防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、漢方の古典『金匱要略』に記される、「余分な水の滞り」を整える代表的な処方です。疲れやすく汗をかきやすい、いわゆる「水ぶとり」タイプの方の水分代謝を改善します。体に溜まった余分な水を排出するとともに、体表のバリア機能を高めて、締まりのある健やかな体づくりをサポートします。
成分(生薬)
黄耆、防已、蒼朮、大棗、甘草、生姜
漢方的な考え方
漢方では、体を支える「気」が不足すると、水分を巡らせる力や汗を調節する力が弱まると考えます。その結果、皮下に余分な水が溜まって体が重だるくなったり、関節が腫れたり、必要以上に汗が漏れ出たりします。本方は、不足したエネルギーを補いながら(補気)、停滞した水を外へ導き出す(利水)ことで、重だるい不調を解消します。
- ● 肥満症(水ぶとり): 筋肉に締まりがなく、皮下に水分が溜まって体が重く感じられる状態。いわゆる色白で疲れやすく、太りやすいタイプ。
- ● むくみ・多汗症: 水分代謝が滞りやすく、足や顔がむくみやすい状態。また、体表を守る力が弱いために、少しの動きで汗が止まらなくなるような状態。
- ● 関節の腫れ・痛み: 膝などの関節周囲に余分な水が溜まり、重だるい痛みや腫れが生じている状態。
構成生薬の役割
- ● 水をさばき、腫れを鎮める: 防已(ぼうい)が、組織に溜まった余分な水分を強力にさばき、むくみや関節の重だるい腫れを取り去ります。
- ● 気を補い、バリアを固める: 黄耆(おうぎ)が不足した「気」を補い、皮膚の調節機能を高めることで、無駄な汗が漏れ出すのを防ぎ、体を内側から引き締めます。
- ● 胃腸を整え、湿を乾かす: 蒼朮(そうじゅつ)が胃腸を元気にしながら余分な「湿(しつ)」を乾かし、生姜・大棗(たいそう)・甘草が全体の調和を保ちながら回復を助けます。
監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)
執筆: KanpoNow編集部
※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。