膠飴(こうい)

まずは要点

  • どんな生薬? 膠飴(こうい)はデンプンを糖化・濃縮した飴で、伝統的に補中益気・緩急止痛・潤肺止咳のはたらきが知られます。虚弱に伴う腹痛・しぶり腹、冷えによる腹部膨満、乾咳などに応用。建中湯群や大建中湯で要薬です。*①②③④
  • 中身は? 主にマルトースを含み、他にグルコース・マルトトリオースなど。形状は粉末飴(結晶)または粘稠な飴状。*①②③④
  • 注意点 湿熱・満腹感・悪心を起こしやすい体質では過量を避けます。煎剤では他生薬を煎じた後に加えて溶かすのが通例。強い腹痛・血便・高熱は受診を。*①③④

膠飴の基礎データ

  • 読み方: こうい
  • 基原・由来: トウモロコシ・キャッサバ・ジャガイモ・サツマイモのデンプン又はイネの種子を加水分解して糖化したもの。*①②③
  • 主要成分: 糖(マルトース、グルコース、マルトトリオース 等)。*①②③
  • 性味: 甘 / 微温 帰経: 脾・胃・肺。*②③④

伝統的な使われ方

補中益気・緩急止痛として虚弱・冷えに伴う腹痛・しぶり腹・腹部膨満に、潤肺止咳として乾咳・口渇に。処方では小建中湯・黄耆建中湯・当帰建中湯、さらに大建中湯で山椒・乾姜・人参とともに腸管の冷えや蠕動低下に用います。*①②③④

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

強い持続的腹痛・血便・嘔吐や高熱・脱水を伴う下痢は医療機関へ。湿熱・痰熱が目立つ体質(舌苔黄膩・口渇・便秘傾向)では適しません。*②③④

  • すぐ相談: 38.5℃以上の発熱、激しい腹痛、黒色便/血便、意識障害。
  • 服薬中: 腹満・悪心が強い、症状が改善しない/悪化する場合は中止し受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. いつ加えればよい?(煎剤での扱い)

A. 通例他生薬を煎じて濾した後、煎液に膠飴を溶かして服用します。熱で溶けやすく、甘味と緩和作用を付与します。*①④

Q. 蜂蜜(蜂蜜・蜂蜜膏)や甘草との違いは?

A. 甘草は各証に広く用いて急迫を緩め、膠飴はとくに陰虚・虚寒での補中・緩急に適すとされます。蜂蜜は潤腸通便・潤肺の比重が高い点が異なります。*③④

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「コウイ(膠飴)」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:膠飴」
  3. 富山大学 伝統医薬DB「膠飴」
  4. ウチダ和漢薬「歳時記:膠飴」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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