青皮(せいひ)

まずは要点

  • どんな生薬? 青皮(せいひ)はミカン属(Citrus spp.)の未熟果皮を乾燥した生薬で、伝統的に疏肝破気・散結消滞のはたらきが知られます。胸脇の張りや痛み、乳房の張り・しこり、食滞による胸腹部のつかえなどに応用されます。*①②③
  • 中身は? 揮発油(リモネン等)、フラボノイド(ヘスペリジン、ポリメトキシフラボン類〈ノビレチン、タンゲレチン等〉)などが報告されています。*①
  • 注意点 気虚・体力低下が目立つ場合や妊娠中は慎重に。消化器が弱い方で胃痛・悪心・噯気が悪化する際は中止し、持続する胸痛・急速に増大する腫塊・激しい腹痛は受診を。*②③④

青皮の基礎データ

  • 読み方: せいひ(別名:青柑皮・青橘皮)
  • 基原・由来: ミカン属(Citrus spp.)の未熟果皮。*①②
  • 主要成分: リモネン、ヘスペリジン、ノビレチン、タンゲレチン等。*①
  • 性味: 苦・辛 / 温 帰経: 肝・胆・胃。*②③

伝統的な使われ方

疏肝破気・止痛として胸脇痛・脹満・乳房の張りに、散結消滞として食滞や痰滞による胸腹部のつかえ・噯気(げっぷ)に。処方では柴胡達原飲・天台烏薬散・木香檳榔丸・海藻玉壺湯などでの配合が古典にみられます。*②③

この生薬を含む漢方薬例

  • 柴胡達原飲
  • 天台烏薬散
  • 木香檳榔丸
  • 海藻玉壺湯

安全性と受診の目安

通常量では概ね安全ですが、胃部不快・腹痛・げっぷが目立つ場合は中止し専門家へ相談を。強い胸痛、発赤・腫脹を伴う乳房痛、激しい腹痛は受診してください。*②③④

  • すぐ相談: 強い胸痛・呼吸苦、発熱を伴う乳房の腫脹、黒色便/血便、意識障害。
  • 服薬中: 改善しない/悪化する、胃痛・悪心・げっぷが続く場合は中止し受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 陳皮(ちんぴ)との違いは?

A. 陳皮は成熟果皮で理気・燥湿化痰を主とし、青皮は未熟果皮で疏肝破気・散結の比重が高いとされます。症状や体質で使い分けます。*③④

Q. 乳房の張りやしこりに用いるのはなぜ?

A. 肝気鬱結に伴う気滞・血行停滞を疏肝・散結で和らげる狙いからです。発赤・激痛・発熱を伴う場合はまず受診してください。*②③

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:青皮」
  2. イアトリズム事典「漢方生薬:青皮」
  3. 薬膳情報.net「中薬:青皮」
  4. 漢方薬のきぐすり.com「生薬辞典:青皮」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。