木防已湯(もくぼういとう)

木防已湯(もくぼういとう)は、漢方の古典『金匱要略』に記される、「胸元やみぞおちの水の停滞」を整えるための処方です。みぞおちが重苦しくつかえる、動悸や息切れがして呼吸がつらい、といった症状を、体内の水はけを良くし、気の巡りをスムーズにすることで改善へと導きます。

成分(生薬)

石膏、防已、桂皮、人参

漢方的な考え方

漢方では、胸やみぞおちの周りに余分な水分が偏って溜まることを「支飲(しいん)」と呼びます。この水の重みが心臓や肺の働きを邪魔すると、少しの動きで息が切れたり、心臓がドキドキしたり、ゼーゼーとした喘鳴(ぜんめい)が現れます。本方は、停滞した水を排水し、通り道を温めて広げることで、圧迫された胸の苦しさを取り除きます。

  • 動悸・息切れ: 胸に溜まった水が気の巡りを邪魔し、自分の拍動を強く感じたり、階段の上り下りなどで呼吸が浅く苦しくなりやすい状態。
  • 気管支ぜんそく: 水分の停滞によって気道が圧迫され、咳き込んだり「ヒューヒュー」といった呼吸音が出やすい状態。
  • みぞおちのつかえ・むくみ: みぞおちのあたりが硬く張っているような不快感があり、全身や手足に余分な水が溜まって重だるい状態。

構成生薬の役割

  • 強力に水をさばき、つかえを取る: 防已(ぼうい)が、胸やみぞおちに居座る余分な水分を外へと導き出し、圧迫感やむくみの根本に働きかけます。
  • 通り道を温め、呼吸を広げる: 桂皮(けいひ)が陽気を巡らせて胸のつかえをほどき、呼吸を楽にします。また、石膏(せっこう)が停滞した水が熱を帯びるのを抑え、胸の不快な熱感を鎮めます。
  • 弱ったエネルギーを支える: 人参が、息切れや疲れによって消耗しやすい「気」を補い、体力を底上げして回復をサポートします。これら4つの生薬の連携が、胸元の「水の渋滞」をスッキリ解消へと導きます。

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。