丹参(たんじん)

まずは要点

  • どんな生薬? 丹参(たんじん)はシソ科アキギリ属タンジン(Salvia miltiorrhiza)の根を乾燥した生薬で、伝統的に活血祛瘀・涼血消癰・清心安神のはたらきが知られます。瘀血に伴う胸痛・月経不順や、化膿性の腫れ、不眠・焦燥などに応用されます。*①②③
  • 中身は? フェナントラキノン系ジテルペンタンシノン類(tanshinone IIA ほか)、カフェ酸誘導体リトスペルミン酸B(=サルビアノール酸B)などを含み、血管弛緩・抗酸化などの薬理が報告されています。*①②④
  • 注意点 強い胸痛・息切れ、突然の片側のしびれや麻痺、持続する不正出血などは受診を。抗凝固薬等を服用中は相互作用に注意し、自己判断での長期連用や過量は避けます。*①④

丹参の基礎データ

  • 読み方: たんじん
  • 基原・由来: Salvia miltiorrhiza Bunge の根。*①②
  • 主要成分: タンシノン類(tanshinone Ⅰ/ⅡA/ⅡB, cryptotanshinone など)、カフェ酸誘導体(lithospermic acid B, salvianolic acid B など)。*①②④
  • 性味: 苦 / 微寒 帰経: 心・心包・肝。*①③

伝統的な使われ方

活血祛瘀・活血調経として月経不順・痛経・産後瘀阻、清心安神として心煩・不眠、涼血消癰として化膿性腫脹に。処方では丹参飲・清営湯・天王補心丹、現代中成薬では冠元顆粒などの配合例が知られます。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

  • 丹参飲
  • 清営湯
  • 天王補心丹

安全性と受診の目安

突然の強い胸痛・息切れ・片側の脱力、出血傾向が強い、月経異常が長引く、発赤・熱感を伴う腫れが拡大する——こうした場合は医療機関へ。抗凝固薬・抗血小板薬などを服用中は事前に専門家へ相談してください。*①④

  • すぐ相談: 激しい胸痛や圧迫感、息苦しさ、片麻痺・構音障害、止まりにくい出血。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する、めまい・動悸が悪化する場合は中止し受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 瘀血傾向(刺すような痛み・冷えやしびれ・月経トラブル)や、胸悶・胸痛、不眠・焦燥が目立つ場合に向きます。体質や他剤併用により調整が必要です。*①③

Q. 近縁種や代用品はありますか?

A. 文献には紫丹参(Salvia przewalskii)など近縁種の記載や流通の注意があり、日本市場では S. miltiorrhiza 以外の種が混在することがあるとされます。購入時は由来情報に留意してください。*①

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:丹参」
  2. 公益社団法人 東京生薬協会「タンジン(丹参)」
  3. イアトリズム事典「丹参」
  4. 日本薬学会「タンジン(丹参)の成分・特徴(コラム)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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