苦参(くじん)とは?皮膚のかゆみや湿疹、帯下・陰部のかゆみに使う生薬を体質別に解説

苦参(くじん)は、マメ科クララの根を用いる、きわめて苦い生薬です。こもった湿熱を強く冷まし、風とかゆみをさばき、余分な水を尿として出す働き(清熱燥湿・祛風殺虫止痒・利尿)から、湿熱による皮膚のかゆみ・じゅくじゅくした湿疹、帯下・陰部のかゆみ、下痢・黄疸、濁尿・排尿痛のケアに用いられてきました。内服だけでなく、濃く煎じて外用にも用いられます。KanpoNowでは、この生薬を「湿熱を冷まし、かゆみをさばく生薬」として整理します。
- 苦参(くじん)はクララ(Sophora flavescens Ait.)の根を乾燥した生薬で、伝統的に清熱燥湿・祛風殺虫止痒・利尿のはたらきが知られます。湿熱による皮膚のかゆみ・湿疹、帯下・陰部のかゆみ、下痢や黄疸、尿の濁りなどに配合されます
- 主成分はマトリン・オキシマトリンなどのキノリチジン系アルカロイド、フラボノイド等です
- 漢方では、湿熱を冷まし(清熱燥湿)、風とかゆみ・虫をさばき(祛風殺虫止痒)、余分な水を尿として出す(利尿)働きで用いられます
- きわめて苦く、冷やす性質が強いため、冷えや乾燥の強い体質・胃腸虚弱では単独使用を避けます
苦参は冷やす性質が強く、冷えが強い体質や乾燥の強い皮膚、胃腸虚弱・高齢の方では慎重に扱い、配合で調整します。妊娠・授乳中は使用を避けるか専門家にご相談ください。自己判断での長期連用・過量は避けてください。
苦参とは
苦参(くじん)は、マメ科のクララ(Sophora flavescens Aiton)の根を乾燥させた生薬で、しばしば周皮を除いて用います。日本薬局方にも収載されています。クララは日当たりのよい山野に自生する多年草で、根を噛むとクラクラするほど苦いことから「眩草(くららくさ)」と呼ばれ、それが転じて「クララ」の名になったとされます。全草が有毒で、根の部分を薬用にします。『神農本草経』の中品に収載された、歴史の古い生薬です。
漢方薬剤師の視点では、苦参は代表的な「清熱燥湿薬」です。こもった湿熱を強く冷まし、風とかゆみ・虫をさばき、余分な水を尿として出します。効能は黄連・黄柏などに似ていますが、さらに利尿・駆虫作用があり、皮膚疾患によく効くのが特長とされます。湿熱による皮膚のかゆみ・じゅくじゅくした湿疹、帯下・陰部のかゆみ、下痢・黄疸、濁尿・排尿痛に用いられます。内服のほか、慢性の湿疹・あせも・水虫などに、濃く煎じたものを外用します。
基原・成分データ
苦参の基本データを整理します。マトリンを含むこと、清熱燥湿薬に分類されることが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。苦参は、きわめて苦く、寒(強く冷やす)性質で、心・肝・胃・大腸・膀胱に働きます。
「苦」は熱をさばいて下げ、湿を乾かす味とされます。こもった湿熱を強く冷まし、かゆみをさばく働きと結びつきます。
「寒」は強く冷やす性質で、湿熱によるかゆみ・炎症を冷ます方向に働きます。冷えの強い体質には向きません。
心・肝の湿熱による皮膚のかゆみをさばき、胃・大腸の湿熱による下痢を整え、膀胱の湿熱による濁尿・排尿痛をさばく方向に働きます。
漢方的な働きの軸
苦参の働きは、大きく三つの軸で整理できます。湿熱を冷ます軸、かゆみをさばく軸、水を出す軸が重なり、湿熱による不調を整えます。
伝統的な使われ方
苦参は古くから、清熱燥湿・祛風殺虫止痒・利尿を目的に用いられてきました。湿熱による皮膚のかゆみ・湿疹・蕁麻疹、帯下・陰部のかゆみ、下痢・黄疸、尿路の熱(排尿痛・濁尿)などのケアに用いられてきた歴史があります。とくに、湿潤してじゅくじゅくと化膿しやすいタイプの皮膚症状に向くとされます。慢性の湿疹・あせも・水虫などには、濃く煎じたものを外用(入浴剤・洗浄)としても用います。
荊芥・防風・石膏・知母などと組み合わせて皮膚のかゆみ・湿疹を鎮める処方(消風散)、地黄などと組み合わせて熱感の強い皮膚病をさばく処方(三物黄芩湯)、単味を煎じて外用する処方(苦参湯)に用いられます。黄連・黄柏・黄芩などと組み合わせると、清熱解毒の働きが強まります。効能は黄連・黄柏に似て、さらに利尿・駆虫・皮膚への効きが特長とされます。
形状・味・使われ方の体感
