卵黄(らんおう)

まずは要点

  • どんな生薬? 卵黄(らんおう/中薬名:鶏子黄)はニワトリの卵黄を用いる生薬で、伝統的に滋陰潤燥・養血のはたらきが知られます。不眠・いらいらなどの心神不安、熱病後の口渇や乾いた咳虚弱に伴う出血傾向などに応用されます。*①②③
  • 中身は? 卵黄はタンパク質と脂質(リン脂質)を多く含み、外用では伝統的に卵黄油が火傷や皮膚トラブルのケアに用いられてきました(民間利用)。*③
  • 注意点 卵アレルギーのある方は使用を避けます。衛生面に配慮し、生食・半生の摂取は避ける/十分に加熱し用法・用量を守ります。重い症状(けいれん・意識障害・大量出血など)は速やかに受診を。*①②

卵黄の基礎データ

  • 読み方: らんおう(中薬名:鶏子黄/けいしおう)
  • 基原・由来: ニワトリの卵黄。必要に応じて乾燥し用いる。*①③
  • 主要成分: タンパク質、脂質(リン脂質)、微量の糖質等。*③
  • 性味: 甘 / 平 帰経: 心・腎・肺・脾・胃(諸説)。*①

伝統的な使われ方

滋陰養血・潤燥として熱病後の虚弱、口渇・乾咳、不眠・心煩に。養血熄風の観点から小児の痙攣傾向に言及する古典もあります。処方では阿膠鶏子黄湯(あきょうけいしおうとう)に配され、温熱病後の陰血不足・内風に用います。*①②

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

食物として広く摂取される素材ですが、卵アレルギーの既往がある場合は禁忌。衛生面の観点から十分に加熱し、長期の自己判断での使用は避けます。けいれん・意識障害・止まらない出血などは緊急受診を。*①②

  • すぐ相談: 激しいけいれん、意識の混濁、多量の吐血/下血、重いアレルギー反応(呼吸困難・全身じんましん)。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する、皮膚症状が広がる場合は中止し専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 「卵黄油」は卵黄(鶏子黄)と同じですか?

A. 原料は同じ卵黄ですが、卵黄油は外用中心の伝統的民間製剤で、用途・用量・安全性が異なります。本ページの卵黄(鶏子黄)は生薬としての卵黄の解説です。*③

Q. どのくらいの量を使いますか?

A. 処方内で鶏子黄 1–2個を加える古典記載があり(例:阿膠鶏子黄湯)、体質や病態で調整します。自己判断での多量使用は避け、専門家に相談してください。*②

*参考・出典

  1. イアトリズム事典「鶏子黄」
  2. 薬膳情報.net「阿膠鶏子黄湯」
  3. 漢方生薬辞典「鶏子黄」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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