
のぼせの漢方とツボを2つの体質別に解説します(堀口メソッド)
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著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-09-09
動画インタビュー
※本ページの解説は上記インタビューをもとに構成しています。
気滞+血瘀体質
気滞と血瘀が合体した体質です。
のぼせを起こす要因・背景として、一つはまず血瘀(けつお)と言って、血液の循環が停滞して、体の中の血液が隅々まで巡らないタイプの人がまず起こります。
こういった方は、手足、末端が冷えている場合が多いです。頭の方は熱い、でも手足はなんか冷えるタイプです。
血液の循環が悪いので肩が凝ったり、あるいは頭が痛くなったりします。目が疲れたりする症状も一緒に現れてくる場合も多いです。
そういったタイプの方への漢方薬は、次のとおりです。
更年期の方、特に婦人科の病気と一緒になる場合も多いんですが、その代表的なもので、桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)を使います。
便秘のあるような方は桃核承気湯(とうかくしょうきとう)をよく使えます。
気滞+陰虚体質
もう一つのパターンは、気滞にプラスして、その背景で体を潤す成分である体液が不足してくるタイプの方に起きやすいです。これを陰虚と言います。
こういったタイプの方は、のぼせに加えてほてり感があります。例えば、ピリッと体が熱く感じたり、全身が火照ったりします。特に頭を中心に火照ったりする場合が多いですね。
また、汗をかく方も多くいます。多汗症といってもいいかも知れないくらい汗をかきます。全身に汗をかく人、のぼせが強くなると特に頭から汗を多くかくタイプの方です。
そういった方の漢方薬は、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)あるいは柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使います。
また全身のほてりが強い方は、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)という漢方薬をよく使います。
のぼせのツボ
太衝(たいしょう)
のぼせの方に有効なツボは、足にあります。
親指と、足の第2趾(だいにし)いわゆる人差し指間の付け根に太衝(たいしょう)というツボがあります。
太衝(たいしょう)は、肝経といって肝臓の方に伝わってきます。肝臓は特に血液が多くあるところで、これが上にのぼせる力になることも多いのです。
このツボを強く刺激してあげることによって、のぼせとなる気が下へ下がってきます。
内庭(ないてい)
第2趾と第3趾の間に内庭(ないてい)と言うツボがあります。
これらはいずれも足の先っぽにありますが、このツボは体の上の方へ伝わります。胃経というラインを伝わってこの内庭(ないてい)のほうはこの顔までつながってきます。
この内庭という足の先のツボを刺激してあげますと、この上のほうにのぼせて行ってしまった気と血を下へ引き下げるような働きがあります。
いずれのツボもそうなんですが、ちょっと強めに、痛いというぐらい強めの刺激をしてください。のぼせを下げることができます。
おわりに
慢性的に起こるのぼせは、何とかしたいですね。単に気が上って滞っているだけなのか、血あるいは水が一緒に上っていないのか、そのチェックが必要です。
のぼせの対処方法も体質によって、漢方薬のアプローチが変わってきます。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を用いるようにお願いします。
どうぞお大事になさってください。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
著者プロフィール
堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)
光和堂薬局 院長
埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など
販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。FAQ
よくあるご質問
漢方薬はどれくらいで効きますか?
いま飲んでいる西洋薬と併用できますか?
のぼせへの基本的なセルフケアは?
病院の漢方薬との違いは?
※医療機関への受診の目安を参考にお示しします。
- のぼせが頻繁に起きて日常生活に支障がある
- 睡眠が極度にとれない
- 気分のコントロールが相当難しい等
参考: 国立がん研究センター
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。
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