乙字湯(おつじとう)
乙字湯(おつじとう)は、江戸期の医書『勿誤薬室方函口訣』などに記載される処方で、便秘を背景に、肛門周囲に負担がかかり続けることで生じる痔疾を整える目的で用いられてきました。
成分(生薬)
当帰、柴胡、黄芩、甘草、升麻、大黄
漢方的な考え方
古典的には、「熱」と「気の滞り」が下部(肛門周囲)に集まりやすい状態が想定されています。便通を整えながら、局所の炎症やうっ血を和らげていきます。
- ● 便秘傾向: 腸内のうるおい不足や熱の偏りにより、大便がかたくなり排便がスムーズにいかない状態。
- ● 痔核・きれ痔: 排便時の負担が繰り返されることで、肛門部に炎症やうっ血が生じやすい状態。
- ● 軽度の脱肛: 肛門周囲の支持力が弱り、不快感とともに下方に引き込まれやすい状態。
構成生薬の役割
- ● 巡りと回復を助ける: 当帰で血の巡りと局所の回復に配慮し、黄芩が肛門周囲にこもった熱を整えます。
- ● 気を引き上げ滞りを整える: 柴胡・升麻の組み合わせが「気」を上に引き上げ、下に停滞しがちな状態をスッキリと整えます。
- ● 便通を整え調和する: 大黄が便通を整えて排便時の物理的な負担を軽減し、甘草が全体を調和させます。
監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)
執筆: KanpoNow編集部
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