蒺藜子(しつりし)

まずは要点

  • どんな生薬? 蒺藜子(しつりし)はハマビシ(Tribulus terrestris)の果実を乾燥した生薬で、伝統的に疏肝解鬱・祛風明目・止痒のはたらきが知られます。目の充血・かゆみ、頭痛・めまい、皮膚のかゆみ・蕁麻疹などに配合されます。*①②③
  • 中身は? サポニン(プロトジオシン類など)、フラボノイド、微量のアルカロイド等が報告されています。*①③
  • 注意点 目の痛み・視力低下、顔や舌の腫れ・息苦しさなど重いアレルギー症状、発熱や広範囲の皮疹を伴う場合は受診を検討します。自己判断での長期連用・過量は避け、用法・用量を守ります。*④

蒺藜子の基礎データ

  • 読み方: しつりし
  • 基原・由来: ハマビシ(Tribulus terrestris L., ハマビシ科)の果実。*①②
  • 主要成分: サポニン(プロトジオシン等)、フラボノイド。*①③
  • 性味: 苦・辛 / 平〜微寒 帰経: 肝。*①③

伝統的な使われ方

肝の滞り(疏肝)を整え、目の充血・かゆみ、頭痛・めまい、皮膚のかゆみ・蕁麻疹などに応用されます。菊花・決明子・蔓荊子と配合して明目・散風を助け、荊芥や防風と合わせて止痒・解表を図ります。乳房の張りや気滞を伴う場合は柴胡や香附子などと組み合わせます。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

激しい目の痛み・視力低下、呼吸困難や顔面・舌の腫れ、発熱を伴う広範囲の皮疹などの際は直ちに受診してください。小児・高齢者、妊娠・授乳中、他剤併用がある場合は専門家に相談を。*④

  • すぐ相談: 目の激痛・視力障害、呼吸困難、顔や舌の腫れ、高熱と全身の発疹。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 菊花(きっか)との違いは?

A. どちらも明目・散風に関わりますが、菊花は清熱による目の充血・痛みに寄り、蒺藜子は疏肝・止痒の性質がやや強く、皮膚のかゆみや気滞を伴う目症状にも応用されます。*①③

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 目の充血・かゆみ、頭痛・めまい、蕁麻疹などの風熱・気滞を伴う症状に向きます。乾燥が強い・冷えが強い体質では配合で調整します。*①②

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:蒺藜子」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「シツリシ(蒺藜子)」
  3. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:蒺藜子」
  4. MSDマニュアル家庭版(アレルギー症状の受診目安)