
漢方・東洋医学の「8つの体質」の改善方法を解説します
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著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-31
このページでは、次の8つの体質についての具体的な体質改善や養生方法をご説明いたします。できるだけ薬に頼らずに体質改善したい方に向けて書きました。参考にしていただけたら幸いです。
気滞、気虚、血瘀、血虚、湿痰、陰虚、陽虚、湿熱
これらの体質について確認されたい方は、こちらをお読みください。
そもそも、気滞ってなあに?という方は、こちらも参考にしてください。
→漢方や東洋医学で用いる「8つの健康状態」をやさしく解説します
イライラする自分を否定しない
早めに気分転換を図る
散歩や掃除がお勧め
腹式呼吸で自律神経と対話する
無理に食べない
腹式呼吸で呼吸力と消化力を養う
適度に動いて十分に休息
冷えを遠ざける
新鮮な食材を選ぶ
糖分は控えめに
ストレス、飲酒、紫外線に注意
便秘を解消する
血になる食べ物を摂る
食事は少しずつでOK
睡眠と適度な運動で血を補う
ポジティブに考える
水分摂取に注意する
冷えに注意
皮膚を外気に触れないように
身体を動かし水を動かす
過度な発汗を控える
水分補給と保湿をこまめにしっかり
睡眠の質を高める
腹式呼吸がお勧め
飲食に注意する
アルコールは控え目に
欲に負けない
有酸素運動で完全燃焼
身体の熱を逃がさない
足を動かす
休息を上手に取る
疲れを溜め込まない
これらの8つの体質は、ご自身の心や体のバランスを整えるために重要な役割を果たします。ご自身の健康チェックの一つとしてご利用ください。
次のページでは、簡単なチェックであなたの体質を判定しグラフ化します。
所要時間は約1分・無料
ここからは、8つの体質別に体質改善の方法をご説明してまいります。
目次
1.体質別の体質改善方法
ここからは、それぞれの体質別の詳細な解説と改善方法をお知らせします。複数の体質に該当する方は、それぞれの体質改善策を参考にしてください。
①気滞体質「イライラさん」の改善
気滞体質の方におすすめしたいことは、次のとおりです。
イライラする自分を否定しない
ストレスによりイライラするのは、性格と思っている方も多いと思いますが、漢方では、性格ではなく気の滞りに原因があると考えます。
気とは、脳や筋肉、内臓を働かせる生命エネルギーです。これが不足しているのではなく、多く存在して停滞しているだけですから、上手に気を使いその流れを変えればよいのです。新たに気を作る必要はないのです。気が多くあるからこそ仕事や家事、子育てや介護、人間関係などに一生懸命になれるのです。
イライラする自分を否定したり、嫌にならないでください。頑張っているのですから、むしろ自分を褒めてください。
※気とは何か?などわかりやすく解説しています。
早めに気分転換を図る
思うようにいかないからストレスを感じイライラするのです。複雑な人間社会です。そんなに簡単に解決することはそうはありません。
一時的に考えることを止めましょう
そのためには、散歩に行くことやお掃除することがお勧めです。手や足を単純に動かすことがポイントで、頭を使わない単純動作を繰り返すことが気分転換には大切です。
自律神経は生命を守るために一生懸命
呼吸や消化、排便、排尿、発汗、血圧などを調整する自律神経は、本来自分の意思とは無関係に活動するようにできています。何かに夢中でも心臓が止まらないのは、自律神経が働いているからです。
その一方で、自律神経の働きが一度乱れると、自分の意思で調整するのが難しいのです。血圧や心拍数、発汗、排尿などを、大脳で意図的に変更を試みても調整することは困難です。
ところが、呼吸は、唯一自分の意思で調整でき、速くも遅くも、浅くも深くもできるのです。
その中でも腹式呼吸は、横隔膜とお腹を大きく動かすことで、肺による呼吸を調整するだけでなく、胃腸や肝臓による消化や、腎臓や膀胱による排尿など自律神経の働き全般を調整することができるのです。
腹式呼吸で自律神経と対話する
感情や理性を司る大脳と自律神経の関係は、親子関係に似ています。大脳が親で、自律神経が子です。厳しくし過ぎても、甘やかし過ぎてもだめです。仲違いしている場合は、じっくりと対話することが大切です。
腹式呼吸が、まさにこの対話する行為です。毎日呼吸を意識的にすることで、大脳から自律神経へ、言葉掛けをするように対話するのです。
朝起床前と夜就寝前に、仰向けで鼻から息を吸い、一度お腹に息を溜め、ゆっくりと口から吐いてください。胸でなく臍下にある丹田を意識して呼吸してください。
