や化膿があるか、逆に冷えや胃腸の弱りがないかを見極めることが大切です。
熱を伴うのどの痛み・化膿性の皮膚炎
熱を伴うのどの痛み・腫れや、化膿性の皮膚炎・にきび、おできが出るタイプに向きます。金銀花の中心的な使い道です。
判断ポイント:熱っぽいのどの痛み・化膿がある。熱性のかぜ・熱を伴う下痢
熱を伴うかぜの初期(発熱・のどの痛み)や、熱を伴う下痢(熱痢)のケアに用いられてきました。熱性の急性症状で候補になります。
判断ポイント:発熱を伴うのどのかぜ・熱っぽい下痢。冷えが強い・胃腸が弱い方
冷やす性質のため、冷えが強い方や胃腸が弱い方では、冷えや軟便が出ることがあります。用量や配合に注意します。
判断ポイント:冷え・胃腸虚弱があれば注意。寒けが中心のかぜ(寒証)
体を冷やす性質のため、ぞくぞくする寒けが中心のかぜ(風寒)には適しません。寒けのかぜには、体を温めてさばく生薬が用いられます。
判断ポイント:寒けが中心のかぜには使わない。安全性と受診の目安
金銀花は比較的おだやかな清熱解毒の生薬ですが、冷やす性質のため冷えの強い方には不向きなことがあります。高熱や強いのどの痛み・嚥下困難、広範な発赤・腫脹・化膿、急速に悪化する皮膚症状などの際は、別の原因の確認が必要です。持病や併用薬がある場合は専門家に相談してください。
- すぐに相談:高熱、強いのどの痛み・嚥下困難や呼吸困難、急速に広がる腫れ・化膿
- 服薬中:症状が改善しない、悪化する場合は受診する。小児・高齢者、基礎疾患がある場合は専門家に確認する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
金銀花が気になる方は、肌荒れ、かゆみとの関係も確認すると理解が深まります。
金銀花を含む漢方薬
金銀花は、熱性のかぜやのどの痛み、皮膚の化膿を整える処方に配合されます。同じ金銀花を含む処方でも、組み合わせる生薬によって向く症状は変わります。
なお、同じスイカズラの茎葉を用いる生薬「忍冬(にんどう)」は金銀花と近縁で、通絡・清熱解毒を狙って皮膚・のどの炎症に用いられます。目的や体質によって使い分けられます。
よくある質問
Q. 忍冬(にんどう)とどう違うのですか?
金銀花はスイカズラの花蕾を用い、清熱解毒・疏散風熱を主とします。忍冬は主にスイカズラの茎葉(茎枝)を用い、清熱解毒・通絡を狙って皮膚や関節の症状に応用されます。一般に、花蕾の金銀花のほうが清熱解毒の働きが強いとされます。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
熱を帯びたのどの痛みや腫れ、化膿傾向の皮膚炎・にきび、熱性のかぜなどに向きます。冷えが中心のかぜには適しません。
Q. 性味・帰経は?
性味は甘/寒、帰経は肺・心・胃とされます。熱毒を冷まして解毒し、体表の風熱をさばく働きがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
金銀花は、熱毒を冷まして解毒し風熱をさばく生薬ですが、のどの痛みや化膿、かぜの背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。高熱、強いのどの痛み・嚥下困難や呼吸困難、急速に広がる腫れ・化膿がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、妊娠中・授乳中、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。