健康状態のイラスト

漢方や東洋医学で用いる「8つの健康状態」をやさしく解説します

著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-27

気に関係する「気虚・気滞」、血に関係する「血虚・血瘀」、気に関係する「陰虚・湿痰」、陽(ホルモン)に関係する陽虚・湿熱という言葉を聞いたことがありますか?

これらは、東洋医学で用いられる概念であり、体の健康状態を表す重要な要素です。

よろしければ、こちらも参考にしてください。

気・血・水・精の漢方の4成分をわかりやすく解説します

8つの健康状態
気虚

気虚(ききょ)は、体内の気が不足している状態を指します。気は体を動かし、活力を与える重要な要素です。気虚の症状には、疲れやだるさ、集中力の低下などが挙げられます。

気滞

気滞(きたい)は、体内の気の流れが滞っている状態を指します。気が滞ると、体の機能が円滑に行われず、消化不良や頭痛などの症状が現れることがあります。

血虚

血虚(けっきょ)は、体内の血液量や質が低下している状態を指します。血は体を栄養で満たし、潤す役割を果たしています。血虚の症状には、貧血やめまい、肌の乾燥などがあります。

血瘀

血瘀(けつお)は、体内の血液の滞りや凝固している状態を指します。血液が滞ると、体の各部に栄養や酸素が行き渡らず、痛みやこわばりの症状が現れることがあります。

陰虚

陰虚(いんきょ)は、体内の陰(水)が不足している状態を指します。陰は体を冷やし、潤す役割を持っています。陰虚の症状には、のぼせや口の渇き、不眠などが挙げられます。

湿痰

湿痰(しったん)は、体内に湿(水)がたまり、痰となっている状態を指します。湿が溜まると、体の重だるさや消化不良、咳や痰の症状が現れることがあります。

陽虚

陽虚(ようきょ)は、体内の陽(ホルモン)が不足している状態を指します。陽は体を温め、活動を促す役割を担っています。陽虚の症状には、冷え性や下痢、倦怠感などがあります。

湿熱

湿熱(しつねつ)は、体内に湿と熱がこもっている状態を指します。湿熱が蓄積すると、体の不快感や発熱、皮膚トラブルなどが現れることがあります。

これらの8つの健康状態は、体のバランスを整えるために重要な役割を果たします。体調や症状を確認することで、適切なケアや治療法を見つける手助けとなるでしょう。

ご自身の健康チェックの一つとしてご利用ください。

次のページでは、簡単なチェックであなたの体質を判定しグラフ化します。

所要時間は約1分・無料

以下は、8つの健康状態に関し、私が以前にインタビューを受けた動画の内容を整理したものです。動画と合わせてご覧いただくことで、より深く理解することが可能です。

説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行

目次

  1. 気虚(ききょ)
  2. 気滞(きたい)
  3. 血虚(けっきょ)
  4. 血瘀(けつお)
  5. 陰虚(いんきょ)
  6. 湿痰(しったん)
  7. 陽虚(ようきょ)
  8. 湿熱(しつねつ)
  9. おわりに

1.気虚(ききょ)

気虚とは、まさに元気の不足した状態を表します。以下の症状が出やすいです。

  • だるい
  • 眠い
  • 手足が重い
  • すぐに疲れる
  • 過労による動機
  • 息切れ

気虚が呼吸器、肺に行きますと、風邪をひきやすくなったり、外の環境の変化例えば暑さや寒さ、そういったものに順応する力が弱まります。

気虚が胃腸、消化器系に行きますと食欲不振になるなど、たくさん食べられなくなります。場合によっては、下痢をしたり、人によっては逆に胃腸が動かないことによって便秘になる方もいます。

気虚が心臓などの循環器に行きますと、動悸、息切れ、立ちくらみ、血圧が上がらない、低血圧といたった症状が起こります。

2.気滞(きたい)

気滞とは、こちらの女性の表情にありますようにストレスなどがかかり、イライラし怒りっぽくている状態を指します。

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本来、生命エネルギーである気は元気の素です。その元気の素である気が滞る、停滞してしまうことによって発症します。

頭の方にその症状が出ると

  • ほてり
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 不眠

耳鳴りの漢方とツボを3タイプ別に解説します(堀口メソッド

胸の胸部に症状が出ると

  • 息苦しさ
  • 動悸
  • のぞのつかえ感
  • 咳払いしたくなるような症状

お腹の方に症状が出ると

  • お腹が張る
  • げっぷ
  • おなら
  • 便秘

なども気滞の症状によって起こります。

3.血虚(けっきょ)

