粳米(こうまい)

まずは要点

  • どんな生薬? 粳米(こうまい)はイネ(Oryza sativa)の果実(玄米・うるち米)を乾燥した生薬で、伝統的に補中益気・健脾和胃・生津止渇のはたらきが知られます。口渇やほてり、煩渇、体力消耗時の胃腸虚弱に配合され、白虎湯・竹葉石膏湯・麦門冬湯などで用いられます。*①②③
  • 中身は? デンプン・デキストリンなどの多糖を主に、γ-オリザノールなどの成分が知られます(部位や精製度で比率は変動)。*②③
  • 注意点 強い脱水が疑われる、ぐったりする・めまいが続く、高熱や意識障害を伴う場合は受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。*④

粳米の基礎データ

  • 読み方: こうまい
  • 基原・由来: イネ(Oryza sativa L., イネ科)の果実。日本薬局方に収載(生薬名:コウベイ)。*②①
  • 主要成分: デンプン、デキストリン、γ-オリザノールほか。*②③
  • 性味: 甘 / 平 帰経: 脾・胃。*①③

伝統的な使われ方

白虎湯では生津止渇・清熱の補助として、竹葉石膏湯では胃気を養い不足を益す目的で、麦門冬湯では胃陰を養い咳嗽を鎮めるために配合されます。配合により石膏や半夏などの刺激を和らげ、胃腸を守る役割も担います。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

  • 白虎湯(びゃっことう)
  • 附子粳米湯(ぶしこうべいとう)

安全性と受診の目安

のどの渇きが強い、尿が少ない、めまい・意識もうろうなど脱水の兆候がある、または高熱・激しい倦怠感を伴う場合は医療機関に相談してください。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家へ。自己判断での長期連用・過量は避けます。*④

  • すぐ相談: ぐったりする、立ちくらみ・失神、強い口渇・尿減少、意識障害。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. うるち米(粳米)ともち米(糯米)の違いは?

A. うるち米(粳米)は甘・平で補気・止渇に傾き、もち米(糯米)はより補益・収斂に傾きます。目的や体質で使い分けます。*①③

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 口渇やほてりを伴う熱証、消耗後の胃腸虚弱、だるさや食欲不振などに向きます。*①②

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:粳米」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「コウベイ(粳米)」
  3. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:粳米」
  4. MSDマニュアル家庭版「脱水」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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