燈心草(とうしんそう)
まずは要点
- どんな生薬? 燈心草(とうしんそう)はイグサ(Juncus effusus)の茎の柔らかな髄(燈心)を乾燥した生薬で、伝統的に清心瀉火・利尿通淋・除煩安神のはたらきが知られます。口内炎や口渇・いらいら、排尿痛や尿が少ない・濃い感じなどに配合されます。*①
- 中身は? フラボノイド様成分や微量の揮発性成分、シリカなどが報告されています(部位・産地で差)。*①
- 注意点 高熱や背部痛・血尿・発熱を伴う排尿痛、ぐったりする・尿が極端に少ないなどは受診を検討します。自己判断での長期連用・過量は避け、用法・用量を守ります。*④
燈心草の基礎データ
- 読み方: とうしんそう
- 基原・由来: イグサ(Juncus effusus L., イグサ科)の茎の髄(燈心)。*①
- 主要成分: 微量の揮発成分・フラボノイド様成分等。*①
- 性味: 甘・淡 / 寒 帰経: 心・肺・小腸。*①
伝統的な使われ方
心火の亢進による口内炎・口渇・煩躁、不眠気味のいらいら、尿の熱(排尿痛・血尿・尿が濃い感じ)に応用されます。淡竹葉や木通と併用して清心・利尿を助け(導赤散)、石膏や麦門冬とあわせて清熱・生津を図ります(竹葉石膏湯など)。煎じる際に「燈心草を加えて煎じる」用法が古典に見られます。*①
この生薬を含む漢方薬例
- 竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)(せき、気管支炎、ぜんそくなど)
- 分消湯(ぶんしょうとう)(むくみ、排尿困難、腹部膨満感など)
- 滋腎明目湯(じじんめいもくとう)(目のかすみ、目の疲れ、目の痛みなど)
- 清心蓮子飲(せいしんれいしんいん)(排尿痛・頻尿など)
安全性と受診の目安
高熱が続く、背部痛や発熱を伴う排尿痛・血尿、尿が極端に少ない・むくみが強いなどの際は医療機関へ。小児・高齢者、基礎疾患や他剤併用がある場合は専門家に相談してください。*④
- すぐ相談: 高熱、悪寒戦慄、背部痛と排尿痛、血尿・尿が出にくい。
- 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 淡竹葉(たんちくよう)との違いは?
A. いずれも清心除煩・利尿に関わりますが、淡竹葉は清熱・生津と咽喉・口腔の熱に、燈心草は利尿通淋と心火の鎮静に比重があり、不眠ぎみのいらいらや尿の熱感に用いられます。*①③
Q. どんな体質・症状に向きますか?
A. 口内炎・口渇・いらいら、排尿痛・尿が濃い感じ・血尿などの心火・小腸の熱による症状に向きます。冷えが強い体質では単用を避け、配合で調整します。*①
*参考・出典
- 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:燈心草」 ①
- 公益社団法人 東京生薬協会」 ②
- ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典」 ③
- MSDマニュアル家庭版「尿路感染症(受診の目安)」 ④