平胃散(へいいさん)
平胃散(へいいさん)は、宋代の医書『和剤局方』に記される、胃腸の「お掃除役」とも言える処方です。「食べ過ぎ・飲み過ぎで胃がもたれる」「お腹が張って食欲が湧かない」といった不調を、胃の中に溜まった余分な湿気(湿)を取り除き、胃のはたらきを平らか(平)に整えることで改善します。
成分(生薬)
蒼朮、厚朴、陳皮、大棗、甘草、生姜。
漢方的な考え方
漢方では、脂っこいものや冷たいものの摂りすぎ、あるいはアルコールの摂取によって、胃腸の中に「湿(不要な水分や汚れ)」が停滞すると考えます。この「湿」が居座ると、胃腸のエネルギーがうまく回らなくなり、重だるいもたれ感や食欲不振を引き起こします。本方は、胃の中を「乾燥」させて「動かす」ことで、スッキリとした感覚を取り戻します。
- ● 胃のもたれ・膨満感: 飲食物が停滞し、胃のはたらきが鈍くなっている状態。お腹が張って、ガスが溜まっているような苦しさがある時。
- ● 消化不良・食欲不振: 胃腸に「湿」がこびりついているために、食べ物を受け付ける余裕がなく、空腹感を感じにくい状態。
- ● 下痢傾向・軟便: 胃腸の水分代謝が乱れ、処理しきれなかった湿気が腸へ流れ込み、便がゆるくなったり、体が重だるく感じられたりする状態。
構成生薬の役割
- ● 「湿」を乾かして胃を動かす: 蒼朮(そうじゅつ)が胃腸に停滞したドロドロとした湿気を強力に乾かし、消化のはたらきを呼び覚まします。
- ● 滞った気を流し張りを取る: 厚朴(こうぼく)と陳皮(ちんぴ)が、胃に詰まった「気」の巡りを良くすることで、お腹の張りや不快なもたれ感をスッと解消します。
- ● 胃腸を保護し調和させる: 生姜・大棗(たいそう)・甘草が、胃の粘膜を守りながら全体の成分をバランスよくまとめます。これにより、不摂生で疲れた胃腸を優しく、かつ確実に整えていきます。