酸素や栄養分を体に送り込む血が不足しますと、こちらの女性のように頭がぼーっと重くなったり、目が疲れたり、顔色が悪くなったりします。

この血虚の状態は、血液を多く必要としている部分にまず障害が起こってきます。その最たるものがまず肝臓です。肝臓はたくさんの血を流して血液を解毒していますが、血が不足すると解毒代謝が低下します。結果として次の症状が出ます。

  • だるい
  • 疲れやすい

筋肉も血液をたくさん使っておりますですので、ここに血が不足していきますと次の症状が出ます。

  • 筋肉のつれ
  • 筋肉痛
  • だるさ

目や耳といった感覚器も血液をたくさん使っていますので、血虚となると次のような症状が出ます。

  • 疲れ目
  • 目がかすむ
  • 耳が聞こえにくい

頭皮などに血が不足してきますと

  • 脱毛
  • 白髪

さらに女性の場合は、子宮卵巣なども血液をたくさん使う部位に影響が出ると

  • 月経困難
  • 生理痛
  • 不妊

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更にもう一つ血液をたくさん必要としている場所が脳です。脳もたくさんの血液を常に使っておりますで、ここに血液が不足してきますと次の症状が現れてきます。

  • 記憶力の低下
  • 不安
  • 心配
  • そわそわしてしまう
  • 不眠

4.血瘀(けつお)

血瘀とは、体内の血液の停滞、血液の循環が悪い状態を示します。この血液の循環が悪い状態がまず皮膚の表面に行きますと、次のような症状が出ます。

  • シミ、ソバカス
  • ニキビ
  • 歯肉炎
  • 肩こり
  • 頭痛

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血瘀が骨盤の中である、下腹部から骨盤の中に起こりますと女性では

  • 生理痛
  • 生理不順
  • 子宮筋腫
  • 子宮がん

男性では、大腸がんになるリスクがあります。

さらに血管で起こりますといわゆる動脈硬化になります。血が汚れて停滞してますので血管の周りにたくさんのゴミが付着していきますと、どうしても血管が硬くなります。その結果高血圧になったり、それがさらに進むと

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞

こういった血管が詰まる病気が起こります。それが目の眼底で起こりますと

  • 眼底出血
  • 網膜剥離

など失明の危険のある病気になることもあります。

5.陰虚(いんきょ)

陰とは、血液を除いた体の水分を指します。リンパ液、細胞の中の水脳脊髄液も含まれます。そういった体の中の水分が虚(=不足した状態)しているのを、陰虚と言います。

この女性のイラストのように、体の水分が不足しますので皮膚が乾燥し髪の毛がバサバサしてくる、むくみなどはなく体はほっそりしている。こんなようなタイプの方が多いです。

陰虚の症状が呼吸器である肺にきますと、次のような症状が出ます。

  • 気管支炎
  • のどの炎症
  • 乾燥した咳

皮膚にきますと乾燥肌や肌がカサカサ痒くなってきます。こういったものも肺の陰虚としてとらえています。

肝である肝臓に行きますと肝機能がダメージを受けてきます、よって肝機能の障害、そして自律神経の働きもこの肝と深く関わりがることから、次の症状も出ます。

  • 自律神経の失調や乱れ

腎に行きますと、腎というのは漢方では副腎も含んでおり、副腎はホルモンを出すところなので、ここがダメージを受け代謝の異常が起こります。

  • むくみ
  • 小便が出にくくなる
  • 糖尿病

心である心臓に行きますと、次の症状が出ます。

  • 記憶力の低下
  • 認知症
  • 不眠症
  • 不安症

漢方の場合は、心は心臓の場合と精神的な心(こころ)を表す場合もあるんですが、この陰虚の場合は、特に心(こころ)を表します。精神は、脳の神経細胞と考えられ、そこがダメージを受けるからです。

6.湿痰(しつたん)

こちらの女性のように湿痰とは体の中に余分な水分、湿が停滞した状態をいいます。次のような症状が出ます。

  • 足のむくみ
  • 体が重だるい
  • 腰痛
  • 膝痛

湿痰が肺・呼吸器に停滞すると

  • 鼻水
  • 咳、ぜんそく
  • 気管支炎

などそういった症状を起こしやすくなります。また胃腸中に余分な水分が停滞してきますと

  • 吐き気
  • 食欲不振

そういった症状が起こります。さらにこの余分な水が、耳の中のリンパ節、三半規管や前庭(ぜんてい)という平衡感覚を察知する機関に停滞すると、めまいを起こす原因となります。

さらに筋肉や関節に湿痰、余分な水が停滞すると

  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • 神経痛

このような痛みの症状も起こす原因となります。

7.陽虚(ようきょ)

こちらの絵にありますとおり、体の芯まで震えてガタガタ、ブルブルするようなタイプが陽虚の代表例です。

いわゆる陽虚はホルモンの働きが低下していると捉えておりますので、このホルモンの働きに影響する「生殖器」である子宮、卵巣、精巣、そういったところに来ますと女性の場合は

