
気虚が脾・肺・心にある方の体質改善の方法をお伝えします
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著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-09-02
気虚とは?
気虚とは、生命エネルギーである気が不足した状態です。この状態は消化や呼吸、循環、免疫の機能に支障が出やすく、脾・肺・心の臓腑と結びつきます。
このページでは、3つの気虚体質の改善(養生方法)について解説します。
目次
1.脾気虚
胃腸の蠕動運動や消化吸収する力が弱く、栄養分を血中に取り込めず、気を生産できず全身の気も不足している状態です。
症状は、「疲れやすい・食欲がない・多く食べられない・食後腹張り眠くなる・排便コントロールが悪い・胃下垂・手足のだるさ・手のひら汗」が出る場合があります。
「脾気虚体質」の方にお勧めの養生方法は、次のとおりです。
無理に食べない
気が不足しているところに、さらに消化で気を減らしては、元も子もありません。脾気虚の方にとって、食べることが辛く苦痛な場合があるのです。1回の食事量を減らして、食事回数を増やし、一度に無理に食べないことがお勧めです。
また、消化酵素が活性化する36~38℃が胃腸の適温ですので、お腹を冷やさないように注意してください。
お腹のマッサージ
胃腸が蠕動運動を十分に行なえるように、お腹の「の」の字のマッサージと腹式呼吸を朝起床時と夜就寝前に習慣化してください。お腹のマッサージでは、胃から小腸、大腸をやさしくマッサージして、元気付けるように刺激してください。
腹式呼吸では、腹筋と横隔膜を大きく動かし、胃腸の活動を活気付けましょう。
2.肺気虚
肺の呼吸する力が弱く、酸素を血中に十分に取込めず、酸欠になりやすく気が不足して、さらに身体を守る免疫力も低下している状態です。
症状は、「疲れ易い・息切れ・呼吸困難・汗をかきやすい・暑さ寒さに弱い・風邪引き易い・長引く咳」が出る場合があります。
「肺気虚体質」の方にお勧めの養生方法は、次のとおりです。
肺胞を元気に保つ
肺気腫やCOPDでは、喫煙や慢性気管支炎により、酸素を取り込む肺胞が傷んで、呼吸が苦しくなります。肺は左右に5葉あり肺胞は全体で数億個あり、安静時には全体の20%程度しか使われていません。
肺の奧の方には、まだ元気な肺胞があるはずです。大きく深い呼吸を心掛けて、元気に残っている肺胞を維持するようにしましょう。
腹式呼吸をしましょう
腹式呼吸によって呼吸筋を鍛えて、肺に空気を十分に取り込める身体にしましょう。仰向けになり鼻から息を大きく吸い、その息をお腹に一旦溜めように膨らませ、ゆっくりと口から吐きます。この時に横隔膜と腹筋の動きを意識してください。
朝起床前と夜就寝前にこの動きを10回繰り返してください。毎日継続することで、空気が肺の奥まで行き渡り、多くの肺胞から酸素を取り込みましょう。
3.心気虚
心臓の血液を循環させる力が弱く、酸素と栄養分を全身に送り出せず、気力や体力を十分に維持できない状態です。
症状は、「疲れ易い・動悸・息切れ・息苦しさ・立ちくらみ・めまい・汗をかきやすい・動くとすぐ疲れる・顔色蒼白」が出る場合があります。
「心気虚体質」の方にお勧めの養生方法は、次のとおりです。
腹式呼吸で自律神経を調整する
急に立ち上がっても自律神経の働きで、血圧や心拍数は調整されています。朝起きられない場合は、腹式呼吸を大きく10回行なってください。さらに徐々に上体を起こしながら、肘と肩、膝、股関節など手足を関節の屈伸運動をそれぞれ10回行なってください。
これを繰り返すことで、徐々に朝起きられる身体になります。
適度な運動を
適度な運動は、筋肉の伸縮による血管への刺激と関節運動により、血液とリンパ液の流れを促進し、心臓への過度の負担を減らし、さらに心拍数を多少上昇させることから、心筋を鍛えることができます。
気虚も含め、その他の体質改善方法をまとめた記事になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
出典:やさしい漢方入門、体質で決まる漢方と養生
著者プロフィール
堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)
光和堂薬局 院長
埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など
販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。
FAQ
腹式呼吸でなくて深呼吸でもいいか?
リンパマッサージのやり方は?
休日のお勧めの過ごし方は?
体質改善に向かっている目安は?
例えば、小便や大便の量が増えているようであれば、改善方向に向かっているといえます。体内の水分代謝の活性化や血行促進による疲労物質の解毒が進んでいるということです。そうなると、例えば、足のむくみ腫れや膝の痛みなどは治っていくことでしょう。
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