羌活(きょうかつ)

まずは要点

  • どんな生薬? 羌活(きょうかつ)は Notopterygium incisum または Notopterygium forbesii の根茎・根を乾燥した生薬で、伝統的に散寒・去風・除湿・止痛(辛温解表)のはたらきが知られます。風寒による頭痛や項背のこわばり、風湿による関節・筋肉の痛みに狙って用いられます。*①③
  • 中身は? クマリン類(ベルガプテン、イソインペラトリン、ノトプテロールなど)、精油成分(リモネン、ピネンなど)、フェルラ酸やファルカリンジオールなどを含みます。*①②③
  • 注意点 体力が著しく低下した方や発熱が強い熱証では適さない場合があります。強い痛みや高熱が続く、のどの強い腫れが長引くなどの際は受診を検討します。自己判断での長期連用や過量は避け、用法・用量を守ります。*④

羌活の基礎データ

  • 読み方: きょうかつ
  • 基原・由来: Notopterygium incisum K.C.Ting ex H.T.Chang または Notopterygium forbesii H.Boissieu(セリ科)の根茎・根。日本薬局方(第十八改正)収載。*①③
  • 主要成分: クマリン類(ベルガプテン、イソインペラトリン、ノトプテロール等)、フェルラ酸、ファルカリンジオールなど。*①②③
  • 性味: 辛・苦 / 温 帰経: 膀胱・腎。*③

伝統的な使われ方

風寒の表証による頭痛・悪寒、肩背のこわばりや痛み、風湿による四肢関節痛・筋肉痛などに用いられてきました。上半身の痛みや頭痛に適し、独活(どっかつ)が下半身の痛みによく用いられるのと対比されます。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

通常の配合量での短期使用は概ね安全とされていますが、体質や併用薬によって合わない場合があります。高熱が続く、激しい痛みや腫れが長引く、呼吸が苦しい、顔面の激痛や麻痺などの際は医療機関へ相談してください。自己判断での長期連用や過量は避けます。*④

  • すぐ相談: 高熱の持続、激しい頭痛や顔面痛、のどの強い腫れ・嚥下困難、呼吸困難。
  • 服薬中: 他剤併用や基礎疾患がある場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 悪寒を伴う風邪の初期の頭痛、肩背のこわばりや痛み、風湿による関節痛・筋肉痛などに向きます。*①②③

Q. 独活(どっかつ)との違いは?

A. 羌活は太陽経(膀胱経)に入りやすく、上半身の表(外側)に偏った痛みや頭痛に適します。独活は少陰腎経に入り、やや裏(内部)や下半身の痛みに適するとされます。*③

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「キョウカツ/新常用和漢薬集」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:羌活」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:羌活」
  4. MSDマニュアル家庭版(受診の目安・一般的注意)

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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