環元清血飲とは?頭痛・肩こり・めまい・動悸に使う漢方薬

更新日:2026年7月6日 監修:堀口和彦
環元清血飲(かんげんせいけついん)

環元清血飲(かんげんせいけついん)は、1970年代に中国の国家プロジェクトとして開発された「冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)」をベースに、日本人の体質に合わせて改良された処方です。丹参を主薬とする「活血化瘀(かっけつかお)」の処方で、血の巡りが滞って起こるドロドロ血(瘀血)の状態を解消することに特化しています。KanpoNowでは、この処方を「血管を広げて血の滞りを強力に解消し、頭痛・肩こり・めまい・動悸を根本から整える漢方薬」として整理します。

環元清血飲はこんな人に向いています
  • 中年以降、または高血圧傾向があり、頭痛・頭重・肩こり・めまい・動悸が続く
  • 顔色がどす黒い、くすみ・シミが気になる(血の滞りのサイン)
  • 肩や首のこりが固定していて、もみほぐしても戻る
  • 生理痛が強く、経血に塊が混じる
  • ストレスで血管が収縮しやすく、緊張型の頭痛や動悸が出やすい

反対に、出血(生理過多・胃潰瘍出血・眼底出血など)が続いているタイプ、著しく体力がなく貧血が強いタイプ、過度に乾燥・ほてりがある陰虚タイプには単独使用は向きにくく、体質に応じた補う薬との組み合わせが必要です。妊婦または妊娠している可能性のある方には禁忌です。

環元清血飲とは

環元清血飲は、丹参川芎芍薬紅花香附子木香の6種類の生薬から構成される漢方薬です。生薬のほとんどが「活血化瘀(血を巡らせ滞りを取る)」に特化しており、「血をドンドン動かす」という一点に向かって組み立てられた処方です。中年以降または高血圧傾向のある方の頭痛・頭重・肩こり・めまい・動悸に用いられます。

日本の漢方薬剤師の視点では、環元清血飲は「単なる血流改善薬」ではなく、血管を広げて血栓を防ぎ、滞った古い血を動かして組織に新鮮な血液を送り届ける「血管のアンチエイジング」的な処方です。だから、この処方を選ぶときは、症状名よりも「ドロドロ血(瘀血)」の背景があるかを見ることが重要です。顔色がどす黒い、固定した痛み、シミ・くすみ、経血に塊が混じるといったサインが目安になります。

ポイント:環元清血飲は「血の滞り(瘀血)を強力に解消する」処方です。中年以降・高血圧傾向の頭痛・肩こり・めまい・動悸に合いやすい一方、出血がある状態や妊婦には使えません。体力がなく貧血気味の方は補う薬との組み合わせを検討します。

処方の成り立ち

環元清血飲のベースとなる「冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)」は、中国の古典に直接の記載がある処方ではありません。1970年代、中国医学研究院が狭心症や心筋梗塞といった心血管疾患(冠状動脈の血流障害)を治療するために国家プロジェクトとして開発した処方です。これを日本人の体質に合わせて改良したものが環元清血飲です。

「血(けつ)の滞り(瘀血)を解消する」という「活血化瘀」の考え方を中心に組み立てられており、現代の生活習慣病(高血圧、動脈硬化)や、ストレスによる血流障害に対応するために設計された「現代の処方」という位置づけです。

環元清血飲らしさ:古典由来ではなく現代中医学の成果。血の滞りを解消することに徹底的に特化した6生薬の構成が特徴です。丹参が処方の約半分を占め、主役の座を担います。

漢方的な病態とメカニズム

東洋医学では、環元清血飲が合う状態を「血瘀(けつお)」と考えます。これは、血が全身に流れずに停滞し、粘度が高まった「ドロドロ血」や、毛細血管の血流が悪化した微小循環障害の状態です。一部、気の滞り(気滞)を伴うこともあります。

  • 血瘀(ドロドロ血):血の粘度が高まり、全身に酸素と栄養を送れなくなっている状態
  • 固定した痛み:血の滞りによる「刺すような痛み」「締め付けられる痛み」が特定の場所に出る状態
  • 頭部・血管への影響:脳への血流が滞り、頭痛・頭重・めまいが起こりやすい状態
  • 気滞(気の滞り):ストレスや緊張で気の巡りが悪くなり、血流の停滞をさらに促進している状態