苦参は、見た目・味・使われ方に特徴があります。長い根が生薬になります。
長い円柱状の根
長い円柱状の根で、外面は黄褐色、内面は黄白色。長く曲がりが少なく、苦みが強いものが良品とされます。
きわめて強い苦み
名の由来どおり、噛むとクラクラするほど強く苦く、残留性の苦みがあります。この強い苦みが、湿熱を冷まし乾かす働きの中心です。
煎じる・濃く煎じて外用
煎じ液として内服に配合されます。慢性の湿疹・あせも・水虫などには、濃く煎じたものを入浴剤・洗浄液として外用します。
体質別の向き・不向き
苦参は強く冷やし乾かす生薬です。湿熱によるじゅくじゅくした症状があるか、逆に冷えや乾燥・胃腸虚弱がないかを見極めることが大切です。
湿熱によるかゆみ・じゅくじゅくした湿疹
湿熱がこもって、かゆみ・赤み・じゅくじゅくしやすい皮膚症状が出るタイプに向きます。苦参の中心的な使い道です。
判断ポイント:じゅくじゅく・赤みのあるかゆみ。帯下・陰部のかゆみ、濁尿・排尿痛
湿熱による帯下(おりもの)・陰部のかゆみ、膀胱の湿熱による濁尿・排尿痛、下痢・黄疸のケアに用いられてきました。湿熱の下焦症状で候補になります。
判断ポイント:帯下・陰部のかゆみ、濁尿・排尿痛。胃腸虚弱・高齢の方
きわめて苦く冷やす性質のため、胃腸が虚弱な方や高齢の方では、胃部不快や冷えが出ることがあります。単独使用を避け、配合で調整します。
判断ポイント:胃弱・高齢では配合で調整。冷えが強い・乾燥が強い体質
強く冷やし乾かす性質のため、冷えが強い体質(虚寒)や、乾燥の強い皮膚には適しません。妊娠・授乳中も使用を避けるか、専門家に相談してください。
判断ポイント:冷え・乾燥が強ければ避ける。安全性と受診の目安
苦参は全草が有毒とされる植物の根を用いる生薬で、きわめて苦く冷やす性質が強いため、冷えや乾燥の強い体質・胃腸虚弱・高齢の方では慎重に扱い、配合で調整します。広範囲の皮膚症状・発熱、膿を伴う腫れ、呼吸苦や顔面の腫れ、粘膜症状・目の強い充血、黄疸(皮膚や白目が黄色い)などの際は医療機関へご相談ください。妊娠・授乳中、小児や高齢者、他剤併用時は専門家に相談し、自己判断での長期連用・過量は避けてください。
- すぐに相談:高熱や全身の皮疹、呼吸困難、顔や舌の腫れ、強い化膿や吐き気、黄疸
- 服薬中:症状が改善しない/悪化する場合は中止し受診する。妊娠・授乳中、小児・高齢者、他剤併用時は専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
苦参が気になる方は、かゆみ、肌荒れ、おりものとの関係も確認すると理解が深まります。
苦参を含む漢方薬
苦参は、皮膚のかゆみ・湿疹を整える処方に配合されます。同じ苦参を含む処方でも、組み合わせる生薬によって向く症状は変わります。
よくある質問
Q. どんな体質・症状に向きますか?
湿熱がこもりやすく、かゆみ・赤み・じゅくじゅくしやすい皮膚症状、帯下・陰部のかゆみ、濁尿・排尿痛などに向きます。冷えが強い体質や乾燥の強い皮膚では、単独使用を避け、配合で調整します。
Q. 「クララ」という名前の由来は?
根を噛むと、クラクラするほど強く苦いことから「眩草(くららくさ)」と呼ばれ、それが転じて「クララ」になったとされます。全草が有毒で、根を薬用にします。
Q. 性味・帰経は?
性味は苦/寒、帰経は心・肝・胃・大腸・膀胱とされます。こもった湿熱を強く冷まし、風とかゆみ・虫をさばき、余分な水を尿として出す働きがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
苦参は、湿熱を冷ましかゆみをさばく生薬ですが、皮膚のかゆみや湿疹、おりものの背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。高熱や全身の皮疹、呼吸困難、顔や舌の腫れ、強い化膿や吐き気、黄疸などがある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。冷え・乾燥の強い体質、妊娠・授乳中は使用を避けるか専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、小児・高齢者、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。