茴香(ういきょう)

まずは要点

  • どんな生薬? 茴香(ウイキョウ)は香りで胃腸のはたらきを助け、気の巡りを整える芳香性健胃・理気の生薬です。*①
  • 中身は? 主要成分は精油のアネトール、ほかエストラゴールやフェンコンなどです。*①
  • 性味・帰経:辛/温 肝・腎・脾・胃 *②

茴香の基礎データ

  • 読み方: ういきょう。
  • 基原・由来: セリ科ウイキョウ(Foeniculum vulgare)の果実(Foeniculi Fructus)です。*①
  • 主要成分: アネトール、エストラゴール、(d-)リモネン、(d-)フェンコンなどの精油成分を含みます。*①
  • 伝統的薬能: 芳香性健胃・駆風・理気。腹部の膨満感や痛みの改善を目的に配合されます。*①

伝統的な使われ方

茴香は、冷えや停滞でお腹がはる・痛むときに、気の巡りを整え胃腸の動きを助ける目的で配合されてきました。散寒止痛・理気和胃の要領で、腹部膨満感、胃痛、しゃっくりなどへの配合例が古くから記載されています。*①②

この生薬を含む漢方薬例

  • 安中散(あんちゅうさん)(胃痛・腹痛、胃もたれ、胸やけ、げっぷ等)
  • 丁香柿蒂湯(ちょうこうしていとう)(しゃっくりなど)

安全性と受診の目安

一般的には香味性の健胃生薬として用いられますが、体質や持病、併用薬によって合わない場合があります。妊娠・授乳中や持病のある方は自己判断での継続・中止を避け、専門家にご相談ください。*①②

  • すぐ相談: 服用後に動悸・のぼせ・胃痛の増悪など違和感が続くとき。
  • 服薬中: 他の健胃薬・スパイス系サプリとの重複使用は避け、用量・期間を守ってください。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな症状のときに選ばれますか?

A. 伝統的には、腹部膨満感や冷えを伴う胃痛、しゃっくりなどに配合されます。*①②

Q. 香辛料のフェンネルとの違いはありますか?

A. 同じ植物の果実由来で、漢方では用量や配合を理論に沿って使い分けます。食材としての利用と異なり、医薬品は用法・用量に従います。*③

*参考・出典

  1. 東京生薬協会「ウイキョウ/新常用和漢薬集」
  2. 薬膳情報.net「中薬(小茴香)」
  3. ウチダ和漢薬「生薬の玉手箱:茴香(ウイキョウ)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。

最終更新日: