羚羊角(れいようかく)
まずは要点
- どんな生薬? 羚羊角(れいようかく)はサイガ(Saiga tatarica)の角を乾燥した生薬で、伝統的に平肝熄風・清肝明目・散血解毒のはたらきが知られます。高熱に伴うけいれんや意識障害、頭痛・めまい、目の充血などに用いられてきました。*①
- 中身は? 主成分は角質蛋白を主体とする無機塩類(リン酸カルシウムなど)で、抽出物に鎮静・解熱・鎮痛作用が報告されています。*①
- 注意点 動物由来の生薬であり、強い症状(高熱・けいれん・意識障害など)がある場合は速やかな受診が必要です。長期連用や自己判断での過量は避けます。*③
羚羊角の基礎データ
- 読み方: れいようかく
- 基原・由来: サイガカモシカ(Saiga tatarica)の角。*①
- 主要成分: 角質蛋白、燐酸カルシウムなど(抽出物で鎮静・解熱・鎮痛作用の報告)。*①
- 性味: 鹹 / 寒 帰経: 肝・心
伝統的な使われ方
高熱に伴う痙攣・譫語、頭痛・めまい、目赤などの眼症状、発疹・腫れなどに応用されます。肝の亢進を鎮めて風をおさめ(平肝熄風)、熱をさまして目をすっきりさせ(清肝明目)、瘀血や熱毒を散らす(散血解毒)ことを目標に配合されます。*①
この生薬を含む漢方薬例
- 銀翹散(ぎんぎょうさん)
- 金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)
- 能活精(のうかっせい)
- 救心感應丸氣(きゅうしんかんのうがんき)
- 律鼓心(りっこしん)
安全性と受診の目安
けいれんや高熱、意識の混濁などは救急受診を検討します。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は必ず専門家に相談してください。*③
- すぐ相談: けいれん、40℃前後の高熱が持続、意識障害・うわごと、激しい頭痛や嘔吐。
- 服薬中: 症状が改善しない、悪化する、眼症状(激しい充血や視力低下)が続く場合は受診。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. どんな体質・症状に向きますか?
A. 高熱に伴うけいれん・興奮、頭痛・めまい、目の充血などの熱証に向きます。*①
Q. 子どもに使えますか?
A. 強い熱やけいれんは緊急対応が優先されます。自己判断での使用は避け、必ず医療機関や専門家に相談してください。*③
*参考・出典
- 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:羚羊角」 ①
- PMDA「第十八改正日本薬局方」 ②
- MSDマニュアル家庭版「けいれん性疾患」等 ③