冷えに悩む女性

冷えの漢方とツボを4体質別に解説します(堀口メソッド)

著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-09-10

冷えは漢方の得意分野

冷えで悩んでらっしゃる女性が多いと思います。漢方は冷えに効果があると言われてますが、どうでしょうか?

ずばり、冷えの領域は漢方の得意分野です。

漢方では冷えの原因を大きく二つに分けます。一つは体を温める、熱を作る力がないタイプです。もう一つは体を温める力はあるけれど、それを巡らす力がない・供給する力がないというタイプです。

血液やリンパ液など、体の中を本来流れるべきものが流れないので、冷えてしまうという理屈です。

このページは、私、堀口和彦へのインタビュー内容をもとに原因にも着目し、さらに細かく4体質別に有効な漢方薬やツボをまとめました。

目次

  1. 冷えは漢方の得意分野
  2. 動画インタビュー
  3. 冷えの漢方薬(体質別まとめ)
  4. 陽虚体質
  5. 気虚体質
  6. 血瘀体質
  7. 湿痰体質
  8. 冷えに効くツボ
    1. 三陰交(さんいんこう)
    2. 湧泉(ゆうせん)
  9. FAQ(よくあるご質問)
  10. 受診の目安・免責
  11. 著者プロフィール

説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行

動画インタビュー

陽虚体質

まずは熱を作れないタイプの方です。漢方的に言うと「陽虚(ようきょ)」と言いまして、生まれつき虚弱なタイプの方です。ホルモン的にも体もどちらかというと弱いタイプの方なんですが、エネルギーを作れない・熱を作れないタイプの方です。

体の芯から冷えてしまうのが特徴です。ただこのタイプの方は、自覚的な冷えよりも、外から触ったり体温計で測ったりすると低いようなタイプです。

一番よく使う漢方薬は、八味地黄丸料(はちみじおうがんりょう)です。子供の場合は、六味地黄丸を使います。

この漢方薬は、体を温めホルモンの働きを活性化する作用があります。

気虚体質

もう一つは、胃腸の弱いタイプです。いわゆる「気虚(ききょ)」と言いまして、体内の気を巡らす力、加えて気を作る力も弱い方です。

多くの方が食欲がないとか、食べられないとか、胃腸系が弱くエネルギーを十分に体の中に取り入れられないので、体が冷えてしまうタイプです。

こういう方は、体がだるいとか、食欲がないとかもありますが、気力も低下する傾向があります。全身的な冷えがある場合が多く、本人も体の芯まで冷えるということを自覚しているので、冷えの訴えが強い方が多いですね。

漢方薬は、人参湯(にんじんとう)あるいは十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)もいいですね。どちらもニンジンが主成分、主役になるようなお薬になります。

血瘀体質

今度は、力はあって体を温めるエネルギーは持っているのですが、気血が巡らないタイプです。そのタイプは二つに分けることができて、一つは血(血液)の循環が悪いタイプです。

こういう方の冷えの特徴は、手足や末端が冷えて、体の中心部分はわりと冷えていない。体の中でも暖かいところと冷たいところの偏りが多く、冷えが自覚されやすいのです。冷たいところと暖かいところの差があるということです。

こういうタイプの方を漢方では「血瘀(けつお)」と言いますが、血の循環が悪く停滞しています。

このような方には、桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)という漢方薬があります。これは婦人科、特に肩こりや生理不順に使います。血液をとにかくよく巡らす力があります。

湿痰体質

もう一つのタイプは、水の巡りの問題です。体の中の特にリンパ液・体液といった水が巡らずに冷えてしまうタイプです。

漢方では「湿痰(しったん)」と言いますが、体の中の余分な水が停滞しています。特に水は停滞すると下に溜まってしまうので、下半身がむくんだり、下半身が重い・だるいといった症状とともに、どちらかというと腰から下が冷えるタイプです。

足先だけではなく、太ももや腰のあたりまで冷えるのが湿痰という体質の特徴です。

こういう方には、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)を使います。

あるいは膝が痛い・むくみが強い場合の冷えには、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)といって、はと麦(ヨクイニン)が入っている、水の代謝を良くするようなお薬をよく使います。

冷えに効くツボ

三陰交(さんいんこう)

「三陰交(さんいんこう)」というツボは有名で、女性の冷えにもってこいです。足の内くるぶしの上4~5cmにあります。

指圧あるいはお灸が良いですが、温めてあげても効果的。下半身から温める作用があるため、湿痰タイプや水・血液の循環が悪いタイプの冷えに向きます。

湧泉(ゆうせん)

体の芯から冷える陽虚・気虚体質の方に有効です。足裏の「湧泉(ゆうせん)」は、腎(副腎を含むホルモン系)に働きかけ、全身のエネルギー産生を底上げする狙いで用います。

こちらもお灸が良いですが、温熱刺激や指圧でもOK。体の内側から温まる感覚が得られやすいツボです。

今すぐ「あなたの症状と体質に合った漢方薬」をAIが処方します。 このAIは、堀口先生の漢方相談と処方を学習した優れものです。ぜひお試しください。

右下の「KanpoAI」をクリック

堀口先生へ直接相談することも可能です。うち漢方という当社の関連サービスですのでお気軽にご利用ください(回答には2、3日いただいております。)。

FAQ(よくあるご質問)

冷え症と病気が原因の「冷え」はどう違いますか?
手指が白・紫に変色し痛みを伴うなどはレイノー現象が疑われます。また強い倦怠感・体重増加・便秘・むくみ等を伴う場合は甲状腺機能低下症などの可能性も。いずれも医療機関での評価が推奨されます。
参考:MSDマニュアル(レイノー現象/甲状腺機能低下症など)
生活でできる冷え対策は?
入浴・温熱(首・腹・足首を保温)、適度な筋力トレーニングと有酸素運動、規則正しい食事(間食・夜食を控える)、十分な睡眠・ストレス対策が基本です。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット
漢方薬はどれくらいで実感できますか?
体質や原因によりさまざまですが、生活改善と併用し数週間〜数か月で変化を感じる方もいます。持病や他薬の影響もあるため、専門家に相談のうえでの服用を推奨します。
参考:MSDマニュアル(一般的な情報)

その他のFAQ

受診の目安・免責

  • 手指の色調変化(白→紫→赤)や強い痛み・しびれを伴う冷え(早めに受診
  • 強い倦怠感・体重増加・むくみ・便秘・脱毛などを伴う場合(甲状腺機能低下症などが疑われます)
  • 間欠性跛行(歩行時のふくらはぎ痛)など末梢動脈疾患が疑われる症状
  • 生活改善やセルフケアで改善しない、日常生活に支障がある冷えが続く場合

参考:厚生労働省 e-ヘルスネットMSDマニュアル

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。

著者プロフィール

堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)

光和堂薬局 院長

埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など

販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。

まとめに戻る