これを10回繰り返します。毎日継続すれば、自律神経の働きが調和して、心身ともに余裕が生まれ、イライラや緊張しにくい身体になります。
→気滞が肺・胃・大腸・肝にある方の体質改善の方法をお伝えします
②気虚体質「ヘロヘロさん」の改善
気虚体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
無理に食べない
食べ物を消化し、そこから栄養素を取り出すためには、エネルギーが必要です。特に、肉や魚などのタンパク質や脂肪を消化して栄養分を吸収するには手間がかかり、エネルギーを多く消費します。気が不足しているところに、さらに消化で気を減らしては、元も子もありません。
気虚の方にとって、食べることが辛く苦痛な場合があるのです。1回の食事量を減らして、食事回数を増やし、一度に無理に食べないことがお勧めです。
腹式呼吸で呼吸力と消化力を養う
だるくて運動する意欲がでないかもしれませんが、休息していては体質改善の実現はできません。
まず、できることから始めましょう。起き上がれない程だるい時は、仰向けで腹式呼吸をしましょう。鼻から大きく息を吸って、口からゆっくりと息を吐きます。吸った時にお腹を膨らまして、吐いた時にはお腹を凹まします。これを10回行ないます。
お腹を動かすことで、胃腸の蠕動運動が刺激され、消化吸収を担う胃腸の働きが高まります。深呼吸して横隔膜が大きく動くことで、肺への酸素供給量が増え、肺の気虚を改善します。
適度に動いて十分に休息を
多少運動ができる方は、有酸素運動で身体を動かし筋肉を使ってください。身体を動かすことで、胃腸の働きが刺激され、消化吸収力が高まります。日頃運動をしていない方は、散歩から始めてみましょう。日中に体を動かすと、自然に夜はぐっすり眠れるようになります。
冷えを遠ざける
エネルギーとなる気は、多く集まると熱を帯びています。気が少ないと冷えます。冷やすと気は散りさらに不足します。気が極端に少なくなると、冷えを感じたりそれを言葉にするエネルギーも不足して、冷えの自覚や訴えがない場合があります。
身体の保温に心がけるのはもちろんのこと、胃腸を冷やさないことも重要です。特にお腹を冷やす食べ物である刺身や生野菜、果物、冷たい飲み物などには注意してください。
③血瘀体質「シブシブさん」の改善
血瘀体質の方お勧めしたいことは、次のとおりです。
過剰な糖分を控える
血液を汚して流れを悪くする原因は、食べ物が深く関与しています。高血糖や高脂質な状態は、まさに血瘀であり、血液の粘性が高く流れづらく、動脈硬化の原因となります。
過剰な糖分は血液の粘性を増し、毛細血管などを詰まらせる原因となります。中性脂肪は、糖分と同様にエネルギー源として利用されますが、使われずに過剰に血中にあると、血液をドロドロとさせ、さらに悪玉コレステロールを応援して、動脈硬化を促進させます。
コレステロールは、細胞膜の構成成分や、ステロイドホルモンや胆汁の原料ですが、血中では掃除役と汚し役の双方の働きがあります。お掃除役を善玉コレステロールと呼び、血管壁に付着した汚れをきれいにします。
汚し役は悪玉コレステロールと呼び、中性脂肪と一緒に血管に張り付いて徐々に滞積して血管を狭くします。血瘀による老廃物が停滞し血管や臓器などに沈着した状態を、錆びとして表現することもできます。
新鮮な食材を選ぶ
ストレスや飲酒、喫煙、食品添加物、紫外線などによって生じる活性酸素によって、血管や皮膚などの細胞を傷つけたり、脂肪を酸化させて血管や内臓に沈着させます。血液をサラサラにするさまざま食品が商品化されていますが、新鮮な採りたての食材を食べることが理想です。
フレッシュな食材は、保存料を含まず、体内に取り込まれて抗酸化作用を発揮します。肉や魚、果物など変色や腐りやすいものほど、抗酸化作用が高いです。
ただ、肉や魚、ナッツ類、揚げ物などに含まれる脂肪酸は、空気にさらされることで酸化していきますので注意が必要です。血瘀の原因を作ります。
切り身にした魚や肉で時間が経っても変色しないものは、注意しましょう。野菜や果物も、ビタミンCやポリフェノールなどが空気で酸化される前に摂取することをお勧めします。
便秘を解消する
血液の汚れの原因となっている老廃物を十分に排泄することが大切です。コレステロールは、胆汁として十二指腸に排泄されますが、多くは小腸で再吸収されます。
そこで、食物繊維はコレステロールと共に脂肪を巻き込んで、小腸で再吸収を阻害して、血中のコレステロールや中性脂肪を減らします。食物繊維の豊富な食べ物は、便秘の解消だけではないのです。
