沢瀉(たくしゃ)とは?むくみや小便不利、めまい・頭重に使う生薬を体質別に解説

沢瀉(たくしゃ)は、オモダカ科サジオモダカの塊茎を乾燥した生薬です。余分な水を排出する働き(利水滲湿)や、こもった熱をさばく働き(清熱泄火)から、むくみ・小便不利、めまい・頭重などの水滞に伴う症状のケアに用いられてきました。同じ利水薬の茯苓とよく比較され、瀉すのみで補う力をもたない、すっきりと水をさばく生薬として知られています。KanpoNowでは、この生薬を「余分な水を排出し、こもった熱をさばく生薬」として整理します。
- 沢瀉(たくしゃ)はサジオモダカ(Alisma orientale (Sam.) Juz.)の塊茎を乾燥した生薬で、日本薬局方に収載されています*①②
- 主成分はトリテルペノイド(alisol A・B等)、多糖、でん粉などです*②③
- 漢方では、余分な水を排出し(利水滲湿)、こもった熱をさばく(清熱泄火)働きで用いられます*①②③
- 口渇や尿量の急激な増減、脱水の兆候には注意します。体力が低下し冷えやすい体質では用量・配合の調整が必要です
沢瀉は茯苓・猪苓・白朮など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。発熱や激しい頭痛、尿が極端に出ない・血尿がある場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
沢瀉とは
沢瀉(たくしゃ)は、オモダカ科サジオモダカ(Alisma orientale (Sam.) Juz.)の塊茎を乾燥させた生薬です。『神農本草経』の上品に収載され、別名を「水瀉」とも称します。下半分は水の中、上半分は日光がよく当たる場所で育つサジオモダカの生態は、水をさばきながら熱を清めるという沢瀉の効能をよく表しているといわれます。
漢方薬剤師の視点では、沢瀉は「利水滲湿薬(水液代謝を調節し不要な水分を排出する生薬)」に分類されます。甘淡・寒の性質をもち、寒で熱を除き淡で湿を滲出し、腎経の虚火を泄し膀胱の湿熱を除くことから、通利小便・祛湿泄熱・除痰飲の効能をもちます。利水滲湿の力は茯苓とほぼ同じですが、沢瀉は泄熱に働き補益の効能をもたないため、「沢瀉は瀉あって補なし、茯苓は瀉あって補あり」といわれ、使い分けられます。
基原・成分データ
沢瀉の基本データを整理します。サジオモダカの塊茎を用いること、トリテルペノイド系成分を含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。沢瀉は、甘く淡く、冷やす性質(寒)で、腎・膀胱に働きます。
「甘・淡」は水をしみ出させ排出する味とされます。余分な水を体外へ導き、水滞をやわらげる働きと結びつきます。
「寒」は冷やす性質で、膀胱の湿熱や腎経の虚火を冷まし、水滞と熱を同時にさばく方向に働きます。
腎・膀胱に働いて水の代謝を整え、むくみ・小便不利、めまい・頭重に関わります。
漢方的な働きの軸
沢瀉の働きは、大きく二つの軸で整理できます。余分な水を排出する軸、こもった熱をさばく軸が重なり、水滞・湿熱を整えます。
伝統的な使われ方
沢瀉は古くから、利水滲湿・清熱泄火を目的に用いられてきました。水滞によるむくみ・小便不利、口渇・尿量減少、めまい・頭重、下痢などのケアに用いられてきた歴史があります。沢瀉は腎・膀胱の気分に入り、利水を主眼としながら、腎陰虚の虚火をさばく力もあわせもつのが特徴です。
茯苓・猪苓・白朮などと組み合わせて、水滞によるむくみ・めまい・頭痛を整える処方(五苓散)に配合されます。また、腎陰虚の虚火には熟地黄・山茱萸・牡丹皮などと組み合わせる六味地黄丸系の処方にも用いられます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
沢瀉は、サジオモダカの塊茎ならではの特徴をもつ生薬です。
類球形〜楕円形の塊茎
周皮を除いた類球形〜楕円形の塊茎で、黄白色〜淡黄褐色をしています。質が充実し重みのあるものが良品とされます。
淡い甘みとわずかな苦み
味は淡い甘みがあり、寒性。水をしみ出させながら、こもった熱をおだやかに冷ます方向に働きます。
他の利水薬と組み合わせて使用
茯苓・猪苓・白朮など、他の利水薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
沢瀉は余分な水を排出する生薬です。水滞・湿熱があるか、逆に冷え・体力低下が強くないかを見極めることが大切です。
水滞・むくみタイプ
むくみ・小便不利がみられるタイプに向きます。沢瀉の中心的な使い道です。
判断ポイント:水滞によるむくみ。めまい・頭重タイプ
めまい・頭重・口渇・尿量減少などのケアに用いられてきました。
判断ポイント:水滞によるめまい。腎陰虚によるのぼせタイプ
腎陰虚に伴うのぼせ・口渇には六味地黄丸系に配合されますが、体力低下・冷えがある場合は配合を調整します。
判断ポイント:配合を調整して使用。冷え・体力低下が強いタイプ
沢瀉は瀉すのみで補う力をもたないため、冷えや体力低下が強い方は単独では用いず、他の生薬と組み合わせます。
判断ポイント:単独使用は避ける。安全性と受診の目安
沢瀉は処方の中で用いられる利水滲湿薬ですが、体質や体調により口渇・めまい・下痢などが出ることがあります。口渇や尿量の急激な増減、脱水の兆候には注意が必要です。発熱や強い脱力、尿の異常(血尿・排尿痛)が続く場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:発熱や激しい頭痛、尿が極端に出ない・血尿がある、ぐったりする
- 服薬中:持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
沢瀉が気になる方は、むくみ、めまい、頭痛との関係も確認すると理解が深まります。
沢瀉を含む漢方薬
沢瀉は、水滞・湿熱を整える処方に配合されます。沢瀉の水を排出する働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. 五苓散(ごれいさん)との関係は?
五苓散は水滞(口渇・尿量減少・むくみ・頭痛など)を目標にした方剤で、沢瀉・茯苓・猪苓・白朮・桂枝から成ります。沢瀉は利水の中核として位置づけられます。
Q. 茯苓との違いは?
どちらも利水滲湿薬で作用の強さはほぼ同じですが、沢瀉は瀉すのみで補う力をもたない一方、茯苓は瀉すと同時に脾を補う力ももちます。体質や配合の目的により使い分けられます。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
水滞(むくみ・小便不利・口渇・頭重)や、腎陰虚に伴うのぼせ・口渇(六味地黄丸系)などに向きます。冷え・体力低下がある場合は配合を調整します。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
沢瀉は、余分な水を排出しこもった熱をさばく生薬ですが、むくみや不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。発熱や激しい頭痛、尿が極端に出ない・血尿がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。