気血水精

気・血・水・精の漢方の4成分をわかりやすく解説します

著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-27

東洋医学や漢方を知る上で基本となる、気(き)・血(けつ)・水(すい)・精(せいの4つの成分について、できるだけわかりやすく解説いたします。

なお、こちらの記事は、気血水精が偏った動きをした場合や、多すぎたり少なすぎたりして体に変調を起こした「健康状態」について説明した記事です。併せてご一読ください。

漢方や東洋医学で用いる「8つの健康状態」をやさしく解説します

※本記事は動画インタビュー内容をもとに編集しています。説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行

気(き)

エアコンや掃除機などが電気によって動いているように、人間の体は気(き)によって初めて動いています。

この気とは目に見えないものなんですが、力のあるものを指し、いわゆる生命エネルギーと言われています。

この生命エネルギーが十分にある状態が、いわゆる元気な状態です。

気には5つの力(作用・働き)があります。

  1. 体を動かす力:筋肉を含め体をを動かす力です。
  2. 考える力:頭で考えたり記憶したりする力です。
  3. 体を温める力:体温を維持する力です。
  4. 免疫・抵抗力:外から来る風菌やウイルスから身を守る免疫力や抵抗力です。
  5. 内臓を動かす力:胃腸、肝臓、心臓などの内臓を働かせ、動かす力です。

血(けつ)

血(けつ)は西洋医学でいう血液とほぼ同意と考えてください。血には、主に次の3つの力があります。

  1. 栄養を運搬する力:体の中の様々な物質を運びます。血液の主な作用です。特に必要な酸素や栄養分を運びます。
  2. 老廃物を運搬する力:筋肉や体の組織を作る材料となる体から出る老廃物を運びます。二酸化炭素を運ぶのも血の働きです。
  3. ホルモンを運ぶ力:微量にはなりますが、ホルモンという体のいろんな働きを調整する成分も血が運搬します。

注:血液の中には、白血球といって体の免疫力、外敵から身を守るための細胞も入っていますが、これは、東洋学的には「水(すい)」の中で捉えます。

水(すい)

水のことを漢方では「すい」と呼びます。

漢方でいう水(すい)とは、体の中にある液体(水分)のうち、血液を除いた部分とほぼ同じと考えてください。

具体的には、細胞の中の液体、細胞内液と血しょう、血液の上澄みです。赤血球を除いた成分で、血しょう、リンパ液、脳脊髄液と言いまして脳や神経の中を満たしている液体もこれらのなかに含まれております。

うーん。ちょとむずかしい…

この水(すい)という言葉は、漢方ではさらに湿(しつ)とも言い、湿っている状態をいうこともあります。

陰(いん)陽(よう)の陰という言葉を使ったりすることもありますが、これらの言葉はほぼこの水(すい)と同義と考えてください。

精(せい)

精(せい)とは、目に見えないほど微量ですが、力のあるものととらえます。

精というのは西洋医学でいうホルモンに匹敵し、2つの働きがあります。

  1. 先天の精:生まれながらにして持っている力です。骨格や筋肉などこういったものを維持したり成長させる力、いわゆる成長ホルモンや副腎のホルモンに相当します。
  2. 後天の精:生まれた後、食事をしたり運動をしたり、活動によって獲得したものです。成長に伴って出てくる性ホルモンに匹敵し、新しい生命を生み出す力、生殖の力です。

これらの2つの働きがあって、初めて人間は生きていける、あるいは次世代を生んでいくということになります。

おわりに

以上が、気・血・水・精の説明になりますが、漢方では、これら4つの成分が適度な量で体内をぐるぐると巡ることが大事と考えています。

私に漢方相談される多くの方は、様々な心や体の不調を訴えられます。そのほとんどの方はこの4つのうちのどれか一つ又は複数が、多すぎて滞ったり、少なすぎて巡らなくなったりという現象が見受けられます。

漢方の処方を決める際は、単に表面上に現れてくる症状だけでなく、体や心にとって大事なこの気・血・水・精の4つの成分がどのような状態となって、影響を与えているかを判断し、処方を決めていきます。

東洋医学(漢方)は、奥が深い学問ではありますが、少しずつかみ砕いてご案内したいと思います。ぜひご一緒に学んでいきましょう。私の記事があなたの健康ライフに少しでもお役に立てたら幸いです。

※本稿は一般的な情報であり、診断や治療に代わるものではありません。具体的な処方や併用は、必ず専門家にご相談ください。

次のページでは、簡単なチェックであなたの体質を判定しグラフ化します。

所要時間は約1分・無料

著者プロフィール

堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)

光和堂薬局 院長

埼玉県生まれ
東京理科大学薬学部卒
同大学院修士課程修了
総合漢方研究会 学術部員
元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員
公益法人埼玉県鍼灸師会会員
さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)
一般財団法人日本漢方連盟 会員
著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など

販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。

FAQ(東洋医学の古典)

『黄帝内経』とは?
中国最古の医学書(前漢〜後漢期に成立)で、黄帝と臣下の問答形式で記されています。人体の構造・五臓六腑・気血水・陰陽五行・養生法などを体系的にまとめた、東洋医学の基本理論の源です。
脈診・舌診などの診断、季節や体質に応じた養生、未病の考え方(病になる前に整える)がここに由来します。
『傷寒論』とは?
後漢末期の張仲景によって編まれた古典です。急性熱性疾患(外感病)に対する治療を中心に、発病から回復までの変化を六病位(太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰)に分けて整理しています。
現代の風邪やインフルエンザなどの急性症状や、初期の体調不良への漢方治療(葛根湯・小柴胡湯など)がここから広まりました。
『金匱要略』とは?
『傷寒論』と同じく張仲景による著作で、慢性疾患や内科・婦人科・小児科の病を中心にまとめています。金匱は、貴重な薬箱の秘訣として伝わり、幅広い臨床に応用されました。
現代の生活習慣病・慢性胃腸病・婦人科疾患(当帰芍薬散・桂枝茯苓丸など)の治療に活かされています。
『神農本草経』とは?
後漢時代ごろに成立したとされる薬学の古典。365種類の薬物を「上品(養生用)」「中品(体を補う)」「下品(病気を治す)」に分類し、性味(寒熱・五味)や効能を記録しました。
現代の生薬学の基礎となり、薬用植物の分類や応用の原点になっています。高麗人参・甘草・生姜などの効能が体系化されています。
古典は現代漢方でどう使われていますか?
『黄帝内経』で示された理論を基盤に、『傷寒論』『金匱要略』での処方体系が発展し、『神農本草経』で素材の薬効が裏付けられました。
KanpoNowをはじめ漢方薬局や医療でも、診断・処方・養生にこれらの知恵が活かされています。
※これらは歴史的・伝統的文献に基づく一般的な情報であり、現代医学的な診断・治療を置き換えるものではありません。

その他のFAQ(よくある質問)

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