また、便秘による大腸の宿便が、限られた狭い空間である骨盤内で、子宮や膀胱などを圧迫して、生理の働きや排尿を乱します。
便秘の解消に、胃腸の蠕動運動を促進させるお腹の「の」の字のマッサージがお勧めです。手を胃の辺りに置き、そこから「の」の字を書くように軽く押圧しながら動かします。「の」は胃腸の位置関係に相当し、食べた物の流れにそっています。
具体的な配置では、みぞおちと臍の間に胃があります。その下の臍周辺に小腸があり、右下腹から大腸が始まります。右下腹から上へ昇り、右肋骨の下で左に曲がり、横に進みます。左肋骨まで進み下に降りて行きます。
そして、左下腹でS字にカーブして直腸に入り肛門へと繋がっていきます。マッサージする時は胃腸の位置を意識し、冷えや硬さなどを感じながら、温めて揉みほぐすようにしてください。
→血瘀が心(血管)・三焦(骨盤)・肺(皮膚)にある方の体質改善の方法をお伝えします
④血虚体質「フラフラさん」の改善
血虚体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
血になる食べ物を摂る
血が足りないのですから、そこを補うには、血になるものを食べることです。ニンジンやヒジキ、レバー、クルミ、黒ごまなどがお勧めです。
一度にたくさんの量を摂る必要はありません。普段の食事の中に、少量ずつ取り入れてみてください。胃腸に負担をかけないように気をつけながら。食事療法に焦りは禁物です。
睡眠と適度な運動が大切
身体を横にして重力から開放することで、筋肉や骨、心臓は休息できます。筋肉や脳から出た老廃物は、肝臓と腎臓へ運ばれ解毒代謝されて、血液を浄化して、疲れを取ります。
きれいになった血液に酸素と栄養分を満たして、血が作られます。この作業は、夜間の睡眠時に行なわれます。このことで、良質な血をつくるのです。そして、夜間に作られた良質な血を、昼間の運動や活動で体中に巡らしましょう。
良質な睡眠を手に入れるためにも、昼間の適度な運動が必要です。
ポジティブに考える
血色の悪い顔や皮膚はかさかさ、疲れやすく、立ちくらみがあるなど、ネガティブな気持ちと心配になりがちですが、そこはがんばりどころです。
食事と睡眠、さらに運動で、血を補い、全身に酸素と栄養分を供給できるようになれば、身体に余裕が生まれ、精神的にも徐々に余裕ができて、不安感は必ずなくなります。
⑤湿痰体質「タプタプさん」の改善
湿痰体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
水分摂取に注意する
湿痰の方は、小便の回数や尿量が多い傾向にありますが、それ以上に水分を摂取している場合があります。食事を1日3食正しく摂れていれば、1日の水分摂取量は、1~1.5リットルで十分です。
運動や猛暑によって発汗が多い時は、この限りではありませんが、胃腸や腎臓が処理できる水分量を超えると湿痰を助長することになります。特に高齢者では寝る前の無理な水分摂取は、夜間排尿を増やし、不眠や転倒の原因となります。
飲み物は、温かいものがお勧めです。冷たいものは、胃腸や筋肉を冷やして、湿を停滞させます。
冷えは水を停滞させる
寒冷や低気圧、湿気に弱いことが湿痰の特徴です。水は一度冷えると温まりづらく、熱くなると冷めづらい性質があります。湿痰の方には、これと同じような現象が起こります。
真冬の寒冷地や夏の冷房で、強く冷えるとなかなか身体が温まらず、風邪を引いたり、お腹を壊したり、痛みが生じたりします。
真夏には、少し動いただけで大量の汗が出ることがあります。低気圧が近づくと、頭痛や頭重感、めまいが生じ、梅雨時の多湿では、だるさやむくみ、お腹の張り、下痢、関節痛、神経痛などが起こります。これらの症状はいずれも体内に停滞する水分である湿痰が原因です。
そこで、衣服や冷暖房などによって上手に体温調節することが重要です。湿痰の方は、皮膚での温度や湿度の調節が苦手です。
皮膚が直接外気に触れないように
寒さを感じていない場合でも、手足やお腹などを触ってみてください。夏でもスカーフや膝掛けなどで肌を守ってください。睡眠時も薄い布などで手足や首を覆って、冷やさないようにしてください。膝や腰などに痛みがある時は特に注意してください。
身体を動かし水を動かす
適度な運動によって爽やかな汗をかきましょう。定期的な運動により新陳代謝を盛んにし、停滞した水分を動かし、脱水機が洗濯物の水分を外に絞り出すように、湿痰を減らしていきましょう。
関節や筋肉の炎症や痛みが強い時は無理をせずに、痛みがなく動かせる部位だけを動かしましょう。水の動きを活性化させて、汗と小便から余分な水分を排出します。めまいが強い場合は、寝た状態で足の指を動かすだけでよいです。
