桑寄生(そうきせい)とは?腰膝のだるさや関節痛、しびれに使う生薬を体質別に解説

桑寄生(そうきせい)は、クワなどの樹木に寄生するヤドリギ科植物(ヤドリギ・オオバヤドリギなど)の茎葉を乾燥した生薬です。風湿を除き筋骨を強くする働き(祛風湿・強筋骨)や、肝腎を補い妊娠を安定させる働き(補肝腎・安胎)から、肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み、関節痛・しびれ、妊娠中の下腹部痛や性器出血のケアに用いられてきました。宿り木ならではの独特な立ち位置をもつ生薬です。KanpoNowでは、この生薬を「肝腎を補いながら風湿を除く生薬」として整理します。
- 桑寄生(そうきせい)はヤドリギ科ヤドリギ(Viscum album subsp. coloratum)やオオバヤドリギなどの茎葉を乾燥した生薬です*①②
- 主成分はオレアノール酸、アビクラリン、イノシトール、ケルセチン、ルペオールなどです*②③
- 漢方では、風湿を除き筋骨を強くし(祛風湿・強筋骨)、肝腎を補い妊娠を安定させる(補肝腎・安胎)働きで用いられます*①②③
- 祛邪(風湿を除く)の力が強く、補養(肝腎を補う)の力は比較的弱いため、単独では滋養薬として使用しません
桑寄生は独活・牛膝・杜仲・当帰などと組み合わせて用いられることが多い生薬です。腰や関節の痛みが急に強くなる、高血圧の症状が悪化する場合は自己判断で対処せず、専門家へご相談ください。
桑寄生とは
桑寄生(そうきせい)は、ヤドリギ科(Loranthaceae/Santalaceae)のヤドリギ(Viscum album L. subsp. coloratum)やオオバヤドリギ(Loranthus yadoriki)など、クワをはじめとする様々な樹木に寄生する植物の茎葉を乾燥させた生薬です。和名「宿り木」の通り、樹の上に宿るように繁殖する特徴的な植物です。日本国内では近年までサルノコシカケ科の菌体も「桑寄生」と呼ばれ、断面の赤黒いものを「梅寄生」、白いものを「桑寄生」と誤用されていた歴史もあります。
漢方薬剤師の視点では、桑寄生は「祛風湿薬(風湿邪を除く生薬)」の中でも、補肝腎の力を併せもつ生薬に分類されます。風湿痺痛による腰膝のだるさ・痛みに、独活・牛膝・杜仲・当帰などと配合され(独活寄生湯・独活寄生丸)、肝腎虚損による妊娠中の下腹部痛・性器出血には、菟絲子・続断・阿膠などと配合されます(寿胎丸)。祛邪(風湿を除く)の力が強く、補養(肝腎を補う)の力は比較的弱いため、単独では滋養薬として用いません。
基原・成分データ
桑寄生の基本データを整理します。ヤドリギ科植物の茎葉を用いること、オレアノール酸などのトリテルペン系成分を含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。桑寄生は、苦く甘く、偏りのない性質(平)で、肝・腎に働きます。
「苦」は湿を乾かし引き締める味、「甘」は補い養う味とされます。風湿を除きながら肝腎を補う働きと結びつきます。
「平」は偏りのない性質で、体を過度に温めたり冷やしたりせず、おだやかに補う方向に働きます。
肝に働いて筋を、腎に働いて骨を養い、腰膝のだるさ・痛みや関節の症状に関わります。
漢方的な働きの軸
桑寄生の働きは、大きく二つの軸で整理できます。風湿を除き筋骨を強くする軸、肝腎を補い妊娠を安定させる軸が重なり、腰膝の痛み・妊娠中の不安定さを整えます。
伝統的な使われ方
桑寄生は古くから、祛風湿・強筋骨・補肝腎・安胎を目的に用いられてきました。肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み、風湿痺痛による関節や肢体の疼痛、妊娠中の下腹部痛・性器出血・習慣性流産などのケアに用いられてきた歴史があります。桑寄生は肝・腎に入り、祛邪(風湿を除く)の力が強い一方、補養(肝腎を補う)の力は比較的弱いため、単独では滋養薬として使用せず、他の生薬と組み合わせて用いられます。
独活・牛膝・杜仲・当帰などと組み合わせて、肝腎不足による腰膝のだるさ・関節痛を整える処方(独活寄生湯・独活寄生丸)、菟絲子・続断・阿膠などと組み合わせて妊娠中の不安定さを整える処方(寿胎丸)に配合されます。体力が虚弱で腰や手足の痛みが治りにくい方に、気血を補う生薬とともに用いられることが多い生薬です。
形状・味・使われ方の体感
桑寄生は、ヤドリギならではの特徴をもつ生薬です。