環元清血飲は、丹参・川芎・芍薬・紅花が強力に血を巡らせ血栓の形成を抑え、香附子・木香が気の巡りを整えることで血流改善効果をさらに高め、ストレスによる血管の収縮を防ぎます。だからこの処方を選ぶときは、「肩こり・頭痛かどうか」だけでなく、顔色のどす黒さ・固定した痛み・シミ・くすみ・経血の塊といった瘀血のサインがあるかを確認することが重要です。

重大注意:環元清血飲は「血をサラサラにして強力に動かす」薬です。出血(生理過多・消化管出血・眼底出血など)がある状態に使うと、出血をさらに助長して大変危険です。また、妊婦または妊娠している可能性のある方には禁忌(服用しないこと)です。ワーファリンなど抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方は、必ず事前に医師・薬剤師に相談してください。胸の激痛・息切れ・片側の麻痺・視力異常などが急に起きた場合は、漢方薬を使わずすぐに救急を受診してください。

構成生薬と配合バランス

環元清血飲は6種類の生薬からなる、シンプルかつ強力な処方です。大半が活血化瘀(血を巡らせる)の生薬で構成され、丹参が処方の約半分を担う主薬として際立っています。気を巡らせる木香・香附子が血流改善効果をさらに後押しします。

環元清血飲の構成生薬比率 丹参48%、川芎13%、芍薬13%、紅花13%、香附子8%、木香5%の配合比率イメージです。 環元 清血飲
丹参 48%
川芎 13%
芍薬 13%
紅花 13%
香附子 8%
木香 5%
環元清血飲の内部構造
大半が活血化瘀(血を巡らせる)の生薬で、丹参が約半分を占める主役。気を巡らせる生薬が血流改善を後押しします。
血を巡らせる軸(活血化瘀) 丹参・川芎・芍薬・紅花 血管を広げ血栓を防ぎ、滞った古い血を動かして全身に新鮮な血液を送ります。丹参が主薬として約半分を担います。
気を巡らせて血を助ける軸(理気) 香附子・木香 気の滞りを解消し、ストレスによる血管の収縮を防ぎながら、血流改善効果をさらに高めます。

※配合比率は、丹参8g・川芎2g・芍薬2g・紅花2g・香附子1.5g・木香1gを目安としたイメージ(合計16.5g基準、端数丸め)。実際の配合量は製品により異なります。

一言でいうと:環元清血飲は「血をドンドン動かす」処方です。丹参が主役として血管を守り、川芎・芍薬・紅花が全身の血流を再開させ、香附子・木香がストレスによる停滞を防ぎます。「補う」薬ではなく「動かす」薬です。

環元清血飲の味・香り・服用時の体感

環元清血飲の体験は、ばらばらに「味」「香り」「見た目」を見るより、飲む前から飲んだ後までの流れで捉えると分かりやすくなります。強力に血を動かす処方であり、その性格は独特の香りと飲後感にはっきりあらわれます。

苦渋みにスパイシー

丹参や紅花による独特の苦渋みの中に、木香・香附子のスパイシーで少しスーッとする味が混ざります。クセはありますが、慣れると「効いている感」として感じる味です。

漢方らしい強い香り

香附子・川芎のセロリのような強い香りと、木香のウッディな香りが混ざり、かなり特徴的な「漢方薬らしい強い香り」がします。

茶褐色〜赤褐色

顆粒は茶褐色〜赤褐色。丹参や紅花の色素によるもので、お湯に溶かすと深い赤褐色になります。

末梢がジンワリ温まる

飲んでしばらくすると、胸のつかえがスッと取れ、手足の先や顔周りの毛細血管にジンワリと血が通って温かくなる感覚があります。継続すると、頑固な肩こりや頭の重さが軽くなります。

体験の流れ:特徴的な強い香り → 苦渋みとスパイシーな味 → 茶褐色〜赤褐色の湯 → 胸のつかえが取れ、手足の先と顔周りがジンワリ温まる。血の滞りが強いほど、この温まりと通る感覚が実感されることがあります。継続使用で肩こり・頭の重さのスッキリ感が得られます。

