著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-20
はじめに
うつとは、意欲や気力が低下してしまう現象です。だるいとか、寝ていたいとか、閉じこもっていたいなど。
これがうつの本来の症状ではあるのですが、多くの方はそれ以外に例えば眠れないとか、時にイライラするとか、不安感、焦燥感、ドキドキするとかいろんな症状が複合的に起こっている方がすごく多いです。
漢方では、体質(証)を見極めて、気・血・水・精のバランスを整えることで、心身の回復を図ります。
このページは、私、堀口和彦へのインタビュー内容をもとに、代表的な3タイプにまとめました。
説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行
動画インタビュー
※本記事は上記インタビュー内容をもとに編集しています。
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うつの3タイプ
主なタイプは次の3つに分類されます(重複する場合もあります)。
① 気虚タイプ(胃腸虚弱・だるさ)
気力、意欲、やる気がなくなってしまうようなタイプの方を、気虚(ききょ)といいます。気虚とは、気が虚している、気力が不足しているということです。
このタイプの方がうつの中心的な証(しょう)になります。具体的には、消化器系いわゆる胃腸が弱いタイプの方が多くなりやすいです。
例えば食欲がない、食べてもすぐ下痢してしまうとか、逆にお腹が張って入らなくなるとか。食べ物が十分に体内に入らないと、エネルギーが入ってきませんから元気が出なくなるのは必然です。
元気は気力と体力の元になりますので。それが十分に満たされないので元気がなくなり、力も低下します。体も細いタイプになってきます。
このタイプの漢方薬をお伝えします。
こういったタイプの方で、お腹を壊したり、消化吸収が弱いタイプの方などは、六君子湯(りっくんしとう)という漢方薬を使います。
だるさや疲れが取れないで、いつも寝ていたい、朝も起きられないタイプの方は、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を使います。
気力を増すようなお薬です。
② 陰虚タイプ(不安・不眠・乾き)
それ以外でよくあるのが、不安や焦燥感で時に気持ちが低下しつつも、時にはドキドキしてしまったりする。これは、漢方的に言うと陰虚(いんきょ)というタイプです。
陰虚というのは、体の中の体液成分、いわゆる水分が不足している状態を言います。この精神的な疾患にかかってくる陰虚タイプは、心の潤いがなくなるという言い方もします。
よく「心がギスギスする」「心が乾く」と言いますが、心に潤いがなくなるとどうしても余裕がなくなり、不安感が出やすいのです。こういう状態になると「うつ」の症状も一緒になって出てきます。
このような方に使う漢方薬は、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)です。
これは不眠の方によいお薬で、目がすごく疲れちゃうとか、乾いてしまう場合にも用います。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)を使うこともあります。
くよくよ物事を考える、なんかこう考えが定まらないようなことを考えてしまって寝られないタイプの方に用います。
③ 気滞タイプ(ストレス停滞・感情の波)
もう一つは、躁鬱っていう言葉がありますが、ちょっと気分の落ち込んだと思うと今度は逆にちょっとハイになるような感じです。こういう感情の浮き沈みって誰でもあると思うんですが、それが激しくなってしまうタイプです。
うつっぽい落ち込みと、今後はぱ~っと上がる。上がったときが激しくなると、今度はすごいイライラしたりおこりっぽくなる。ときに落ち込んだりときに激しくなったりイライラしちゃったりするというタイプです。
これらのタイプを、漢方では、気滞(きたい)と言います。いわゆる気が停滞して、頭が悶々としちゃうようなストレスがたまっているというような感じです。気分にもムラがあるタイプになります。
このようなタイプには、抑肝散(よくかんさん)をよく使います。
体と心の両方の緊張感をとって、ストレスに対応できるようになるお薬です。
香蘇散(こうそさん)という漢方薬も使います。
これは本来、のどや風邪に使う薬なんですが、ちょっと気分がすっきりしないような 「うつ」と「そう」の中間的な要素の方に使う処方です。
※もしもあなたがストレスによるイライラで、漢方の力を借りたいと思っている場合は、こちらの記事も参考になると思います。
うつに有効なツボ
最初は、気虚タイプの方に有効なツボです。
胃腸が弱くて、だるさ、かったるさ、食欲も低下しているタイプには、足三里(あしさんり)というツボがおすすめです。
足三里(あしさんり)
膝の下の部分です。
この部分を指圧やお灸をしてください。刺激してあげると胃につながっているツボなので、胃腸の働きを高める作用があります。胃下垂の方にもいいんです。内蔵を上げる作用もあるので、消化器の力がアップし元気が出てきます。
労宮(ろうきゅう)
もう一つは、不安感が一緒に伴ってちょっと落ち込んでしまうようなタイプの方のツボです。手の労宮(ろうきゅう)というツボです。
薬指と中指の間を手のひらの方に上げてきたとです。自分でもここは押しやすいので、グーッと奥の方に押してください。
精神を安定、鎮静させつつ、精神的な疲れを取ります。悶々と頭が疲れすっきりしないときにここを刺激すると、頭の方に上ってしまった悶々とした血を下げる働きあがあります。
おわりに
うつも体質によって、漢方薬のアプローチが変わってきます。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を用いて、早く元気になってください。
どうぞお大事になさってください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
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