柴陥湯(さいかんとう)

柴陥湯(さいかんとう)は、小柴胡湯の考え方に「痰(たん)の停滞」を強く意識して組み立てられた方剤です。胸部からみぞおちにかけて熱と痰がこびりつき、気の流れが詰まることで生じる強いせきや胸の苦しさを整えるために用いられます。

成分(生薬)

柴胡、半夏、黄芩、大棗、人参、黄連、甘草、生姜、瓜呂仁

漢方的な考え方

処方名の「陥」という字は、熱や痰が内側に沈み込み、なかなか抜けなくなっている様子を表しています。この沈み込んだ停滞をほどき、痰をやわらかくして排出を促すことで、胸のつかえや呼吸の不快感を改善します。

  • 強いせき・たん: 粘り気のある痰が胸に停滞し、なかなか切れずにせきが続いてしまう状態。
  • 胸痛・胸の圧迫感: 気の巡りと痰の詰まりが胸部に集中し、圧迫感や呼吸時の痛みとして現れている状態。
  • 口の苦味・食欲不振: こもった熱が胃や胆(たん)の働きに影響し、口の中の不快感や食欲の低下につながっている状態。

構成生薬の役割

  • 熱を整え痰を排出する: 柴胡(さいこ)・黄芩(おうごん)・黄連がこもった熱を鎮め、半夏(はんげ)・瓜呂仁(かろにん)が粘り付いた痰をやわらかくして排出を助けます。
  • 胃腸を支え巡りを正す: 人参・大棗・甘草・生姜が胃腸を保護しながら、全体のエネルギーバランスを整えます。
  • 胸のつかえを内側からほどく: これらが協力することで、熱と痰が絡み合った複雑なせきや胸の苦しさを、根本からスッキリと整える方向で働きます。

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。