黄褐色の円柱形の茎
枝茎は円柱形で節があり、表面は黄褐色〜灰褐色で縦じわがあります。質は軽くてもろく、折れやすいのが特徴です。
わずかに苦い
味はわずかに苦く、平性で体を過度に温めたり冷やしたりしません。枝が若く黄緑色で葉があり砕けていないものが良品とされます。
他の生薬と組み合わせて使用
独活・牛膝・杜仲・当帰など、肝腎を補う生薬や活血の生薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
桑寄生は肝腎を補いながら風湿を除く生薬です。肝腎不足・風湿痺痛があるか、逆に単独での強壮目的でないかを見極めることが大切です。
肝腎不足による腰膝酸痛タイプ
腰や膝のだるさ・痛み、無力感がみられるタイプに向きます。桑寄生の中心的な使い道です。
判断ポイント:肝腎不足の腰膝酸痛。風湿痺痛・しびれタイプ
関節や肢体の疼痛、しびれ、運動障害のケアに用いられてきました。
判断ポイント:風湿による関節痛・しびれ。高血圧傾向のタイプ
降圧作用が知られているため、血圧の薬を服用中の方は経過を見ながら専門家に相談します。
判断ポイント:血圧の変化に注意。単独の強壮・滋養目的タイプ
祛邪の力が強く補養の力は比較的弱いため、単独では滋養薬として使用しません。他の生薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:単独使用は避ける。安全性と受診の目安
桑寄生は処方の中で用いられる祛風湿薬ですが、降圧作用が知られているため、血圧の薬を服用中の方は自己判断での併用を避けます。妊娠中に用いる場合も、自己判断ではなく専門家の指導のもとで用いることが大切です。関節の痛みが急に強くなる、めまい・立ちくらみが強い、妊娠中の出血・下腹部痛が続く場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:関節の痛みが急に強くなる、めまい・立ちくらみが強い、妊娠中の出血・下腹部痛が続く
- 服薬中:血圧の薬を服用中の方、妊娠中の方、持病・他剤併用がある場合は専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
桑寄生が気になる方は、膝痛、しびれ、高血圧との関係も確認すると理解が深まります。
桑寄生を含む漢方薬
桑寄生は、肝腎不足・風湿痺痛を整える処方に配合されます。桑寄生の肝腎を補いながら風湿を除く働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
※お使いの製品にどの生薬が含まれるかは、製品の添付文書・成分表示をご確認ください。処方の選択や併用については、薬剤師・登録販売者など専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 独活寄生湯とはどんな処方ですか?
独活寄生湯は、独活・桑寄生を中心に、牛膝・杜仲などで肝腎を補い、党参・茯苓などの補気薬、当帰・芍薬・地黄・川芎などの補血薬をバランスよく配した処方です。体が虚弱で、腰や手足の痛みが頑固で治りにくい方に用いられます。
Q. 妊娠中に使われることがあるのはなぜですか?
桑寄生には補肝腎・安胎の働きが知られ、肝腎虚損による妊娠中の下腹部痛・性器出血・習慣性流産の傾向に用いられてきました。ただし妊娠中の使用は自己判断を避け、必ず専門家の指導のもとで行ってください。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み、風湿痺痛による関節痛・しびれのタイプに向きます。祛邪の力が強く補養の力は比較的弱いため、他の生薬と組み合わせて用いられます。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
桑寄生は、肝腎を補いながら風湿を除く生薬ですが、腰膝の痛みや不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。関節の痛みが急に強くなる、妊娠中の出血・下腹部痛が続く場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。血圧の薬を服用中の方、妊娠中の方は自己判断を避け、症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。