著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-21
はじめに
女性のお悩み「おりもの(帯下/こしけ)」は、大別すると細菌に感染する場合とそうでない場合があります。
私に漢方相談された過去の事例を踏まえてご説明いたします。
〇細菌要因のケース
例えば鼻から細菌が入ると、鼻水が出たりくしゃみが出ます。この現象は体の中に菌が入らないよう洗い流すために鼻水が出ます。それと同じような現象が陰部で起こっているケースです。
膣周辺から粘液上のものが出て細菌を洗い流すのです。それが進んでくると、多少炎症を起こして熱を持ち、おりものが黄色っぽくなってきます。
〇細菌要因でないケース
細菌検査をしても、陰性になっている方も実は多くいらっしゃいます。漢方では、体質を見極め処方を立てていきます。
例えば、細菌感染がない方の「おりもの」の場合は、一般に水っぽい感じの方が多いです。アレルギー性鼻炎をお持ちの方はわかると思うのですが、急に寒くなったりすると、風邪を引いてないのに鼻水やくしゃみが出ることがあります。
これと同じような現象が陰部で起こっていることがあります。細菌がいないのに、おりものが出るという現象です。
このように、おりものの治療はタイプごとに対処が異なるため、体質(証)を見極めることがとても大切です。
説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行
動画インタビュー
※本記事は上記インタビュー内容をもとに編集しています。
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おりものの3タイプ
① 湿熱タイプ(感染・黄色)
細菌感染がある場合は、黄色いおりものが出てきます。少々粘り気のあるようなおりものが多いと思います。
こういった方の場合は病院に行くと、だいたい抗生物質が処方されます。抗生物質の治療もおすすめですが、抗生物質が体に合わない方、飲めない方もいらっしゃると思うので、そういう方はぜひ漢方をお使いいただきたいと思います。
このタイプの方は、漢方では湿熱(しつねつ)と言いまして、湿り気があり、しかも熱をもつ炎症のあるタイプです。
漢方薬では、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)という漢方薬をよく使います。
この処方は、陰部の熱、炎症をとる作用と、排尿をスムーズにさせるような作用があります。多少細菌を抑える作用もあります。抗生物質とも併用することも可能です。
② 湿痰タイプ(水っぽい・冷え・むくみ)
感染がなく、水っぽいおりものが出る方は、湿痰(しったん)というタイプです。体の中の余分な水分が停滞しているタイプです。
割とむくみやすい方で、冷えやすく、特にお尻とか腰辺り足が冷えやすいタイプです。
このタイプには、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)という処方があります。
気管支炎とか痰とか咳とか、鼻水など呼吸器の処方です。この中に入っている半夏という生薬があり、おりものにも応用できます。
③ 血虚(生理に連動)
こちらは、女性の生理の周期と関係することが多いタイプです。例えば、生理に関係しておりものの量に変化があったり、排卵日に増えてその時に血液が混ざるようなおりものが出ることがあります。
このような現象がある方を、漢方では血虚(けっきょ)に分類します。血が不足していて、ホルモンの働きが低下し乱れています。
このタイプには、温経湯(うんけいとう)という処方をよく使います。
半夏や当帰という体を温めて血を補う作用の生薬が入っています。これによって、子宮や卵巣の働きを、腰やお腹を温めて、働きを高めてあげる作用があります。
子宮や卵巣の強化をするということで、おりものを減らしていくという働きがあります。
④陽虚タイプ(虚弱・漏れる感じ)
体が弱っていて虚弱な方、胃腸系が弱い、胃下垂気味であまり食べられない、どちらかと言うと体も細くて、冷えるタイプです。
漢方では陽虚(ようきょ)といいます。
このタイプのおりものは、なんとなく漏れ出るようなおりものが特徴です。小便もちょっとしたことで漏れてしまうような高齢者の方に多いです。
こういうタイプの方には、人参湯(にんじんとう)という処方をよく使います。
胃腸の働きを高める処方です。下痢など冷えるとお腹を壊したり、胃下垂気味であんまり食べられない場合に使いますが、このタイプの方のおりものにも有効です。
おりもののツボ
冷えるタイプのおりものに有効なツボは、中極(ちゅうきょく)です。
中極(ちゅうきょく)
下腹部、お腹の下の方、へそよりかなり下の方になります。陰部に近い方です。
周辺で構わないので、温めてあげると効果があります。例えば使い捨てカイロなどを当ててほしい。その場合、低温やけどしやすい場所ですので、服の上とか服と皮膚の間に何か入れて温めてあげてください。
冷えが強いタイプの方のおりものには良いです。ただし、感染症があって、黄色いおりものが出る方には向いていませんのでご注意ください。
もう一つは、三陰交(さんいんこう)いうツボです。
三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしの上です。3、4本の指を開けたところの真ん中にあります。この三陰交(さんいんこう)もおすすめです。
生理周期に連動しておりものが増えてきてしまうタイプの方にお勧めです。ここは、経絡で陰部の方につながっているので、ここを刺激すると子宮や卵巣の働きを高めます。
※もしもあなたが女性特有の他のお悩みを抱えていて、漢方の力を借りたいと思っている場合は、こちらの記事も参考になると思います。
→女性のつらさ(PMS/更年期/子宮内膜症/不妊/冷え)を漢方とツボでケア
おわりに
おりものは感染のあるなしも重要ですが、体質によって漢方薬のアプローチが変わってきます。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を用いて、早く元気になってください。
応援しております。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。
※医療機関への受診の目安を参考にお示しします。
- 38℃前後の発熱や下腹部の強い痛み
- 緑色・茶色・血性/強い悪臭の分泌
- 激しいかゆみや性交痛、排尿痛が持続
- 妊娠中または閉経後に新たに増えたおりもの
- 反復する異常(治療してもすぐ再発)など
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
著者プロフィール
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