益母草(やくもそう)

まずは要点

  • どんな生薬? 益母草(やくもそう)はシソ科のハッカクレンリソウ(Leonurus japonicus)の地上部(花期の全草)を乾燥した生薬で、伝統的に活血調経・利水消腫・清熱解毒のはたらきが知られます。月経不順・月経痛、産後の悪露不尽、むくみ・排尿トラブル、皮膚の腫れなどに配合されます。*①
  • 中身は? レオヌリン(leonurine)・スタキドリン(stachydrine)などのアルカロイド、フラボノイド類が報告されています。*①
  • 注意点 妊娠中は子宮収縮作用が懸念されるため原則避けます。大量の出血や激しい下腹部痛、発熱や悪臭を伴う産後出血などの際は直ちに受診を検討します。*④

益母草の基礎データ

  • 読み方: やくもそう
  • 基原・由来: Leonurus japonicus Houtt. の地上部(花期の全草)。*①
  • 主要成分: アルカロイド(レオヌリン・スタキドリン等)、フラボノイドほか。*①
  • 性味: 苦・辛 / 微寒 帰経: 心・肝・膀胱。*①

伝統的な使われ方

活血調経により月経不順・月経痛・産後の悪露停滞を改善し、利水によりむくみ・排尿困難を和らげます。清熱解毒の面から皮膚の腫脹・化膿にも応用され、当帰・芍薬・川芎などの補血・活血薬や、茯苓・沢瀉などの利水薬と組み合わせます。*①

この生薬を含む漢方薬例

  • 益母草膏(えきぼそうこう)

安全性と受診の目安

月経時に突然量が極端に多い、出血が長引く、産後の出血に発熱・下腹部の強い痛み・悪臭を伴う、不妊が続くなどの際は医療機関に相談してください。妊娠中・出血傾向のある方は使用を避けます。自己判断での長期連用・過量は避け、用法・用量を守ります。*④

  • すぐ相談: 大量出血、めまい・失神、激しい下腹部痛、発熱を伴う悪露。
  • 服薬中: 症状が改善しない/悪化する場合は受診。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 月経不順・月経痛、産後の悪露停滞、むくみ・排尿トラブルがあるときに向きます。冷えが強い場合は温性の配合で調整します。*①

Q. 当帰や芍薬との違いは?

A. 当帰・芍薬は補血・緩急に比重があり、益母草は活血・利水の色合いが強いのが特徴です。目的に応じて併用します。*①

*参考・出典

  1. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:益母草」
  2. ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典 
  3. MSDマニュアル家庭版「異常子宮出血(受診の目安)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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