症状別の向き・不向き

環元清血飲は、症状名だけで選ぶ漢方薬ではありません。見るべきポイントは、その症状の背景に「血の滞り(瘀血)」があるかです。顔色のどす黒さ・固定した痛み・シミ・くすみ・経血の塊といったサインが目安になります。

頑固な肩こり・頭痛・高血圧に伴うのぼせ

締め付けられる痛みや固定した痛みが続く肩こり・頭痛、高血圧に伴うのぼせ・頭の重さに向きます。強力に血流を再開させて根本から改善します。

判断ポイント:固定した痛み・くすみ・高血圧傾向が重なる。

生理痛(月経困難症)・経血に塊が混じる

骨盤内に停滞した古い血(瘀血)を動かし排出を促すことで、刺すような生理痛を鎮め、経血の塊を減らします。

判断ポイント:刺すような生理痛+経血に塊がある。

シミ・くすみ・顔色のどす黒さ

肌のターンオーバーを正常化させ、末梢の血流を改善することで、顔色のくすみ・シミ・クマを整えます。

判断ポイント:瘀血を背景にした肌の問題。

動脈硬化・メタボの予防(未病治療)

血管の柔軟性を保ち血液の粘度を下げるため、生活習慣病の予防・未病治療としての継続使用に適しています。

判断ポイント:血管のアンチエイジングを目的とした予防的使用。

著しく体力がなく貧血気味(気虚・血虚)

環元清血飲は「動かす」薬であり「補う」薬ではありません。極端に体力がなく貧血気味の方が単独で飲むと消耗することがあります。補中益気湯など補う薬との併用が必要になります。

判断ポイント:補う薬との組み合わせを検討。
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出血を伴う症状(生理過多・消化管出血・眼底出血など)

血をサラサラにして巡らせる作用が極めて強いため、出血している状態に使うと出血をさらに助長して大変危険です。

判断ポイント:出血がある状態では絶対に使用しない。

体質別の向き・不向き

環元清血飲は、血の停滞(瘀血)の解消に特化した処方です。「動かす」薬なので、体質との相性を正確に見ることが重要です。

血瘀(ドロドロ血・末梢循環不全)

顔色がどす黒い、固定した痛み、シミ・くすみ、経血に塊が混じるといった血の停滞を解消することに特化した処方です。血瘀タイプの中心的な選択肢です。

判断ポイント:瘀血のサインが複数重なる。

気滞(ストレス過多・血管が収縮しやすい)

香附子・木香が気を巡らせるため、ストレスで血管が収縮して血流が悪くなっている気滞のタイプにも有効です。

判断ポイント:ストレスが引き金の血行不良。

気虚・血虚(ヘロヘロ・フラフラ)

「動かす」薬なので、極端に体力がなく貧血気味の人が飲むとエネルギーを消耗します。補中益気湯や補血薬との組み合わせが必要です。

判断ポイント:単独使用は避け、補う薬と組み合わせる。
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陰虚(カラカラ・過度の乾燥・虚熱)

香附子・木香など「乾かす」性質の生薬が含まれるため、過度に乾燥してほてっているタイプでは、乾燥をさらに悪化させることがあります。潤いを補う薬の併用が必要です。

判断ポイント:陰虚傾向が強い場合は潤いを補う薬と組み合わせる。

効能・効果

環元清血飲の効能・効果は製品により表現が異なりますが、代表的には次のような内容が記載されています。

中年以降又は高血圧傾向のあるものの次の諸症:
頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸

※実際の効能・効果、用法・用量、注意事項は、購入する製品の添付文書・外箱表示を必ず確認してください。

服用上の注意

環元清血飲は、血をサラサラにして強力に動かす処方です。他の漢方薬とは異なる特有の注意事項があります。特に、妊婦・出血傾向・抗凝固薬服用中の方は絶対に事前に確認が必要です。

妊婦への禁忌(絶対に服用しないこと)

