酸棗仁湯(さんそうにんとう)
酸棗仁湯(さんそうにんとう)は、『金匱要略』に記載される処方で、心(しん)と肝(かん)を養い、精神活動を安定させることを目的としています。体力や「血(けつ)」が消耗し、心身ともに疲れ切っているのに眠れないといった状態を整えるために用いられてきました。
成分(生薬)
酸棗仁、茯苓、川芎、知母、甘草
漢方的な考え方
古典では「虚労(きょろう)」と呼ばれ、過労や心身の消耗によって「神(しん:こころ)」を安定させる力が不足した状態を想定しています。無理に眠らせるのではなく、足りない栄養を補い、高ぶった神経を穏やかに鎮めることで、自然な休息へと導きます。
- ● 心身の疲労・不眠: 気血が消耗して回復力が落ち、体は疲労しているのに精神が落ち着かず、眠りにつけない状態。
- ● 精神不安・神経過敏: 心を養う力が不足することで、ささいなことが気になったり、夜間に不安感が強まったりする状態。
- ● 眠りが浅い・多夢: 眠りに入ってもすぐに目が覚めてしまったり、夢が多くて熟睡感がない状態。
構成生薬の役割
- ● 心を養い精神を鎮める: 酸棗仁(さんそうにん)が心と肝に栄養を与えて精神を落ち着かせ、茯苓(ぶくりょう)が余分な緊張をゆるめて「神」を安定させます。
- ● 虚熱をさばき巡りを助ける: 知母(ちも)が消耗によって生じた微細な熱(虚熱)をさばき、川芎(せんきゅう)が血の巡りを助けて頭部の不快感に配慮します。
- ● 穏やかに休息へ導く: 甘草が全体を調和させることで、体力低下を背景にした神経過敏や不眠を、内側から優しく整える方向で働きます。
監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)
執筆: KanpoNow編集部
※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。