→湿痰が肺・三焦・脾胃肝・筋肉や関節にある方の体質改善の方法をお伝えします
⑥陰虚体質「カラカラさん」の改善
陰虚体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
過度な発汗を控える
このタイプは、体中の水が不足しています。度を超えた運動やサウナなどによる発汗は、体液を消耗して乾燥をさらに悪化させます。唐辛子やコショウは、体を温め発汗させる作用がありますので控えましょう。
身体に水分が少なく痩せている方は、暑さ寒さが身にしみる傾向にあります。夏季は上手にエアコンを使い、体温の上昇を防ぎ、発汗を調整しましょう。冬季の乾燥時には、加湿器などで皮膚の乾燥を防ぎましょう。
水分補給と保湿をこまめにしっかりと
陰虚の方はのどが渇きますが、飲むとすぐにトイレに行きたくなる傾向にあります。乾燥して硬くひび割れた地面に、水を流した時と同じ現象です。
乾燥して固まった土は、すぐには水分を吸ってくれません。霧吹きなどで水を細かく分散し放水すれば、固まった土も徐々に水分を吸収します。これと同じように、少しずつこまめに水分を摂取してください。
皮膚の保湿も、クリームやローションなど少量ずつこまめに塗るようにしてください。粘膜や皮膚の細胞の中まで、しっかりと水分が浸透するようにじっくりと時間をかけて潤してください。
また、細胞内へ水分を浸透させるためには、補給する飲み物や保湿ローションなどは、体液に近い状態にイオン濃度を調整したものがお勧めです。
睡眠の質を高める
心に潤いがない陰虚の状態は、精神的に余裕がなく、不安感や焦燥感が起こり、疲れているのに眠れず、熟睡感の少ない夢の多い浅い眠りになる傾向にあります。
睡眠は、眠ろうと思えば思うほど眠れないものです。睡眠の第1の目的は、身体を横にして、筋肉と心臓、骨格などを重力から開放して、身体を休めることにあります。脳を休めることも大切ですが、まずは身体を休めることに集中してください。
6~8時間身体を横にして休めば、たとえ脳が睡眠していなくても、十分に元気になれます。安心して身体を休めてください。
腹式呼吸がお勧め
夜就寝前に仰向けになって、手足をやや広げ伸ばして、ゆっくりと鼻から吸って、肺に入った空気をお腹に一度溜めて、そしてゆっくりと口から吐きます。徐々に呼吸を深くゆっくりとするようにしてください。呼吸を意識して雑念を払います。これを10回程度繰り返してください。
呼吸がゆったりと落ち着くと、脈拍や血圧も安定して、自律神経の副交感神経が優位になり、睡眠しやすい状態になります。毎日継続すると必ず変化があります。是非実践してみてください。
→陰虚が肺・腎・肝・心・皮膚にある方の体質改善の方法をお伝えします
⑦湿熱体質「ドロドロさん」の改善
湿熱体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
体内に湿と熱が余っていますので、水分の摂り過ぎと食べ過ぎは禁物です。栄養過多は体内に余分な熱を産生します。体内に熱がこもっているので、それを冷ますために、冷たいものが欲しくなります。
しかし、小便や発汗で代謝できる以上の水分を摂取すると、それが湿として停滞して湿熱をさらに悪化させます。食事が3食正常に摂れていれば、1日の水分摂取量は、1~1.5リットルを目安してください。スポーツなどで発汗量が多く小便の量が減っている時は、この限りではありません。
アルコール飲料は、体内に吸収されると血管を拡張して血行を促進させる作用があります。また、熱を産生させて身体を温めます。
湿熱の方は熱が過剰ですから、アルコール類は控え目にしましょう。湿熱による症状を悪化させます。また、アルコールは、食欲などの欲に対する理性的な抑制を解除する作用があります。これが、食べ過ぎや飲み過ぎの原因となります。
欲に負けない
食欲を調整する摂食中枢は視床下部にあり、ここは自律神経の中枢でもあります。さらに視床下部に隣接して脳下垂体があり、ここはホルモンの中枢です。
ホルモンと自律神経の働きが乱れると、摂食中枢も不安定になり、過食傾向になります。胃から分泌される食欲ホルモンであるレプチンやグレリンの乱れも摂食障害を起こす可能性があります。規則正しい生活で、自律神経の働きを乱さないことは、摂食中枢を安定させて、適切な食事量を維持するために大切です。
湿熱の傾向があると、食欲など欲に負けやすくなります。美味しそうなものを見たり、においを嗅いだりすると、食欲を抑えらなくなります。
1回の食事量を食べる前にしっかりと決めて、それ以上の食べ物を目の前や手の届くところに置かないようにしましょう。食べ始めてから、視覚や嗅覚による食欲刺激を抑えることは困難です。
