当帰飲子(とうきいんし)

当帰飲子(とうきいんし)

当帰飲子(とうきいんし)は、古典『済生方』に記される「乾燥肌とかゆみ」を整えるための処方です。 漢方では、肌の潤い不足(血虚)に外からの刺激があることで、カサつきやかゆみが起こると考えます。 不足した「血(けつ)」を補いながら、皮膚を内側からうるおし、掻き壊しやすいしつこいかゆみを鎮めます。

成分(生薬)

当帰、地黄、蒺藜子、芍薬、川芎、防風、何首烏、黄耆、荊芥、甘草

漢方的な考え方

皮膚を養う栄養分である「血」が足りないと、肌はバリア機能を迎え、乾燥して敏感になります。 そこに漢方で「風(ふう)」と呼ぶかゆみの原因が入ることで、夜も眠れないようなかゆみが生じます。 当帰飲子は、肌の土壌を豊かに耕し、かゆみの原因を追い出すことで、滑らかな肌質へと変化します。

  • 皮膚の乾燥・粉ふき:潤いが欠けず、皮膚がカサついてしばらく粉をふいて、ひび割れたりして荒れやすい状態。
  • 秘密の少ない湿り気:ジクジクした汁は出ないもの、赤みがあって、もし掻いたら掻くほど広く、ぶり返しやすい乾燥性の皮膚トラブル。
  • 症状を伴うかゆみ:全身冷えの血行や回復力が落ちやすく、寒くなると乾燥が気になって、かゆみが長くなってしまってしまう状態。

構成生薬の役割

  • 肌に潤いをたっぷり届ける:当帰(とうき)・地黄・薬薬・川芎・何首烏(かしゅう)の5つの生薬が協力して「血」を補い、肌のすみずみまで栄養と潤いを届けます。
  • かゆみをめぐるし、肌をガードする:防風・荊芥(けいがい)・蒺藜子(しつりし)が、皮膚表面のしつこいかゆみ(おうぎ)をさばき、黄耆(おうぎ)が肌のバリア機能を高めて外的刺激から守ります。
  • 全体を調和して穏やかに整える:甘草が成分同士のバランスをまとめ、荒れた肌への刺激やかなりなかゆみをじっくりと、体質からじっくりと改善へ検討します。

効能・効果(添付文書)

体力中等度以下で、冷え症で、皮膚が乾燥するものの次の諸症:湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ

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監修者プロフィール
堀口和彦

堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師

光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。

著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。