活血化瘀の作用が強く、子宮収縮を促して流産のリスクを高める恐れがあります。妊婦または妊娠している可能性のある方は、絶対に服用しないでください。

出血リスクへの厳重注意

血をサラサラにして巡らせる作用が極めて強いため、次のような状態では服用しないでください。

  • 生理過多、不正出血が続いている
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍などによる消化管出血の疑いがある
  • 眼底出血・脳出血の既往がある
  • 手術前後で出血が懸念される

抗凝固薬・抗血小板薬との併用

ワーファリン(ワルファリン)など血液をサラサラにする西洋薬を服用中の方は、作用が重複して出血リスクが高まる恐れがあります。必ず処方している医師・薬剤師に相談してから使用してください。

生理中の服用について

生理痛の改善に有効ですが、経血の量が異常に多い(生理過多)方が生理中に服用すると、出血量がさらに増えて貧血を招く恐れがあります。生理中の服用については専門家に相談してください。

受診を優先したいサイン

  • 突然の激しい胸痛・圧迫感・息切れ
  • 片側の急な脱力・しびれ・言葉が出にくい(脳卒中の疑い)
  • 止まりにくい出血、または血が混じる排泄物
  • 視力の急激な変化
すぐ相談・受診:胸の激痛・息切れ、片側の麻痺・構音障害、視力異常などが起きた場合はすぐに救急を受診してください(漢方薬は使わないこと)。妊婦・出血傾向・抗凝固薬服用中の方は、自己判断で服用しないでください。服用後に出血量が増えた、体調が悪化したという場合は、すぐに服用を中止して専門家に相談してください。

症状から理解を深める

環元清血飲が気になる方は、頭痛・肩こりだけでなく、めまい・動悸・高血圧・冷えとの関係も確認すると理解が深まります。

血の滞りに使われる処方でも、下から押し流すのか、全身をゆっくり巡らせるのか、気滞を主に見るのかで選び方が変わります。

よくある質問

Q. 環元清血飲はどんな人に向いていますか?

中年以降または高血圧傾向がある方で、頭痛・頭重・肩こり・めまい・動悸が続き、顔色がどす黒い・シミ・くすみがある・固定した痛みがあるといった血の滞り(瘀血)のサインが重なるタイプに向きます。生理痛や経血に塊が混じる方にも用いられます。

Q. 妊娠中や妊娠の可能性がある場合でも服用できますか?

いいえ、絶対に服用しないでください。活血化瘀の作用が強く、子宮収縮を促して流産のリスクを高める恐れがあるため、妊婦または妊娠している可能性のある方には禁忌です。

Q. ワーファリン(血液サラサラの薬)を飲んでいますが、一緒に使えますか?

自己判断での併用は避けてください。環元清血飲は血をサラサラにして巡らせる作用が強いため、抗凝固薬との重複で出血リスクが高まる恐れがあります。必ず処方している医師・薬剤師にご相談ください。

Q. 体力がなく貧血気味でも使えますか?

単独での使用には注意が必要です。環元清血飲は「動かす」薬であり「補う」薬ではありません。極端に体力がなく貧血気味の方が単独で飲むとエネルギーを消耗することがあるため、補中益気湯など補う薬との組み合わせを専門家に相談してください。

Q. 生理痛に使えますか?生理中でも飲んでよいですか?

生理痛(刺すような痛み・経血に塊が混じるタイプ)には有効な処方ですが、生理過多(経血量が異常に多い)方が生理中に飲むと出血量がさらに増える恐れがあります。経血量と合わせて専門家に相談してから使用してください。

参考・出典

環元清血飲が合うか迷った方へ

環元清血飲は頭痛・肩こり・めまい・動悸によく使われる漢方薬ですが、すべての方に合うわけではありません。瘀血の背景があるか、出血がないか、妊婦ではないか、抗凝固薬との併用がないかを確認することが特に重要です。

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免責:本ページは漢方薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。妊婦または妊娠している可能性のある方は服用しないでください。出血傾向のある方、抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方、基礎疾患のある方、妊娠中・授乳中の方は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。突然の激しい胸痛・息切れ・片側の麻痺・視力異常などが起きた場合は漢方薬を使わずすぐに救急を受診してください。

監修者プロフィール
堀口和彦

堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師

光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。

著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。