人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、宋代の『和剤局方』に記される高名な補益方です。「気(エネルギー)」と「血(栄養)」の両方が著しく不足し、疲れが抜けない、食欲がない、手足が冷えるといった消耗状態を立て直すために用いられてきました。体力を底上げしながら、心身の健やかさを養う(養栄)のが得意な処方です。
成分(生薬)
地黄、当帰、白朮、茯苓、人参、桂皮、遠志、芍薬、陳皮、黄耆、甘草、五味子
漢方的な考え方
長引く不調や加齢により、体を動かす力(気)と、体を潤し養う力(血)がどちらも枯渇した「気血両虚(きけつりょうきょ)」の状態を想定しています。本方は、胃腸を整えて栄養の吸収を助けるだけでなく、汗や息切れといった“エネルギーの漏れ”を防ぎ、失われた活力を内側からじっくりと満たしていきます。
- ● 疲労倦怠・食欲不振: 気が不足して動くほどに消耗しやすく、胃腸のはたらきが落ちて食べたものが栄養に変わりにくい状態。
- ● 手足の冷え・貧血気味: 体を温め巡らせる力が足りず末端が冷え、血の不足によって顔色が悪く、心身の立ち直りが遅れている状態。
- ● ねあせ・息切れ・不眠: 体を守る力が弱まり、寝ている間に汗が漏れ出たり、少しの動きで息が切れたり、精神的な疲れから眠りが浅くなっている状態。
構成生薬の役割
- ● 気血を強力に補い温める: 人参・黄耆(おうぎ)・白朮・茯苓・甘草が「気」を、当帰(とうき)・地黄・芍薬が「血」を補い、桂皮(けいひ)が巡りを温めて冷えを解消します。
- ● 漏れを防ぎ心を落ち着かせる: 五味子(ごみし)が汗や咳などのエネルギー漏れを抑え、遠志(おんじ)が精神的な疲れを癒して、深い休息と回復を助けます。
- ● 胃腸と呼吸器を整える: 陳皮(ちんぴ)が胃腸の動きをスムーズにすることで、多くの補益生薬がしっかりとはたらくようサポートします。これにより、消耗が激しい方の体力を土台から引き上げます。
監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)
執筆: KanpoNow編集部
※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。