蘇子降気湯(そしこうきとう)

蘇子降気湯(そしこうきとう)は、『和剤局方(わざいきょくほう)』に記される処方です。「上に逆上した気を降ろし、下の虚(弱り・冷え)を補う」ことを目的としています。足元は冷えるのに顔がのぼせたり、横になると息苦しさが増したりするような、気のバランスの乱れに伴う咳や喘鳴を整えます。

成分(生薬)

紫蘇子、半夏、陳皮、前胡、桂皮、当帰、厚朴、大棗、生姜、甘草

漢方的な考え方

漢方では、呼吸が苦しい状態を「気が上に昇りすぎて、下半身の力が弱まっている」と捉えることがあります。本方は、突き上げてくる気を正しい方向へ引き下げ、同時に冷えた下半身を温めることで、全身の気の巡りを正常化し、呼吸を穏やかに保ちます。

  • 息苦しさ・喘鳴: 気の逆流(気逆)によって、喉や胸がつかえたように感じ、ヒューヒュー、ゼーゼーといった苦しい呼吸が出やすい状態。
  • 慢性のせき: 痰や気の停滞が慢性化し、体力の低下とともに咳が長引いてなかなかスッキリ治りきらない状態。
  • 足冷えと顔ののぼせ: 下半身が冷えているのに、気や熱が上半身に集まってしまい、動悸やのぼせを感じ、横になるとさらに息苦しくなる状態。

構成生薬の役割

  • 逆上した気を引き下ろす: 紫蘇子(しそし)・前胡(ぜんこ)・半夏・陳皮の組み合わせが、上に偏った気を力強く下へ導き、痰をさばいて通りを良くします。
  • 下を温め、つかえをほどく: 厚朴(こうぼく)が胸の苦しさを取り除き、桂皮・生姜が冷えた下半身を温めて巡りを呼び戻します。
  • 消耗を補い調和する: 当帰(とうき)・大棗・甘草が、長引く不調で消耗しがちな体力を補いながら、全体のバランスを内側から穏やかに整えます。

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。