  • 無月経
  • 不妊症

などを引き起こします。男性の場合は

  • 勃起不全
  • 精子減少症

などそういった症状が起こります。

さらに腎臓あるいは副腎などに参りますと、代謝が低下して

  • むくみ
  • 極端な冷え
  • 小便が出にくい

こういった症状が起こります。さらにこの症状が骨に来ると

  • 骨粗鬆症
  • 変形性の腰椎症
  • 膝関節症

なども加齢も加わるんですが、陽虚による場合が多い。さらに膵臓に来ますと

  • 慢性的な下痢
  • 食べられない
  • 食べてもなかなか太れない

こういったのも実は、陽虚の症状です。その症状が心臓に来ますと

  • 心不全
  • 拡張型心筋症

などのように心臓の機能が極端に低下してくる症状も陽虚によるものとなります。

8.湿熱(しつねつ)

体の中の余分な水が停滞し、さらに体の中に溜まった熱がアレルギーやアルコールにより炎症、熱を持つように理ます。湿という水と熱が同居してしまった、こういった状態が湿熱です。この湿熱が特に内臓に起こりますと

  • 痛風
  • 糖尿病
  • 高脂血症

そんな病気あるいはこの絵にありますようないわゆるメタボ、肥満などが代表的な例です。

さらに鼻や器官、皮膚などに出ると

  • アレルギー性皮膚炎
  • 鼻炎
  • 花粉症
  • 喘息
  • 尋常性乾癬

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さらに血管です。特に脳の血管などがこの湿熱が慢性的に長期化しますと、だんだんと血液がドロドロしていきます。そうなると動脈硬化や血栓などを起こして詰まることがあります。これによって

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞

こういった血管の詰まる病気も湿熱が原因になることがあります。

おわりに

私が常に漢方薬の処方する際に用いる「8つの健康状態」と、それによって引き起こされる可能性のある症状や病気などについて解説させていただきました。

これらの8つの状態はあくまで偏った状態です。漢方の世界で望ましい健康状態では「中庸(ちゅうよう)」と言って、気血水精のバランスが取れている中立した状態です。

例えば、まっすぐに立って、前にも横にも重心がかからず真ん中の状態では、他人に押されても倒れにくくなりますよね。これと似たような状態で、自分の体内の状態が、どこにも偏らず、気も流れ、血も流れる…そんな状態になるのを目指したいものです。

これからもあなたの健康状態が「中庸」になるよう、微力ではありますが応援してまいります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。

執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行

出典:やさしい漢方入門、体質で決まる漢方と養生

著者プロフィール

堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)

光和堂薬局 院長

埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など

販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。

FAQ(東洋医学の古典)

『黄帝内経』とは?
中国最古の医学書(前漢〜後漢期に成立)で、黄帝と臣下の問答形式で記されています。人体の構造・五臓六腑・気血水・陰陽五行・養生法などを体系的にまとめた、東洋医学の基本理論の源です。
脈診・舌診などの診断、季節や体質に応じた養生、未病の考え方(病になる前に整える)がここに由来します。
『傷寒論』とは?
後漢末期の張仲景によって編まれた古典です。急性熱性疾患(外感病)に対する治療を中心に、発病から回復までの変化を六病位(太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰)に分けて整理しています。
現代の風邪やインフルエンザなどの急性症状や、初期の体調不良への漢方治療(葛根湯・小柴胡湯など)がここから広まりました。
『金匱要略』とは?
『傷寒論』と同じく張仲景による著作で、慢性疾患や内科・婦人科・小児科の病を中心にまとめています。金匱は、貴重な薬箱の秘訣として伝わり、幅広い臨床に応用されました。
現代の生活習慣病・慢性胃腸病・婦人科疾患(当帰芍薬散・桂枝茯苓丸など)の治療に活かされています。
『神農本草経』とは?
後漢時代ごろに成立したとされる薬学の古典。365種類の薬物を「上品(養生用)」「中品(体を補う)」「下品(病気を治す)」に分類し、性味(寒熱・五味)や効能を記録しました。
現代の生薬学の基礎となり、薬用植物の分類や応用の原点になっています。高麗人参・甘草・生姜などの効能が体系化されています。
古典は現代漢方でどう使われていますか?
『黄帝内経』で示された理論を基盤に、『傷寒論』『金匱要略』での処方体系が発展し、『神農本草経』で素材の薬効が裏付けられました。
KanpoNowをはじめ漢方薬局や医療でも、診断・処方・養生にこれらの知恵が活かされています。
※これらは歴史的・伝統的文献に基づく一般的な情報であり、現代医学的な診断・治療を置き換えるものではありません。

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