茵蔯蒿(いんちんこう)

まずは要点

  • どんな生薬? 茵蔯蒿(インチンコウ)はカワラヨモギの頭花です。伝統的に利胆・清熱利湿に用いられます。*①②
  • 中身は? クマリン類(エスクレチン、6,7-ジメトキシクマリン等)やカピラリシンなど。*①
  • 注意点 茵蔯蒿を含む方剤の中には山梔子配合のものがあり、長期投与で腸間膜静脈硬化症に関する注意喚起があります。*③

茵蔯蒿の基礎データ

  • 読み方: インチンコウ
  • 基原・由来: カワラヨモギ(Artemisia capillaris)の頭花を用いる。ラテン名:ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS *①
  • 主要成分: クマリン誘導体(エスクレチン、6,7-ジメトキシクマリン等)、カピラリシンなど *①
  • 性味・帰経: 苦/微寒、脾・胃・肝・胆 *②
  • 表記について: 「茵陳蒿」とも表記されます。*①

伝統的な使われ方

湿熱による黄疸や皮膚のかゆみなどに用いられ、利胆・清熱除湿を目的として配合されます。山梔子・大黄と組み合わせる「茵蔯蒿湯」や、利水の「五苓散」と組む「茵蔯五苓散」が代表例です。*①②

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

方剤により注意点が異なります。とくに山梔子を含む製剤(例:茵蔯蒿湯)は、長期(多くは5年以上)投与で腸間膜静脈硬化症に関する注意喚起があります。体質・持病・併用薬がある場合は、自己判断せず専門家へご相談ください。*③

  • すぐ相談: 腹痛・血便など消化器症状が続く/黄疸症状が強い など

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 茵蔯蒿はどんなときに使われますか?

A. 伝統的に湿熱のこもり(黄疸・皮膚のかゆみ等)に対し、利胆・清熱除湿を狙って配合されます。*①②

Q. 副作用が心配です

A. 方剤ごとに注意点が異なります。山梔子を含む製剤では、長期投与に関する注意喚起があります。体調変化を感じたら早めに相談してください。*③

*参考・出典

  1. 東京生薬協会「インチンコウ/新常用和漢薬集」 
  2. 薬膳情報.net「中薬(茵蔯蒿)」 
  3. PMDA「ツムラ茵ちん蒿湯エキス顆粒(医療用) 添付文書」 

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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