有酸素運動で完全燃焼
体内に余剰している脂肪や水分を、適切な運動で消費しましょう。
湿熱の状態は、身体が重くだるく感じる傾向があります。運動意欲が湧かないのは、湿熱体質にも原因があるのです。まず、臥位や座位での関節の屈伸から始めましょう。肩や肘、股関節や膝を大きく曲げ伸ばして、リンパ液と静脈血の流れを促進します。
大きな関節にはリンパ節が集まっており、これらの関節運動はリンパ節を刺激してリンパ液と血液を流して、むくみやだるさを解消します。気持ちと身体が多少軽く感じてきたところで、ウォーキングや軽いジョギングなど有酸素系の運動をスタートしましょう。
20~30分でよいので、毎日継続できる強度の運動量にしましょう。
→湿熱が肺・腎・肝・心・皮膚にある方の体質改善の方法をお伝えします
⑧陽虚体質「ガクガクさん」の改善
陽虚体質の方にお勧めしたいことは、次のとおりです。
身体の熱を逃がさない
大事な自分の熱を外に漏らさないようにしましょう。特に服装は大事です。首周りや足首は、熱が逃げやすい場所です。夏場は冷房にも注意してください。また、腰にカイロを貼ることはお勧めです。さらに、体を冷やす食べ物は控えましょう。生ものでなく煮物など、温かい物を食べましょう。
足を動かす
生まれつきの虚弱体質ではありますが、足を動かすことによって、新陳代謝を高めることができます。
体力や体調に合わせて、足踏みから散歩、ジョギングまで、足を使う運動が、心臓の働きを助け、血流を増加させ身体を温めます。さらに、胃腸の蠕動運動を刺激して消化吸収力を高めます。
少しずつで良いですから、継続することが大切です。日々運動することによって、筋肉や骨格を刺激して、ホルモンの働きを高めることができます。
休息を上手に取る
適度の運動が必要ですが、体調や天候に合わせて無理をしないでください。こまめに休息を取って、体力を消耗させないようにしてください。特に目の使い過ぎに注意してください。眼精疲労は、脳下垂体の働きを抑制することがあります。
精神的にも疲れを溜め込まない
子育てや家族介護などで、自分のペースで動けない時には、無理をせざるを得ないこともあります。気力で体を引っ張っている時は、自律神経の働きがまず追い込まれ、その状態が続くと、次にホルモンの働きが追い込まれます。このような状態がホルモンのバランスを乱し、それの持続が陽虚をもたらします。
上手に気分転換を図り、心身ともに疲れを溜め込まないようにしましょう。時には旅行などワクワクするような楽しいことを計画しましょう。
2.おわりに
体質ごとの改善方法をそれぞれ列挙させていただきました。改善方法は東洋医学では養生という言い方もしますが、あまりなじみがないのでその言葉を改善方法という言葉に置き換えてご説明いたしました。
いずれにいたしましても、体質改善はご自分である程度はできるものです。少しずつでも結構ですので、できるところから始めてみてはいかがでしょうか。
なお、体質改善を早期に実現したい方には、漢方薬を服用するという選択肢もあります。よろしければ、私が実際に漢方相談を実施し処方をした実例を学習したKanpoAIをご利用ください。
また、私への漢方相談もwebでできるものもご用意しておりますので、よろしければご利用ください。
ご一緒に元気になりましょう。応援しております。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
出典:やさしい漢方入門、体質で決まる漢方と養生
著者プロフィール
堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)
光和堂薬局 院長
埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など
販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。
FAQ(東洋医学の古典)
腹式呼吸でなくて深呼吸でもいいか?
リンパマッサージのやり方は?
休日のお勧めの過ごし方は?
体質改善に向かっている目安は?
例えば、小便や大便の量が増えているようであれば、改善方向に向かっているといえます。体内の水分代謝の活性化や血行促進による疲労物質の解毒が進んでいるということです。そうなると、例えば、足のむくみ腫れや膝の痛みなどは治っていくことでしょう。
体質が改善すれば漢方薬をやめてよいか?
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